日本ワインが世界に注目されるなど、近年お酒好きから関心を集めているワイン。国によってその味わいが大きく異なるのも、ワインの面白いポイントですよね。
日本人がワインと聞いて思い浮かべる国は、フランスやイタリアだと思いますが…。実はスペインもワインの一大生産国だって知っていましたか?
今回は、スペイン人が愛してやまない「D.O.ルエダワイン」の魅力について、ソムリエの先生にお話を伺ってきました。
今回お話を伺ったソムリエの先生をご紹介
ソムリエ・友田晶子さん
トータル飲料コンサルタント。ソムリエであり日本酒・焼酎きき酒師。アルコール飲料と食全般に携わる。キャリア30年の経験と女性らしい感性で愛好家・プロ向けに的確な情報を提供。日本料飲サービス向上研究会会長。藝術学舎・非常勤講師。著書多数。(一社)日本のSAKEとWINEを愛する女性の会(SAKE女の会)代表理事。
隠れたワイン大国!?スペインのワインの特徴
友田さん:日本人にとって、スペインはワインの国としてはマイナーなイメージがあるかもしれません。しかし、スペインもイタリアやフランス同様、ワイン作りの歴史が非常に長い国なんです。
ぶどうの栽培面積でいえば、世界一!生産量でいってもTop3には入るワイン大国なんですよ!
ここ数年は、品質が良く手頃な値段で購入できる「カヴァ」の注目度もあり、徐々に日本人の中でもワインのイメージが広まってきているのではないでしょうか?
美食の国・スペインを象徴するバル文化
友田さん:スペインと言えば、グルメな国としても知られており、食文化をとても大切にしているんです。特に、北西部・バスク地方は世界一ともいわれるほどの美食の街ですよね。
そして、最も特徴的なのが日本でも人気が高まっているバル。1日に4~5回食事をするという人も少なくはなく、街の至るところにバルがあります。食事に加えて、人々が気軽にお酒を飲むバル文化が根付いているのが、スペインの大きな特徴ですよね。
それぞれが自由な時間をバルで過ごすスペイン人ですが、最も飲まれているのはやはりワイン。スペイン人にとって、人生を謳歌するために最も大切なのが、ワインと食事を楽しむ時間だと言われているほどなんです!
ワイン大国で国内市場占有率40%以上を誇る!ルエダワインって?
友田さん:スペインといえば、生ハムなどのお肉料理だけではなく、シーフードを使ったタパスやパエリアなど、魚介系の料理が多いため白ワインもよく飲まれます。
特に、スペインの地場品種「ベルデホ(Verdeho)」で作られる白ワイン「ルエダワイン」は、スペイン国内でシェア率が40%以上を誇るほどなんです。
「ルエダワイン」は、スペインの首都マドリッドの北西に位置するカスティーリャ・イ・リオン州“D.O.ルエダ” (D.O.=原産地呼称)という産地で生まれる白ワイン。世界中から人が集まる一大観光地としても人気ですが、その中でもワインを観光の1部として尊重している地域なんです。
19世紀の災害を乗り越えて生き残った「ベルデホ」を使った伝説のワイン
友田さん:ベルデホは、「D.O.ルエダ」で作られる白ワインの主要品種。なんと起源は16世紀にまでさかのぼるとも言われている、歴史あるぶどう品種なんです。
19世紀にヨーロッパのぶどう畑を襲った“フィロキセラ”によって、ありとあらゆるぶどうが朽ち果てる中、なんとベルデホだけは生き残った、というエピソードも非常に有名です。
現在でも全栽培面積の85%を占めており、ブレンド・ワインの場合はベルデホを50%以上使用しなければ「ルエダ」を名乗ることができません。
ベルデホに世界が注目し始め、価値が高まったのは1980年のこと。それ以前も素晴らしいワインを作っていることで知られていましたが、原産地呼称の認定(D.O.)が認められたことで、一躍世界中から注目を浴びることになりました。
スペインの食文化は日本と似ている!?
友田さん:実はスペインのバル文化って、日本に似通った部分があるんですよ。バルの楽しみ方って、腰を据えて1つの店に長く滞在するフレンチのようなスタイルではなく、少しつまみながら飲んで場所を変えながら、いろんな店を回るんです。これって、日本で言う「はしご酒」の文化にすごく似ていますよね。
また、味覚の部分でも共通点が多いんです。スペインの中でもポピュラーな生ハムは、脂の美味しさを楽しむおつまみですよね。日本人もトロが好きだったり、霜降り肉が好きだったりと、スペイン同様脂の美味しさを楽しめる民族。こういった点からも、スペインのお酒や食事の文化は日本人にとって受け入れやすいんです。
D.O.ルエダワインは日本人の舌に合うワイン
友田さん:数あるスペインワインの中でも、ルエダワインは特に日本人の舌に合うと考えられるワインだと思います。
古くから日本酒を飲む日本人にとって、あまりに強烈な酸味がある飲み物はなかなか受け入れ難い点もあるのですが、D.O.ルエダでつくられるワインは白ワインの中でも、酸味が穏やか。そのため、日本人の舌にも合いやすいんです。
また、後味に心地よい苦味を感じられます。この苦味が料理に合わせやすく、何かを食べながら飲むことが多い日本のシーンにも最適だと言えるでしょう。
ソムリエの友田さんがおすすめするD.O.ルエダワインとのペアリング
今回、ソムリエの友田さんにルエダワインとぴったりな、おすすめのペアリング料理を提案していただきました。
ハーブが香る「魚介のカルパッチョ」
友田さん:さっぱりとしたルエダワインと、新鮮な魚介を使ったおつまみとのペアリングは、まさに黄金の組み合わせと言ってもいいほど相性抜群です。特に、タイやヒラメといった比較的淡白な白身のお魚を使った「カルパッチョ」。
あっさりとした繊細な魚の旨味を引き立ててくれる穏やかな酸味とミネラルが、絶妙にマッチします。
ベルデホの特徴である、ハーブのような風味を活かすためにも、玉ねぎなどの香味野菜やハーブを使ったカルパッチョがおすすめです。
春の味覚!「山菜の天ぷら」との相性抜群
友田さん:ハーブのような香りを持つルエダワインと、「山菜の天ぷら」の青っぽい味わいは互いの良い部分を高めるような相乗効果を得られるペアリングです。
天ぷらにすることで得られる、サクッとしたクリスピーな感じが心地良いですし、ワインならではの酸味が揚げ物の後味のキレを良くしてくれます。
「ひとくち食べたらまた飲みたくなる」癖になってしまうエンドレスリピートな組み合わせです。
そのまま飲むのも良いですけど、ソーダ割りにすることでより一層爽快感を得られますよ!
山菜の他に、小魚やイカ・エビといった衣をあまり厚くしない軽めの天ぷらでも相性が良さそうですね。
コンビニでも買える!「さきいか」にも合う
友田さん:焼酎や日本酒と一緒に食べるイメージがある「さきいか」ですが、ルエダワインとの食べ合わせも見逃せません。
特に、脂分を足しながら食べる組み合わせを試してほしいです。例えば、マヨネーズをトッピングしたりチーズがまぶされたものがピッタリ!独特の生臭さが軽減されて、白ワインと合わせても非常に食べやすくなります。
コンビニでも買えてしまうような、お手頃感がいいですよね!料理をしたくない、買ってきたものとすぐに合わせてワインを楽しみたいという時にはおすすめです。
その他、手軽に買えるようなおつまみであれば、カットサラミなんかも非常におすすめですね。
日本人にこそ飲んでほしい!D.O.ルエダワインをぜひご自宅で楽しんでみては?
食文化が非常に近く、日本人の好みにもあうスペインのワイン。
国内で40%以上のシェアを誇るスペイン白ワインの代名詞「ルエダワイン」の味わいは、ソムリエの友田さんも大絶賛するほどでした。
今回提案してもらったペアリングの他、日本で一般的に食べられている様々な食事と相性が良い「D.O.ルエダワイン」。その味わいに加え、リーズナブルな価格帯も手に取りやすい1つの要素です!日常的に飲むデイリーワインとして、ぜひ「ルエダワイン」を楽しんでみてはいかがでしょうか?
本記事で紹介したD.O.ルエダワイン
・ラモンビルバオ ソーヴィニョン ブラン (Ramon Bilbao Sauvingon Blanc)
インポーター:ユニオンリカーズ株式会社
・クエスタデオロ(Cuesta de Oro)
インポーター:白井松新薬株式会社
・ドラド デ・アルベルト (Dorado de Alberto)
インポーター:株式会社いろはわいん
・ナイア(Naia)
インポーター:ミリオン商事株式会社
・ホセ・パリエンテクベ・エッセンシャル( Jose Pariente Essencial)
インポーター:株式会社グルメミートワールド
・ベロンドラデ・イ・ルルトン( Belondrade y Lutron)
インポーター:ミリオン商事株式会社