ブルゴーニュのワインに慣れ親しんでくると、「ドメーヌ」や「ネゴシアン」といった言葉に遭遇します。
どちらもワインの生産者であることには変わりないのですが、その違いはどのような点にあるのでしょうか?
「ドメーヌ」と「ネゴシアン」の主な違いとは
ブルゴーニュ地方で造られるブルゴーニュ・ワインの生産者は、大きく「ドメーヌ」と「ネゴシアン」という業態に分けられます。
生産スタイルの違い
ドメーヌとネゴシアンの最大の違いは、ワインの生産スタイルにあります。
ドメーヌとはもともと「領地」を表す言葉。そこから転じ、自分の畑(領地)で栽培したブドウのみからワインを醸造し、出荷までを一貫して行う生産者のことを「ドメーヌ」と呼びます。
これに対し、もともと「交渉人」を表す言葉であるネゴシアンは、農家から買い上げたブドウやワインで醸造を行い、出荷までの工程を担う生産者を指します。
自分のところでワインを醸造する施設を持ち合わせていないような、小さな農家達のサポート的な役割も果たしています。
経営スタイルの違い
一般的に、ドメーヌの多くは規模の小さい農家。そのため、その経営スタイルは家族経営が主流となっています。
一方、ネゴシアンの場合、人名がそのまま社名になっていることが多く、個人で運営しているように思われがちですが、実際は大きな企業であることがほとんどです。
「ドメーヌ」と「ネゴシアン」、それぞれが手掛けるワインの特徴は?
ドメーヌのワイン
ブドウの栽培から醸造まで一貫して自分のところで行うドメーヌのワインには、より生産者の個性の出やすくなります。
小規模なドメーヌのワインは生産量が限られるため、希少価値が高くなり価格も高くなりがちですが、それでもドメーヌのワインの虜になってしまう人は後を絶ちません。
なお、ドメーヌのワインはネゴシアンのワインより高品質と言われることもありますが、昨今ではドメーヌのワインにも引けを取らないネゴシアンのワインも多く、一概にそうとは言い切れません。
ネゴシアンのワイン
ネゴシアンの場合、複数の農家から原料のブドウを仕入れ、それらをブレンドしてワインを造るため、ブドウの品質のばらつきを均一化することができるという強みがあります。
また、ブルゴーニュ地方の中のあらゆる地区のブドウを仕入れることができるネゴシアンは、地区ごとに様々な個性を持つワインを造ることができます。
一般的に、ネゴシアンのワインは、万人受けする味わいや安定した味わいに仕上げられていることが多く、価格もドメーヌのものより抑えられているため、より初心者向きと言えるでしょう。
ブルゴーニュ・ワインを語るなら押さえておきたいネゴシアン
ブルゴーニュ・ワイン初心者の方は、まずこの2つのネゴシアンから押さえておきましょう!
ルイ・ジャド
出典:ブルゴーニュ ピノ・ノワール 2014 ルイ・ジャド 赤
ブルゴーニュを代表するネゴシアンが、こちらのルイ・ジャド。
「ルイ・ジャドを語らずして、ブルゴーニュを語れず」と言われるほどなので、ブルゴーニュ初心者の方は要チェックです。
1859年創設で、ネゴシアンながらも多数の自社畑も所有し、その土地その土地の個性(テロワール)を大事にしながらワイン造りを行っています。
ワインの神様「バッカス」が描かれた黄色地のラベルが目印。
ドミニク・ローラン
出典:ドミニク・ローラン ブルゴーニュ・ヌメロ・アン [2014]750ml(赤ワイン)
元洋菓子職人という異例の経歴を持つドミニク・ローラン。
1988年にネゴシアン業をスタートさせ、またたく間に才能が開花し、広く世間に知られるようになりました。
ブドウはすべて有機栽培、さらには凝縮した果実感を出すため、樹齢の高さにもこだわっています。
また、新樽で1回熟成させた後、さらにもう一度新樽で熟成させるという、『新樽200%』と呼ばれる独自の手法も注目を集めています。
まとめ
ドメーヌやネゴシアンという言葉や概念は、ワイン初心者の方には少々難しく感じるかもしれません。
それでも、知っていると知らないとではワインの楽しさもまた格段に変わってきます。
ワイン選びで失敗しないためにも、より美味しくワインを味わうためにも、ぜひ覚えておいてくださいね!