ワインでは、しばしば「テロワール」という言葉が使われます。ワインの香り、味わい、種類などを示しているように感じますが、簡単に説明するとテロワールは、「ブドウの育成条件」的なものと考えられます。今回、ここではワインでよく言われる、「テローワル」とは何なのか、紹介していきましょう。
ブドウが栽培されている条件が注視されている
ワインは、ブドウを原料としている醸造酒です。フランスなど、ワイン法が厳しい国では加水や添加物(酸化防止剤など以外)、ブレンド(一部地域では認められている)などが、禁じられているため、味わいを決めるのが「ブドウそのものの品質」となっています。
そのため、ワイン用ブドウが上質に育つ畑などを区画分けしており、どの畑で収穫されたブドウを使用しているのか、ということでそのワインの価値が大きく左右するわけです。
テロワールは、その土地の土壌性質や日照、そして微生物、雨量などを総括したものであり、テロワールが優れている=優れたブドウが収穫される土地、ということがいわれているのです。
土壌
テロワールで最も注目されているのが、土壌です。ワイン用ブドウは、生食用ブドウや他の果物などと違い、肥沃な土壌は良しとされません。粘土質、炭酸カルシウム豊富な石灰質、粘板岩、片版など、痩せておりブドウ以外の作物が育たないような、そういった土壌が好まれています。
総じて、ヨーロッパなどはそういった土壌が多いために、高品質なワインが造られており、肥沃な日本では良いブドウが育たないという見方がなされています。また、土壌で最も大切なのが水はけの良さです。
水を蓄え過ぎてしまうと、肥沃になってしまい葉やツルが伸び放題伸び、実に栄養が回らなくなってしまいます。
一方、痩せた土壌で水分ストレスがかかる場合、実に栄養を蓄えようとブドウが躍起になり、結果的に糖度と栄養価が高いブドウができる、ということなのです。
ただし、水分が少なく過ぎると枯れてしまうこともあり、ブドウ自体が実りません。そのバランスが大切であり、ワイン業界でテロワールの話となると、常に土壌が語られるわけです。
日照時間
ブドウの生育にはさほど関係無い、という研究結果などがありますが、やはり日照時間はテロワールを考える時には大切な要因です。ブドウは、太陽光で光合成を行いますので、日照時間が短い産地ではうまく育ちません。
また、日照時間が少なく雨量が多い産地の場合、根腐れを起こしやすくなったり、カビによる病気が発生しやすくなります。健全なブドウが収穫期までに育たないため、結果的に良いワインを造ることができないのです。
立地による影響とは?
また、意外かもしれませんが、テロワールには立地も関係しています。例えば、平野の畑を南向きの斜面の畑では、後者の方が品質の高いブドウとなる、といわれています。
その理由は、前述した日照時間が長いことや、風邪通しが良く乾燥しやすい、水はけが良くなるということが上げられます。ブドウの銘醸地などに行くと、丘が多いことに気がつくかもしれませんが、これらの理由があるからなのです。
さらに、こういった丘が多い場所は盆地地帯となっていることが多く、こういった場所は昼夜の寒暖差が大きいため、さらに良いブドウが育ちます。夜、日光が当たらない状態でも気温が高い場合、せっかく昼間光合成によって蓄えた栄養をブドウが呼吸によって吐き出してしまいす。夜間、温度が低いことでこの呼吸を抑えられるため、栄養を蓄えたまま成長させることができるのです。
テロワールは人
このように、ワインの世界ではそのワインに使用されているブドウの出所が大変注目されます。しかしながら、ワインを生み出すのも、ブドウを栽培するのも人です。手を加えず、自然のままメチャクチャに育てたり醗酵させても、良いブドウ、ワインを造ることはできません。
やはり、テローワルで最も大切な要因は、人なのです。ぜひ、今後ワインを楽しまれる時には、このことを頭の片隅に入れておいてみてはいかがでしょうか。