昭和33年(1958年)の創業以来、47年ものあいだ中目黒の名店として愛された居酒屋「もつ焼きばん」。駅前の再開発に伴い閉店したが、平成26年(2014年)10月、創業者の家族の手により、ついに誕生の地・中目黒にて再オープンを果たした。今回はその「もつ焼きばん 中目黒本店」をレポートする。
平日の16時過ぎ、中目黒駅からほど近い路地で赤ちょうちんを灯す「ばん」へ。『東京ブギウギ』が流れる店内には、オープン直後と思えないほどお客がわいわい、煙がもくもく。カウンターのすみに陣取り、まず頼んだのは・・・。
「元祖レモンサワー」と呼ばれる由縁
同店が「元祖レモンサワーの店」として認知されるきっかけとなったレモンサワー。この、焼酎を炭酸で割ったものを最初に“サワー”と呼んだのが、まぎれもなく「ばん」である。
価格は400円(税別。以下、価格はすべて税別)。その内訳は、甲類焼酎「一風」と氷が入ったジョッキと炭酸瓶のセットが300円、レモン1個が100円である。炭酸瓶は濃くも薄くも自分好みに調整できるので、あとからナカ(250円)を追加し2杯3杯と楽しむのもよい。
「サワー」を生み出した同店への礼儀を込め、1杯目はレモンサワーでどうだろう。
もつ焼き~充実のラインアップはALL100円~
「ばん」は新鮮なもつを味わえるもつの名店としても知名度が高い。レバーやしろ(大腸)、おっぱい(母印)など19種類の串は一律100円とリーズナブル。300円台の刺しはレバー、ガツ、コブクロ、ホーデン(睾丸)の4種類がそろう。
(左からチャンポン、ガツ、カシラ、きくあぶら、しろ)
・チャンポン(頭の赤身と油)……表面の脂がカリッと香ばしい。歯ごたえある赤身とそれにまとわりつく脂とのバランスがたまらない。冷めると脂がこってりしてくるので、ぜひ熱々のうちに。
・ガツ(胃袋)……「胃袋」とはこんなにゴリゴリと固いものだったか。柔弱な胃を持つ身として羨ましいかぎり。歯とアゴを目一杯使ってその食感を楽しむ。
・カシラ(頭の赤身)……チャンポンと比べ、やや固めの肉質で噛むほどに旨みが広がる。強めに利かせた塩との相性も抜群だ。
・きくあぶら(大腸周りの油)……ふわふわと口の中で膨らむような食感はこれぞ脂身! といったところ。カシラのようなしっかりした部位と交互に食べるとその柔らかさが際立つ。
・しろ(大腸)……ぷりぷりと軽やかな弾力。もつとしてはクセが少なく、その敷居の低さはもつ初心者にもぴったり。
(右からのど、ワッパ、コブクロ)
・のど(のど回り)……むっちりとした弾力があり、赤身と脂身どちらの良さも併せ持つ。炙りにより、ところどころカリッとする食感もニクい。
・ワッパ(小袋根元)……ブチブチッと噛み切る感覚は豚足のそれに似ている。肉を“喰らって”いる気分。
・コブクロ(小袋)……子宮に当たる部位。薄く柔らかい皮はプリッと弾け、中からは甘い旨みがにじみ出る。
もつ刺し~大満足のボリューム~
量の多さに定評がある「ばん」の刺し系。ガツ刺し(360円)も2~3人前はあろうかという太っ腹ぶり。にんにくと生姜をたっぷり溶いた醤油につけ、コリコリ食感を楽しむ。自宅ではなかなか扱いにくい刺し系こそ、ぜひお試しあれ。
そのほか、200~400円台でおつまみや魚介系のメニューもそろう。
元祖レモンサワーと新鮮なもつを堪能できる「ばん 中目黒本店」。では、最後に心の底から……おかえり、ばん!
店名 | もつ焼きばん 中目黒本店 |
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住所 | 東京都目黒区上目黒2-14-3 |
電話番号 | 03-6452-3122 |
営業時間 | 16:00~24:00 日・祝(~23:00) |
定休日 | 正月 |
食べログHP | http://tabelog.com/tokyo/A1317/A131701/13174375/ |