マティーニというカクテルを知っていますか?
普段バーに行かないという人は、あまり馴染みがないお酒かもしれませんが、バーではとても人気のある超定番カクテルです。
実はこのカクテル、「カクテルの王様」と呼ばれるほど、歴史ある人気のカクテルなんです。本記事では、マティーニの特徴からレシピ、さらには美味しい飲み方やピッタリのおつまみまで、詳しく解説していきます。
マティーニとは?歴史とその発祥
マティーニとは、数千種類もあるカクテルの中の1つで、「カクテルの王様」とも呼ばれている1杯。長きに渡って高い人気を誇っているマティーニですが、その始まりには多くの逸話が存在します。
1910年頃、アメリカのホテルで働いていたマルティーニという名前のバーテンダーが考案したことから、やがて名前がマティーニとなったという説、マティーニの原型となったカクテルが考案されたときに、イタリアの酒造メーカーであるマルティーニ・エ・ロッシ社のドライベルモットが使われたから、という2つの説が有名です。
マティーニのスタイル「ショートカクテル」とは?
ショートカクテルとは、逆三角形の脚の長いグラスに入ったカクテルのことです。氷を入れないで飲むカクテルのことで、飲む前にはグラスを冷やしておきます。
対して、ロングカクテルというのは、グラスに氷を入れて飲むカクテルのことです。ショートカクテルは氷が入っていないため、時間がたつとぬるくなってしまいます。マティーニはもちろん、ショートのカクテルはぬるくなると本来の香りや風味を味わうことが難しくなるため、グラスが冷えている比較的短い時間で飲むことが推奨されています。
また、アルコールの量は少ないものの、ソーダや水などで割ることがないので、アルコール度数はロングカクテルよりも高め。マティーニを初めて飲むときには、アルコール度数が高めであることを意識して、少しずつ飲むようにしましょう。
なぜカクテルの王様?
マティーニが「カクテルの王様」と呼ばれる明確な理由は、実は定かではありません。しかし、マティーニはイギリスの元首相チャーチルや、文豪のヘミングウェイといった歴史的な著名人に多く愛されたカクテル。また、その名はドラマや映画などにも度々登場します。
映画「007」では、主人公ジェームズ・ボンドが愛するカクテルとして、また映画「7年目の浮気」では、女優マリリン・モンローが飲んでいたことで、とても知名度が高くなりました。そして、日本ホテルバーメンズ協会のランキングによると、マティーニはショートカクテルの中で人気No.1だと言われています。このように、名シーンと共に人々を魅了してきたことから、やがて「カクテルの王様」と呼ばれるようになったと考えられています。
長い歴史のなかで今もなお愛され続ける、まさに「カクテルの王様」と呼ぶにふさわしいカクテルだと言えるでしょう。
マティーニのレシピ
マティーニは、ジンとベルモットのみで作るいたってシンプルなカクテルです。しかし、シンプルが故にバーテンダーの腕が試されるカクテルの代表格と言っても過言ではありません。
ショートカクテルではありますが、シェイクはしないのがマティーニの大きな特徴。ミキシンググラスと呼ばれる、大きめのグラスに氷を入れまずは水をいれてステア。氷の角をとって、お酒を入れた時に水っぽくならないようにします。
氷の角がとれたら、ドライ・ジンとドライ・ベルモットを4:1の割合いで注ぎステアをして、よく冷えたカクテルグラスに移し仕上げにオリーブを添えれば完成。
4:1の比率を変えることにより、自分好みのマティーニを作ることが出来ますが、マティーニを初めて飲むときには、まずは「黄金比」と呼ばれている4:1の割合で作るのおすすめです。
バーによって細かなレシピは異なりますが、それがバーやバーテンダーの個性。マティーニを飲む際は、バーごとの個性の違いを感じるのも楽しみの1つなのです。
マティーニはどんな味?
マティーニに使われるベルモットは、白ワインに香草を配合して作るフレーバーワイン。口に含んだ瞬間ハーブを感じる、癖のある匂いが特徴的です。そこに、辛口のドライ・ジンが加わることで後味をしつこく残さない、キリっとした爽やかな風味のなかに苦味を感じる大人な味わいにしあがります。
微かに苦味を感じる辛口な味わいから、甘いお酒が好きな人にとっては口に合わないことも珍しくないマティーニ。しかし、多くの愛好家がいることからわかるように、「バーでは必ずマティーニを頼む」という人も少なくはない、一度好きになってしまうとハマってしまう魅惑のカクテルでもあるのです。
マティーニの度数
マティーニは蒸留酒であるジンをベースに、白ワインから作られたベルモットを混ぜて作ります。両方ともアルコールということもあり、ソーダやソフトドリンクで割って飲むロングカクテルよりも、アルコール度数は高くおおよそ30度以上になることが予想されます。
アルコールに強くない人は、冷やす際に用いる氷の量を増やすことにより、多少アルコール度数を抑えることが可能です。お酒が強くない人は、オーダー時にバーテンダーにその旨を伝えてみるといいかもしれませんね。
マティーニの味でバーテンダーの腕が分かる?
マティーニは、ジンとベルモットを注いで混ぜるだけの、シンプルなカクテルです。そのため、家庭でも簡単に作ることが出来ます。しかしながら、シンプルだからこそ誤魔化しがきかなく、美味しく作るのが非常に難しいカクテルでもあるのです。バーテンダーの力量がそのままマティーニの味に表れるといっても過言ではありません。
こういった理由から、マティーニを飲むことで、「その店のレベルがわかる」「バーテンダーの腕がわかる」ともいわれています。また、力量だけではなくバーテンダーによって、作り方やレシピが微妙に異なるため、こだわりが随所に現れるカクテルともいえるでしょう。
初めてのバーに行ったときには、マティーニを注文して、バーテンダーの個性を見てみるのも面白いと思いますよ!
マティーニに合う食べ物
マティーニは、スッキリとした辛口なので料理との相性も良いカクテルです。メインの料理であれば、生ハムや魚介類を豊富に使った料理はもちろん、和食・洋食問わず幅広い料理に合うといえるでしょう。ちょっとつまむ程度であれば、チーズや香ばしいナッツがおすすめです。
また、甘いおつまみとの相性も抜群!ドライフルーツやチョコレートなど、バーで提供されている代表的な乾き物おつまみと一緒に楽しむのもおすすめです。
また、マティーニのグラスに付いているオリーブを、少しずつ食べながら飲むという方法もおすすめです。もちろん、オリーブが好みではない方は残してもかまいません。オリーブ添えが好みではない方は、オーダー時に「オリーブは入りません」「オリーブは別添えで」と一言行っておくのが良いでしょう。
200種類以上ある!?マティーニの飲み方のアレンジ
マティーニのレシピは多種多様。実は、マティーニと名のつくカクテルは、200~300種類以上あるともいわれているのです。
例えば、ドライな味わいが特徴的なウォッカ・マティーニ。これは、ベースをジンではなくウォッカにしたマティーニです。映画「007」では、ジェームズ・ボンドが好んで飲んでいるお酒として知られています。淡白な味わいになりがちなので、最後にレモンを絞り香りづけをすることもありますね!
その他、甘味のあるスウィート・マティーニは、通常使用されるドライベルモットではなく、スウィートベルモットを使用するマティーニ。辛みが少なく、女性にも飲みやすいカクテルです。このとき、グラスにはオリーブではなくチェリーを添えて完成します。
辛口と甘口と様々なアレンジがあるマティーニ。いろいろな種類を飲み比べてみて、自分に合うマティーニを見つけるのも面白そうですね!
マティーニに使用するおすすめのお酒
ノイリープラットドライ
マティーニに使用されるドライ・ベルモットとして、最もスタンダードで人気のある「ノイリープラットドライ」。多くのバーで使用されているため、ボトルに見覚えがある方も多いのではないでしょうか?
加熱しても味わいにコクを保つため、料理酒としても度々用いられます。ご自宅でマティーニを楽しみたいという方は、1本購入しておくと非常に便利ですよ!
チンザノ ベルモット ロッソ
ノイリーと並び、スタンダードなベルモットとして知られている「チンザノ」。なかでも、甘口タイプの「チンザノ ベルモット ロッソ」はスウィートマティーニを作る際に重宝する存在です。
甘口ながらも、薬草由来の苦味がしっかり効いているため、マティーニにした際に引き締まった味わいに仕上がります。
ロックで飲んでも美味しいですよ!
タンカレー ロンドン ドライジン
ドライ・ジンの大定番「タンカレー ロンドン ドライジン」。
1830年の創業当時から、現在まで変わらない製法で作られる伝統的なジンは、多くのバーで愛用されています。
そのまま飲んでも美味しい非常に出来の良いジンなので、お酒好きであれば自宅に1本あっても良いかもしれませんね!
カクテルの王様を堪能しよう
カクテルの王様と呼ばれるほど、古くから多くのファンがいるマティーニ。カクテルに興味がある方には、ぜひとも1度は飲んでほしい1杯です。
バーテンダーによって、大きく個性が異なるというのもこのカクテルの面白い点。いろいろなバーを渡り歩いて、お気に入りの1杯を見つけてみてくださいね!
また、自宅で“自作マティーニ”を作って楽しむのもおすすめ!あまり難しいことは考えず、自分の好みにあう材料を追加しながらオリジナルな1杯を作り出してみては?