日本全国、数ある銘醸地の中でもファンが多いと言われている岩手県。
歴史ある「南部杜氏」による伝統的な技術が有名ですが、本当に美味しい日本酒ばかりが造られています。
ここでは、岩手県の日本酒の特徴から、筆者がランキング形式でおすすめする銘柄10本のほか、酒蔵についても詳しく解説していきます。
岩手県の日本酒の特徴
岩手の日本酒を語る上で外せない「南部杜氏」とは
岩手県の日本酒は、ミネラル分豊富な美味しい水と、その水が育む米、そして日本三大杜氏の一つに数えられる酒造り集団"南部杜氏"の技によって造られているのが特徴です。
南部杜氏は、岩手県の石鳥谷町を拠点とした杜氏グループ。江戸時代から伝わる製法を受け継ぎながら、岩手県・盛岡で本格的な酒造りを行ってきた日本最大規模の集団です。
元々は、八戸藩・七戸藩・盛岡藩の出身杜氏たちが「南部杜氏」とされてきました。しかしながら、現在ではその技術を学んだ杜氏達が全国各地に散らばり、その土地ならではの銘酒を造りあげているのです。
奥羽山脈と北上高地の山々が連なる岩手県。そんな豊かな自然の中で、農家の副業として技が受け継がれてきた南部杜氏は、年に何度も講習会を開き、今なお研鑽を積んでいるといいます。
全国新酒鑑評会で金賞十九回という名杜氏"平野佐五郎"(1900~81年)を筆頭に、数々の名だたる人材を輩出していることからも、岩手県の日本酒の酒質が非常に優れているのは明らか。また近年は女性杜氏が徐々に増えているので、彼女達ならではの女性に合う日本酒も注目すべきでしょう。
様々な日本酒が作られる岩手ですが、まずは全国の南部杜氏の日本酒を味わうことでその伝統を知ることができると言えるでしょう。
燗酒として楽しむのにぴったり
そんな岩手県の酒造組合が提案している、日本酒の楽しみ方は「和らぎ水」と「燗酒」。
和らぎ水は、盛岡市大通のJIZAKE-BAR蔵でも常設しており、日本酒を飲む合間に時々水を飲むという楽しみ方をすることで、深酔いを防ぐ効果が期待できます。
冷や冷酒よりも、アルコールを感じながら楽しめる燗酒も、深酔いを防ぐ効果が期待できるほか、香味がより広がるので、豊かな自然と南部杜氏の技によって造られる、岩手県の日本酒ならではの味わい深さを楽しめます。
濃醇甘口
一概に全ての日本酒に当てはまることではありませんが、岩手の日本酒は前述した南部杜氏の影響を受けた濃醇で甘口な味わいが特徴
いわゆるキレのあるスッキリとした味わいではなく、素材の旨味が凝縮された濃厚な味わいが楽しめます。米の旨味が存分につまった、飲みごたえのある日本酒を探しているかたなどにおすすめの地域です。
岩手県の日本酒ランキングtop10
岩手県日本酒ランキング10位:南部美人 大吟醸
出典:南部美人(なんぶびじん) 大吟醸 720ml ギフトボックス入り [ 日本酒 岩手県 ] [ギフトBox入り]
「南部美人 大吟醸」は、スッキリと華やかな香りで、辛口の中にも米の甘みと旨味を持ち合わせているのが特徴。綺麗な酒質でバランスの良い淡麗タイプの日本酒です。
この香味は、山田錦や岩手県二戸市産の特別栽培米"ぎんおとめ"を、半分以下まで磨き上げることで実現しています。華やかな香りが特徴の岩手県のオリジナル酵母"ジョバンニの調べ"を主に使用するなど、岩手県の「地産地消」にこだわった酒造りが繊細な味わいを生み出しています。
南部美人は2013年に海外での安心安全の基準と言われるユダヤ教の教義に則った証である「コーシャ(kosher)」認定を受けています。「南部美人 大吟醸」はニューヨークの一流レストランでも提供されているなど、世界中で活躍しているワールドワイドな一本です。
岩手県日本酒ランキング9位:菊の司 純米大吟醸 結の香仕込
出典:岩手,菊の司 純米大吟醸 結の香(ゆいのか)仕込 (1.8L(一升)瓶)
「菊の司 純米大吟醸 結の香仕込」は華やかでフルーティ、そして上品な香り高さが特徴。その味わいは、どこまでも雑味のないクリアさとしっかりとした米の旨味を持ち、清冽な喉越しの奥に「菊の司」らしいこだわりを感じられます。
名前の通り、岩手県が10年の歳月をかけて生み出した最上級の酒米"結の香(ゆいのか)"を使用しており、精米歩合40%という贅沢な磨き方でお米の魅力を引き出しています。吟醸酵母を使用して仕上げた蔵の自慢の一本では、宝石を磨き上げたような素晴らしい魅力の一本です。
このお酒を楽しむならば、やはりキリッと冷やしてその華やかさと綺麗な酒質を楽しむのがおすすめ。特別な日に楽しむのはもちろん、お酒好きの人に贈るにもぴったりなお酒です。
岩手県日本酒ランキング8位:赤武 SEA
出典:日本酒 AKABU (アカブ) SEA 純米 一火入 720ml 【赤武酒造】
「赤武 SEA」は、青リンゴを思わせるようなほどよいスッキリした香りとジューシーでやや辛口の味わい、キレのいい淡麗な仕上がりが特徴。平均年齢20代の蔵人達が、日本を代表する銘酒を醸すという目標を掲げている、赤武酒造ならではのチャレンジ酒です。
純米酒、そして原酒でありながら、アルコール度数は飲みやすい13度。ほのかにガス感もあるため、冷やして飲むと素晴らしい喉越しを楽しめます!サラダなどのさっぱり系のおつまみに合うことはもちろん、夏の太陽をたっぷり浴びたトマトと一緒に味わうのもオススメです。
「赤武 SEA」は限定酒なので入手は多少困難ですが、暑い夏の時期に是非とも楽しみたい一本です!
岩手県日本酒ランキング7位:蔵埠頭COLOR 純米酒
出典:あさ開 蔵埠頭COLOR 純米酒 720ml [ 日本酒 岩手県 ]
盛岡の酒蔵・あさ開の誇る「蔵埠頭COLOR 純米酒」は、お米を感じるなめらかでふくよかな旨みと、心地よい穏やかな酸味が特徴。純米酒らしい旨口タイプの日本酒で、とてもバランスのいい万能のお酒です。
平成の名水百選「大慈清水」を仕込み水に使い、現代の名工にも選ばれた南部杜氏の技術をふんだんに使うあさ開の日本酒。その酒質は飲み飽きせず、和洋中さまざまな料理にも合わせやすい毎日飲みたいお酒です。
どちらかというと辛口の仕上がりで、冷や、またはぬる燗でゆっくりと飲むのがベスト。冷酒で楽しむのはもちろん、オン・ザ・ロックでも充分美味しく楽しめます。
岩手県日本酒ランキング6位:南部美人 純米吟醸
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画像:amazon.co.jp
「南部美人 純米吟醸」は、穏やかで心地良く広がる吟醸香とまろやかな米の甘さと旨味、キレの良い後味が特徴。国内外のコンクールで受賞経験にあるこのお酒は「特別純米酒」と共に、南部美人の主力となる日本酒です。
南部美人のお酒は、蔵のある岩手県二戸市の地域や風土を活かしたお酒造りを目指す「二戸テロワール」を掲げています。独自の火入れ方式を採用するなど、伝統の酒造りだけでなく新たな技術を取り入れ、常に進化を目指しているのです。
「南部美人 純米吟醸」は穏やかな酒質のため、決して派手なお酒ではないですが、一度飲めばうっとりと心に染み込むような味わい。優しく綺麗で優雅な仕上がりは、味の主張が強過ぎない料理と好相性の食中酒としてピッタリの一本です。例えば、旬の食材を活かした上品な和食とは抜群の相性を発揮しますよ!
岩手県日本酒ランキング5位:てづくり七福神 大吟醸 和心伝匠
出典:東北 岩手盛岡の地酒、大吟醸 てづくり七福神 和心伝匠(わしんでんしょう) (720ml(四合)瓶のみ)
「てづくり七福神 大吟醸 和心伝匠」は、静かに、そしてどこまでもふくらんでいく上質な吟醸香と、原酒ならではの米の旨味と流れるような喉越しがたっぷりと味わえる辛口の仕上がりが特徴の一本。酒米の王様"山田錦"を精米歩合40%まで磨き上げ、南部杜氏が丁寧に醸すことで実現したこだわりの日本酒です。
かつて「門外不出」の名を冠していたこのお酒は、南部杜氏がつきっきりで醸し上げます。“無圧絞り”で採られるこだわり抜いた原酒は、人間の技術と自然の力による大いなる調和によって醸し出されます。
鑑評会出品大吟醸を原酒のままビンに詰めており、アルコール度数は17度と少し高め。ツウの方にこそ飲んでもらいたい、そんな一本です。最初はキリッと冷やして香りと鮮烈さを楽しみ、時間とともに味がってくる味の膨らみ方を全身で味わいましょう。
岩手県日本酒ランキング4位:赤武 純米吟醸
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画像:amazon.co.jp
「赤武 純米吟醸」は、青リンゴなどの清涼感のあるフルーティーな香りが特徴の純米吟醸酒。フレッシュさを感じる軽快な呑み口と大らかで包み込むように口中でふくらむ旨さ、辛口のキレと余韻をたっぷりと楽しめる日本酒です。
飲み方としてはキリッと冷やし、ワイングラスなどの香りを堪能できる酒器がオススメ。華やかでカジュアル、そして旨味を堪能できるその味わいは、日本酒を飲み慣れていない人への入門酒としても最適な一本です。洋食にもぴったりなので、パーティーシーンにも向いていますよ。
6代目・古舘龍之介氏を中心に若い力が「赤武酒造の新しい歴史を創る」をコンセプトにしているAKABUシリーズ。今や全国区で人気のお酒は、一度味わえば忘れられない日本酒です!
岩手県日本酒ランキング3位:純米吟醸 夢灯り
出典:あさ開 純米吟醸 夢灯り [ 日本酒 岩手県 1800ml ]
"岩手で一番飲まれている吟醸酒"と、あさ開が紹介する「純米吟醸 夢灯り」は1984年に誕生。比較的穏やかながら果実感をしっかり感じられる香りと、口に含んだときの甘さ、どこまでも透明感のある後味が印象的な日本酒です。
"全米日本酒歓評会2018"金賞受賞、"ワイングラスでおいしい日本酒アワード2019"金賞受賞、"ロンドン酒まつり1996"グランプリ受賞など、国内外で評価されるこのお酒。その味わいは酒造好適米ではなく、食用米の「ひとめぼれ」を使用しています。「食べても旨い米は酒を仕込んでも旨い」という杜氏の信念が形になって生み出された日本酒です。
バランスの良い酒質は、オン・ザ・ロック~ぬる燗まで幅広い温度帯で美味しく楽しめます。オススメの飲み方は冷酒で、せっかくならば受賞歴のあるワイングラスで楽しんでみましょう!
岩手県日本酒ランキング2位:酔仙酒造 活性原酒 雪っこ
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引用:酔仙酒造オンラインストア
岩手県の冬の訪れとともに発売される「活性原酒 雪っこ」は、岩手県で50年以上愛されている酔仙酒造を代表するお酒。アルコール度数20度というその味わいは、にごり酒らしいトロリとした濃厚な甘さだけでなく、不思議なほどにスッと流れていく辛口な後味も備えています。
冷やしてそのまま飲むのはもちろん、その濃厚さとアルコール度数の高さでさまざまなアレンジにも向いています。酔仙酒造では牛乳割りやソーダ割りといったの日本酒カクテルのほか、ライムを入れるなどの楽しみ方も幅広く提案しています。
2011年の震災で会社が全壊したものの、ほかの酒造会社の協力を得てその年にも造られた「活性原酒 雪っこ」は、まさしく岩手県を象徴する日本酒のひとつ。瓶で楽しむのもオススメですが、季節になると岩手県のいたるところに登場するアルミ缶でも是非楽しんでみてください。
岩手県日本酒ランキング1位:南部美人 特別純米酒
出典:南部美人(なんぶびじん) 特別純米酒 1800ml [ 日本酒 岩手県 ]
ランキング1位に輝いた「南部美人 特別純米酒」は、岩手県二戸市産の特別栽培米"ぎんおとめ"を主原料にした「南部美人」の定番商品。主張しすぎない程良いお米や果実の香りと、岩手の日本酒らしい芳醇な米の旨味が感じられる味わい、それでいてしっかりした酸味が全体を引き締める素晴らしいバランスを持った日本酒です。
「究極の食中酒」を目指したというその味わいは、インターナショナルワインチャレンジ(IWC)2017でチャンピオンサケを獲得。海外を含め、エントリーされた1245銘柄の中から堂々たるチャンピオンに選ばれた"世界一"の肩書に相応しいお酒です。和食はもちろん、濃厚な洋食や中華にも合い、お酒と料理がお互いにその良さを高め合います。
飲み方としては冷や・ぬる燗・熱燗などがオススメ。特にぬる燗で飲むことで、お米のまろやかさと引き締まる後味がよりくっきりと浮かび上がります。「南部美人 特別純米酒」のぬる燗と、温かい鍋や汁物の組み合わせは、まさしく心にも体にも染み込む、極上の体験が味わえますよ。
岩手県の酒蔵ランキングtop5
岩手県酒蔵ランキング5位:菊の司酒造
「菊の司酒造」は、安永元年(1772年)に酒造業を開始した盛岡市の酒蔵です。
"香り鮮やか、北国岩手を感じる凛とした美酒を。"という想いのもと、本州一の寒さと、軟水の仕込み水を活かして酒造りを実施。三本柱として「菊の司」「七福神」「平井六右衛門」を世に送り出しています。
岩手県酒蔵ランキング4位:赤武酒造
「赤武酒造」は、明治二十九年(1896年)に創業した盛岡市の酒蔵です。
少人数で妥協しない酒造りを実施。現在、六代目を中心に「赤武酒造の新しい歴史を創る」の合言葉で集まった若者たちが、新しい時代に受け継がれる日本酒を目指しながら「赤武」を醸しています。
岩手県酒蔵ランキング3位:あさ開
「あさ開」は、明治四年(1871年)に創業した盛岡市の酒蔵です。
岩手を代表するブランドであり、地元や全国はもちろん海外でも高い評価を獲得。"時を拓き、心を開く"という創業精神を持ちながら、日本酒「あさ開き」を展開しています。
岩手県酒蔵ランキング2位:酔仙酒造
「酔仙酒造」は、昭和十九年(1944年)に創業した陸前高田市の酒蔵です。
東日本大震災により一度は壊滅・流失した状態から立ち直った復活蔵。地元気仙地域に根を張りながらも、時代を見据えた変化を恐れない酒造りで「多賀多」「酔仙」「Rise Up, KESEN」などの日本酒を醸しています。
岩手県酒蔵ランキング1位:南部美人
「南部美人」は、明治三十五年(1902年)に創業した二戸市の酒蔵です。
「酒造りは何年やっても、毎年が一年生。」という言葉を大切にした酒造りを実施。日本三大杜氏の筆頭"南部杜氏"の洗練された技術と伝統を現在に受け継ぎ、蔵名を冠した名酒「南部美人」を世に送り出しています。
南部杜氏のルーツがわかる!岩手の日本酒を楽しんで!
全国屈指の銘醸地・岩手県。そこで作られる日本酒たちは、伝統を重んじたコクのある芳醇なものばかり。
有名な南部美人の他、赤武など日本酒好きも好んで飲む事が多い銘柄が数多く造られています。
ランキングを参考に、ご自身の好みに合った日本酒を見つけてみてくださいね。