「ベルモット」というお酒は、お酒好きの方にとってはお馴染みながら、なかなか飲む機会が少ないかもしれません。ベルモットは、カクテルの王様「マティーニ」を作る原料であったり、ヨーロッパでは食前酒として一般的に楽しまれているお酒です。
今回は元バーテンダーの視点でベルモットをランキング形式でご紹介していきます。カクテルの材料として使いたいものや、単体で食前酒として楽しみたいものなど、多種多様にあるのでぜひ参考にしてみてくださいね。
ベルモットってどんなお酒?
ベルモット(Vermouth)は、白ワインをベースにして、ニガヨモギやコリアンダー、ナツメグといったハーブやスパイスを数十種類ブレンドして造られるフレーバードワインです。生産地はイタリア、フランスが圧倒的に多いお酒。
酒精強化ワインとして知られる「シェリー」と間違われることもありますが、ベルモットはあくまでも「フレーバードワイン」。酒精強化ワインのシェリーは発酵途中でブランデーなどのアルコールを添加することで度数を上げてコクを出しますが、フレーバードワインであるベルモットはハーブやスパイスで香りづけをするだけなので、その点で大きく味わいやアロマに差があります。
種類は大きく分けてスイートタイプとドライタイプの2種類あり、食前酒やカクテルの材料として使われるのが一般的です。
ドライベルモット
ドライベルモットは飲み口がドライで、フランス産が主流のお酒。クセがあまりないので下手に何も加えずにそのまま飲んでも十分に楽しめます。
より飲みやすくするために炭酸で割ったり、フレッシュなレモンを一絞りすると、より爽やかな飲み口になって美味しいです。
スィートベルモット
イタリアのピエモンテ原産のが有名なスイートベルモット。ロッソ(赤)とビアンコ(白)2種類あります。
ロッソは香りや甘味、苦味が全体的に強めで特徴がはっきりしています。一方で、ビアンコは白ワインそのものの風味を生かした造り方が多く、ハーブ香や苦味は穏やかで、ロッソよりも飲みやすいタイプが多いです。
ベルモットの美味しい飲み方
ベルモットはカクテルに使ったり、食前酒としてロックや炭酸割りで楽しむことができます。
また、芳醇なアロマが特徴のベルモットは「そのままストレートで飲むのが一番美味しい!」と方も多いので、好みによって飲み方を自在に変えられる、ユーティリティなお酒でもあります。
お気に入りのベルモットを選ぶには?
カクテルで楽しむか?そのまま楽しむか?
まずは、ベルモットをどのようにして楽しむかによって選ぶ種類が変わってきます。例えば、ロックで楽しみたいのであれば甘みのあるスイートベルモット。中でも、ロッソと呼ばれる味の強い種類を選ぶ人が多いですね。ロックでも、キリッとすっきり感を味わいたいのであればドライベルモットがおすすめです。
その他、ソーダ割りで楽しむのであればブランコを選ぶなど、そのまま楽しむにしても多くの選択肢があります。
カクテルで使用する場合は、レシピを確認して必要な種類のベルモットを選ぶようにしましょう。カクテルの王様として知られる「マティーニ」をはじめとして「マンハッタン」「ネグローニ」などに使われています。これらはいずれも料理と合わせて飲むのではなく、食前酒として楽しまれることが多いカクテルです。
フレーバー(香り)が加わったベルモット
ハーブ等を漬け込んだ、フレーバードワインとして知られているベルモットですが、各商品ごとにフレーバーが大きく異なります。どのような味わいの特徴があるのかは、以下のランキングを参考に選んでみてくださいね。
その他、フルーツのフレーバーを付けたベルモットも存在します。通常のベルモットよりも飲みやすく、個性的な味わいが楽しめるので初心者でも飲みやすいと思いますよ。
ベルモットランキングTop10
10位 チンザノ ヴェルモット ロッソ
まずは、ベルモットの中でも最大手とも言えるチンザノのロッソをご紹介!苦味を効かせた甘口タイプで、非常に飲みやすいベルモットです。
こちらは、大きな氷を入れてロックで飲むのがおすすめ!苦味が気になる方は、ソーダで割って、レモンを一絞り。暑い夏にもぴったりのカクテルに変身します。
9位 ドラン シャンベリー ドライ
こちらは、フランスのアルプスでとれた天然の高山植物のみを原料にしたベルモット。華やかな香りとスッキリとした酸味が特徴です。
そのまま飲んでも十分に美味しいのですが、まろやかな風味でハーブの香りは控えめなので、個性の強いジンで作るマティーニには、是非ドランシャンベリーを使ってみてください!
8位 エミリオ・ルスタウ・ベルムート
「エミリオ・ルスタウ・ベルムート」は、スペインで造られたベルモット。10種類の厳選されたボタニカルが絶妙にブレンドされています。
このベルモットが他のブランドと一線を画しているのは、「シェリーをベースにしたベルモット」という点。シェリーをベースにしたベルモットは珍しく、風味や味わいも一層個性的に仕上がっています。
普通のベルモットじゃつまらない!という方は、ぜひお試しあれ。
7位 チンザノ ベルモット オランチョ
オランチョは、白ワインをベースに オレンジの天然フレーバーを加えたベルモット。 地中海で育った爽やかなオレンジの風味が、フルーティな味わいを生み出しています。
カットオレンジを添えて炭酸で割ると、見た目も涼しげなカクテルに早変わり。女性にも人気のベルモットです。
6位 カルパノ アンティカフォーミュラ ヴェルモット
出荷前にタンクで1~2年熟成してから瓶詰めするという、トラディショナルな製法を守り抜くカルパノのベルモット。
こちらは少量生産の最高級品。芳醇な味わいが口いっぱいに広がります。贅沢に、ストレートでゆっくりと味わいたい1本です。
5位 マンチーノ ヴェルモット さくら すみれ
こちらは、2017年春マンダリンオリエンタル東京で開催されたポップアップバーのために開発された特別な1本。キナートをベースにして桜とスミレをブレンドしたベルモットです。
華やかな香りで、非常に飲みやすいため、ロックやソーダ割で飲んでいただきたいです。エチケット(ラベル)が可愛いのでお酒が好きな女性へのプレゼントにも最適。
4位 ヴェルモット ロイヤル ブラン NV ラ・カンティニ
こちらは、高級ブランデーの産地でもあるフランスのコニャック地方でつくられたベルモット。通常のベルモットと違い、ピノ・デ・シャラントをヴェルモットに加えています。(※ピノ・デ・シャラントはぶどう果汁にコニャックをブレンドして熟成させた酒精強化ワインのこと)
ピノ・デ・シャラントを加えることで、独特の甘みがかすかに感じられる高級感のある味わいに仕上がっています。ぜひ何も混ぜず、ストレートで味わってほしいです。
3位 チンザノ ベルモット1757 ロッソ
1757年の名を冠した、創業当時から守り抜いているトラディショナルな製法で造られたロッソのベルモットです。複雑なハーブ苦味を感じつつも、バランスのとれたまとまりのある味わい。
ストレートで楽しむのも良いですが、ネグローニを作る材料としても最適!
2位 チンザノ ヴェルモット エクストラドライ
バーテンダー御用達の1本「チンザノ ヴェルモット エクストラドライ」。これを冷凍庫に入れておかないと、バーは開業できないといっても過言ではないスタンダードながら大人気のベルモットです。
マティーニやバンブーを作るには、シンプルでドライなタイプのこちらを使うのが一般的。レモンを絞ってロックでも美味しいですよ。
1位 ノイリー・プラット ヴェルモット ドライ
今回第1位に選出したのは、王道「ノイリープラット」。
バーテンダーはまず、お店におくスタンダードのベルモットを2位にセレクトしたチンザノにするか、こちらのノイリープラットにするか、はっきりと分かれます。ちなみに僕が勤めていたお店はノイリープラットでした。
「チンザノ派VSノイリープラット派」という対立になってしまいますが、どちらも美味しいので試してみてください!
個人的な感想としては、ノイリーの方がマティーニを作る際にジンのボタニカルな香りが引き立つと感じています。
まとめ
いかがでしたか?ベルモットは飲みやすく、美味しい食事を取る前に胃を落ち着かせてくれる重要な役割をもつお酒です。
いつもはビールとハイボールで終わっていた方も、これを機にベルモットで素敵に乾杯してみるのもいいかもしれません。
自宅でカクテルを作る際には、まずは1位ノイリープラットか2位のチンザノお好みの方を選んでみてください!