恵まれた水脈に囲まれていることから、古くから日本酒づくりが盛んな岐阜県。ひんやりとした気候もあいまって、数々の銘酒が生まれる土地でもあり、その多くの酒蔵が100年以上の歴史を有する老舗です。
今回は、そんな岐阜県の日本酒をピックアップ。筆者おすすめの日本酒をランキング形式で10本ご紹介するとともに、人気の酒蔵や岐阜の日本酒の特徴なども合わせて解説していきます。
岐阜県の日本酒の特徴
岐阜県には*48の酒蔵があり、そのうち四十社あまりの蔵元へ酒造好適米「ひだほまれ」が出荷されています。岐阜県ならではの日本酒を楽しみたいなら、同酒米を使用している銘柄を選ぶのが良いでしょう。
また、岐阜県ならではの水と酵母についても注目すべきです。ということで、米・水・酵母の三つをピックアップし、岐阜県の日本酒に迫ります。
*岐阜県酒造組合連合会HPより
米
前述したように、岐阜県を代表する酒造好適米には「ひだほまれ」があります。
同酒米は、北アルプスの山々から流れる雪解け水が潤す田んぼで育った、大自然の恵みをたっぷりと吸収した品種です。現在、年間約一万四千俵が栽培されています。
大粒でタンパク質が少なく、心白の発現率が高いことが特徴。高級酒造りには最適の条件を兼ね備えており、使用すれば甘・辛・酸・渋・苦の五味のバランスが良い日本酒を造れます。
水
北アルプス・白山・伊吹山・恵那山等の山々に囲まれている岐阜県。各山の雪解け水は、長良川・飛騨川・木曽川・揖斐川等の豊かな水量の河川を生み出しており、これらの清流からの伏流水は県内各所に巡っています。
各蔵は、この日本酒造りに最適な水を井戸から汲み上げて使用。岐阜県の清水を活かした酒造りをしているのです。
酵母
岐阜県酒造組合連合会及び、岐阜県内の蔵元と岐阜県産業技術センターが開発した酵母に「G酵母」というものがあります。
9号系派生株であるG酵母は、華やかな吟醸香と高い発酵力が特徴。平成九年(1997年)頃から領布されており、県内の酒造場で、主に吟醸酒・純米酒等の製造に使用されています。
また、平成十四年(2002年)には低アルコール清酒製造を目的とした多酸性G酵母が誕生。平成二二年(2010年)には、作業効率に優れた泡なしタイプのG酵母が開発されました。
岐阜県が生み出したG酵母の利用は、どんどんと広がっています。
これらの米・水・酵母を使用していることが、岐阜県の日本酒の特徴と言えるでしょう。より"岐阜県ならではの味"を楽しみたい時には注目してみてください!
岐阜県の日本酒ランキングtop10
岐阜県日本酒ランキング10位:蓬莱 純米大吟醸 極意傳
出典:蓬莱 純米大吟醸 極意傳 [ 日本酒 岐阜県 180ml ]
「蓬莱 純米大吟醸 極意傳」は、軽やかな吟醸香と落ち着いた深い味わいが特徴。かつて酒屋が売り惜しんだと言われる、渡辺酒造店の"伝説の酒"です。
冷酒か冷やで楽しむのがオススメ。心地良いキレが引き立ち、スイスイと飲み進めることができますよ!
岐阜県日本酒ランキング9位:津島屋 信州産美山錦 純米吟醸 無濾過生原酒
出典:津島屋 (つしまや) 信州産美山錦 純米吟醸 無濾過生原酒 岐阜県産 720ml
「津島屋 信州産美山錦 純米吟醸 無濾過生原酒」は、パイナップルを思わせる華やかな吟醸香、柔らかな甘み、酸による心地良いキレが特徴。2012年4月より展開されている、御代桜醸造の新銘柄です。
冷酒で飲むのに最適な一本で、特に花冷え(10℃程度)がオススメの温度です。香味がバランス良く、口一杯に広がります!
岐阜県日本酒ランキング8位:酒脱 乱
「酒脱 乱」は、昔ながらの酒本来の旨味が特徴。山田錦を100%使用した辛口の日本酒です。
口当たりは優しいので、シンプルに冷やで楽しむのがオススメ。また燗にも最適で、温めれば同商品ならではの味わいが豊かにふくらみます。
岐阜県日本酒ランキング7位:本醸造飛騨自慢 鬼ころし
「本醸造飛騨自慢 鬼ころし」は、淡麗辛口のサラリとした喉越しが特徴。正真正銘元祖THE「鬼ころし」として展開されている、やや辛口の本醸造酒です。
地酒ブームの火付け役としても知られています。"日本酒らしい日本酒"が好きな方にオススメな昔造りの一本です。
岐阜県日本酒ランキング6位:小左衛門 特別純米美山錦
出典:小左衛門(こざえもん)特別純米 信濃美山錦 直汲み 生 720ml
「小左衛門 特別純米美山錦」は、ほのかな香りと優しい旨味が特徴。「小左衛門」ならではの味わいが詰まった特別純米酒です。
美山錦を使用して実現した、果実のニュアンスも楽しめる一本。どんな料理にでも合うので、是非、食中酒として味わってみてください!
岐阜県日本酒ランキング5位:天領 特別純米 飛切り
「天領 特別純米 飛切り」は、落ち着いた旨味と心地良いキレが特徴。代々の造り手(杜氏)より受け継がれた造りを基本に、醸され続けている特別純米酒です。
派手さはないものの、どのような場面でも飲み進められるようなバランスの良さがあります。この中口の仕上がりは、冷やで飲むと高い香りと共にシンプルに楽しめるのでオススメです!
岐阜県日本酒ランキング4位:長良川 超辛口+20
出典:岐阜のお酒、長良川 本醸造 超辛口+20 1.8 L (一升) 瓶
「長良川 超辛口+20」は、日本酒度+20ならではの、スピード感のあるキレが特徴。蔵の伝承技、完全醗酵からのみ醸し出される、小町酒造ならではの"究極辛口"酒です。
また、辛さの先には奥深い旨味もあります。冷やでその味わいをストレートに楽しむか、オン・ザ・ロックでよりキレを引き出して楽しむのがオススメです。
岐阜県日本酒ランキング3位:蓬莱 純米吟醸 明智光秀
出典:蓬莱 純米吟醸 明智光秀 [ 日本酒 岐阜県 300ml ]
「蓬莱 純米吟醸 明智光秀」は、柔らかさの中にある奥深いコク、軽快でなめらかな味わいが特徴。中取りの一番美味しい部分を抜き取り直詰めした、芳醇旨口の稀少酒です。
冷酒、冷や、ぬる燗で美味しい一本。高い品質、バランスの良い香味は、これらのどの温度帯でも崩れることなく飲み手に届きます。
「銀河鉄道999」や「宇宙戦艦ヤマト」などの作者として有名な、漫画界の巨匠"松本零士"とコラボレーションすることで実現したラベルも個性的で見事。飲み終わったら、コレクションとして飾りたくなるようなボトルですね!
岐阜県日本酒ランキング2位:PREMIUM AGEM
出典:AGEM PREM 500ml [ 日本酒 岐阜県 ]
「PREMIUM AGEM」は、オーク樽の個性的な香り、古酒ならではの絶妙な美味しさが特徴。オーク樽に半年間保存しても負けない個性がある、熟成純米古酒です。
バニラや蜂蜜のようなニュアンスがありながらも、決して甘ったるくはなく、しっかりとした主張があります。軽く冷やして、または冷やで味わえば、「PREMIUM AGEM」ならではの香味を心地良く堪能できるでしょう。
食前酒、または食後酒として楽しむのがオススメ。食中酒としては、普通の日本酒とは違い、バターやチーズを使った料理、ドライフルーツ、チョコレートなどが好相性です!
岐阜県日本酒ランキング1位:白川郷 純米にごり酒
出典:三輪酒造 白川郷 純米にごり酒 [ 日本酒 岐阜県 1800ml ]
「白川郷 純米にごり酒」は、米の持つ自然の美味しさ、日本酒度-25の濃醇甘口な仕上がりが特徴。一級清酒の二倍もの酒造米を贅沢に使用した、日本でも数少ない純米にごり酒です。
どぶろく祭にちなんで醸された、どぶろくの製法を活かした一本。醪そのままのため、非常に濃く仕上がっています。
一年中安定した状態で楽しめる、言わば三輪酒造の"究極の逸品"。その確かな酒質は、オン・ザ・ロックで味わったり、冷酒、特に花冷えで堪能するのがオススメです。
食中酒として楽しむ際は、焼肉や焼き鳥、うなぎなど、濃い味付けの料理と合わせてみてください!
岐阜県の酒蔵ランキングtop5
岐阜県酒蔵ランキング5位:天領酒造
天領酒造は、延宝八年(1680年)に創業した下呂市の酒蔵です。
全ての日本酒に酒造好適米を用いており、銘柄は主に飛騨特産"ひだほまれ"と一部は山田錦を使用。水においても、飛騨山脈からの地下水を地下30mから汲み上げた、天然の無菌水(軟水)を100%使用するなど、原料にこだわり酒造りをしています。
代表銘柄は「天領」「日野屋」です。
岐阜県酒蔵ランキング4位:小町酒造
小町酒造は、明治二七年(1894年)に創業した各務原市の酒蔵です。
"水、米、そして自然音楽が醸したお酒"ということをコンセプトに、酒蔵では"宮下 富実夫"作曲の「ヒーリングミュージック(BIWA.inc.)」を一年中響かせながら酒造りを実施。
蔵人にとってはもちろん、日本酒にとっても心地良いであろう環境の中「長良川」を醸しています。
岐阜県酒蔵ランキング3位:渡辺酒造店
「渡辺酒造店」は、明治三年(1870年)に創業した飛騨市の酒蔵です。
"米のいのちを生かすよう、真っ直ぐに醸す、心や人間性の酒造り"を追い求め、伝統と手造りを重視し、古い木の道具を使い、直に感じる香りや手触りを大切に酒造りを実施。
創業以来受け継がれた飛騨厳冬寒造りを活かし、「蓬莱」などの日本酒を醸しています。
岐阜県酒蔵ランキング2位:白木恒助商店
白木恒助商店は、天保六年(1835年)に創業した岐阜市の酒蔵です。
昭和四十年代に社運を全て賭け、古酒造りの取り組みを開始。完成までに何年、何十年と時間が掛かる古酒を見事にヒットさせ、現在では主力商品として、日本だけでなく海外にも展開しています。
代表銘柄は「達磨正宗」。ランキングで紹介した「PREMIUM AGEM」は、酒類輸出卸や酒類国内小売といった事業をしている海琳堂の製品として販売されていますが、製造しているのは白木恒助商店です。
岐阜県酒蔵ランキング1位:三輪酒造
三輪酒造は、天保八年(1837年)に創業した大垣市の酒蔵です。
ランキングでも紹介した「白川郷 純米にごり酒」は、白川村和田元村長が三輪酒造六代目"三輪春雄"に「どぶろく祭り用に売れるどぶろくを造ってもらえないか」という依頼をしたことが製造のきっかけ。昭和五一年、白川村村議会及び名古屋国税局の承認により誕生した歴史ある一品です。
近年もこの流れを絶やすことなく、「純米にごり酒」や「どぶろく白川郷」に特に注力し、それらを全国そして世界へ製造販売しています。
岐阜そして日本を代表するブランドです。
伝統ある銘酒の数々!歴史ある岐阜の日本酒を楽しもう!
100年以上前から酒造りを行っている老舗酒蔵が多い、岐阜県。「木曽三川」と呼ばれている、3つの川々からの良質な水、酒造りに有効な気候環境と、銘酒が生まれる条件が揃っていますね。
また、県内産の「ひだほまれ」由来の上質な酒質と、日本酒ファンでも岐阜の日本酒が好きという方が多いのではないでしょうか?
今回ご紹介した日本酒は、多数のうちのほんの一部。ランキングを参考に、ご自身の好みの1本を見つけてみてくださいね。