梅酒には焼酎を使うことが多いですが、焼酎以外にも、ウォッカやウイスキーなどのお酒を使用する事が可能です。
手作りだからこそ、自分の好きなお酒で梅酒を楽しめます。選ぶお酒によってテイストが変わるので、気分によって選んでみるのも良いですね。
そもそも梅酒ってどんなお酒?
梅、糖類、酒類のみを原料としているアルコール飲料を指し、一般的に販売されている梅酒には酸味料や香料などの添加物が含まれています。
古くは健康に良いとお酒として親しまれており、食前酒として飲まれる事も多いのが特徴。基本的に梅、砂糖、ベースのお酒があれば自宅でも手軽に作る事が出来ます。
飲用アルコールは製造法によって分けると「醸造酒」「蒸留酒」「混成酒」の3種類があり、梅酒に使われるお酒は蒸留酒であることが多いです。
醸造酒とは?
「醸造酒」とは原料にに酵母を加えてアルコール発酵させたものです。アルコール度数は低いものが多く、高くても40度程度です。
蒸留酒とは?
「蒸留酒」とは、醸造酒を蒸留させたお酒です。蒸留酒は醸造酒よりもアルコール度数が高く、40度以上になります。
発酵によるアルコール生成が起こらないため、梅酒作りに向いています。
混成酒とは?
醸造酒や蒸留酒に、香料や植物の種子や果実を混ぜて作ったものです。梅酒も混成酒の一種です。
梅酒に使えるおすすめのお酒
様々なお酒をベースに使用することができる梅酒ですが、ここではその中でも梅酒に合うおすすめのお酒を紹介します。
焼酎
焼酎は日本が世界に誇るお酒の1つです。
焼酎には連続式蒸留で造られる「甲類焼酎」と単式蒸留で造られる「乙類焼酎」があります。
「甲類焼酎」は糖蜜などを原料とした無味無臭の焼酎で、「乙類焼酎」は米や麦、芋を原料とした原料の風味を楽しむことのできる焼酎。
梅酒を作る際は、無味無臭の焼酎を梅酒のベースに選べば梅本来の風味を邪魔しません。甲類焼酎の中でも、梅酒作りにおすすめのお酒はさらに癖の少ないホワイトリカーです。
ホワイトリカーは、主に糖蜜を原料とした無味無臭に近い焼酎であるため、果実酒を作る際にはよく利用されます。梅酒のベースに使うと、梅の風味や甘味といった素材本来の味わいを感じる事ができます。
焼酎については▶︎焼酎「甲類」と「乙類」の違いは?味や製法・飲み方の違いを徹底解説で詳しく解説しています。
ウォッカ
ウォッカは癖が少なく、まろやかな飲み口が特徴です。ライ麦や大麦などの穀物を原料としたお酒ですが、濾過の過程で白樺の炭を使用しているため、ほとんど無味無臭のものが出来上がります。
また、ウォッカにはハーブやフルーツを漬け込みフレーバーを加えた「フレーバードウォッカ」というものがあります。気分を変えて少し変わった梅酒を楽しみたい方は、「フレーバードウォッカ」を選ぶのも良いでしょう。
ウォッカの平均アルコール度数は40度、高いものでは80度近くあるため、梅酒の蒸留酒として使用すれば、アルコール感が強めの梅酒が出来ます。
ウォッカについては▶︎世界4大スピリッツ「ウォッカ」の美味しい飲み方&オススメ銘柄を紹介!で詳しく解説しています。
ウイスキー
ウイスキーは主に大麦麦芽(モルト)を原料として作られており、樽で貯蔵されます。「スコットランド」「日本」「カナダ」「アイルランド」「アメリカ」で製造される「世界5大ウイスキー」が有名です。
それぞれ風土によって原料や製造方法が異なるので、お好きなものを選んでみましょう。ウイスキーを使用する事で、深みのある梅酒を作る事が出来ます。
スコッチウイスキー
「スコットランド」のウイスキーは、地域によっては煙のようなスモーキーな香り、別の地域ではスムースで飲みやすいテイストなど、地域によって多種多様なテイストを持っているのが特徴です。
スコットランドのウイスキーは世界で最も生産されていて、ウイスキー生産量の約7割を占めています。
ジャパニーズウイスキー
「日本」のウイスキーは、スコットランドのウイスキーを手本としていて、スコットランドのウイスキーに日本人特有の繊細さを加えたものになっています。
カナディアンウイスキー
「カナダ」のウイスキーは、ソフトな口当たりが特徴でウイスキーの中でも比較的に飲みやすいです。
アイリッシュウイスキー
「アイルランド」のウイスキーはクセのないマイルドさが特徴。
スコッチが基本的に2回蒸留されているのに対して、アイリッシュウイスキーは蒸留が3回行われているので軽く、飲みやすいウイスキーが多いです。
アメリカンウイスキー
「アメリカ」のウイスキーは原料や製法の違いによって細かく分かれています。
アメリカンウイスキーの中でも有名なのは「バーボンウイスキー」と「テネシーウイスキー」。どちらもトウモロコシを原料としていて、軽く飲みやすいのが特徴です。
日本酒
日本酒は平均アルコール度数が15度で、他のお酒と比較するとアルコール度数が低めです。
ただし梅酒を作る際は、酒税法で「ベースのお酒はアルコール度数が20度のものを使用しなければならない」と決まっているので基本的には使えない物だと考えましょう。
ラム酒
ラム酒はサトウキビを原料とするお酒で、サトウキビの甘味が特徴です。アルコール度数は高いですが、ラム酒にはカラメルのような香ばしい甘味があり、他のお酒よりも比較的飲みやすいお酒です。
ラム酒については▶︎初心者におすすめのラム酒・人気銘柄20選と美味しい飲み方を紹介で詳しく解説しています。
ホワイトラム
ラム酒の中でも、ほとんど熟成されないためウォッカに近い味と言われていて、甘みや香りが軽め。
透明なので、綺麗な色を出したいカクテルとして使われることの多い種類です。
ゴールドラム
味と香りはホワイトラムとダークラムの中間で、甘みと香りのバランスの良さが特徴です。
ダークラム
甘みや風味が強いものが多いのが特徴。香りの強さからお菓子作りの材料として使われることが多いです。
甘いダークラムで梅酒を作れば、スイーツのような甘い香りを楽しむ事ができます。
梅酒の作り方
ベースのお酒が決まったら、いよいよ梅酒作りに入りましょう。もしお家に大きい瓶がなければ、材料を調節してみてくださいね。
材料
青梅:1kg
砂糖:700g前後(甘いお酒を使用する場合は少なめにしましょう)
蒸留酒:1.8L
瓶:5L用で蓋が密閉できるもの
竹串
砂糖は一般的には氷砂糖が使われる事が多いですが、溶けにくいものであれば氷砂糖でなくてもかまいません。
1.瓶を消毒する
まず、使用する瓶は煮沸消毒します。熱湯が瓶に行き渡るように回しながら消毒をしましょう。
湯を捨てて瓶の水気を拭き取ったら、瓶の口を下にして日の当たる場所で乾燥させます。
2.青梅を水で洗う
青梅を流水で丁寧に洗います。この際、梅に傷がつかないように気をつけましょう。
3.青梅をアク抜きする
たっぷりの水を入れたボウルを用意しましょう。そこに青梅を2~4時間ほど入れて、アク抜きをします。これをしないと梅酒に渋みが移ってしまいます。
4.青梅のヘタを取る
青梅の水気を十分に拭き取り、青梅の軸の部分を竹串などで取り除きます。ヘタの縁をなぞるようにすると取りやすいです。
5.瓶に青梅と砂糖を敷き詰める
青梅と砂糖を交互に瓶に入れていきます。
6.瓶に蒸留酒を注ぐ
蒸留酒を静かに瓶の中に注ぎ入れていきます。
7.冷暗所に保管する
瓶に蓋をし、冷暗所に置きます。砂糖が均等になるように週に1度はかき混ぜましょう。
砂糖が溶けたら、あとは梅のしぼみ具合を見ながら、シワシワにならないようにかき混ぜます。
3ヶ月であっさりとした味わいに、1年でコクが出てきます。
長期保存する際は青梅が崩れ、苦味が出てしまうことがあります。1年以上経ったら青梅を取り出しておきましょう。
美味しい梅の選び方
自宅で梅酒を作る際は梅選びが肝心です。美味しい梅の見分け方を知って、美味しい梅酒を作ってみましょう。
1.実の大きいもの
果肉と果汁がたっぷり含まれています。
2.キズの付いていないもの
キズがついていない綺麗な梅を使うと、透き通った綺麗な琥珀色の梅酒に仕上がります。
3.シワがなく、ツヤがあり、瑞々しいもの
シワのある梅は未熟な実であるため、梅のエキスが抽出されにくいです。
梅酒を作る時の注意点
梅酒を作る際にはいくつかの注意点があります。初めの3点は酒税法に記載されている注意点です。日本には「酒税法」というものがあり、酒類になにかを混ぜる際には幾つかの決まりがあります。
1.使用するお酒のアルコール濃度は20度以上のものを使用すること
アルコール濃度が20度以下のお酒を使用してしまうと、発酵が進みアルコールが生成されてしまう可能性があります。
2.梅以外は使用しない
米、麦、あわ、とうもろこし、こうりゃん、きび、ひえ、でんぷん、こうじ、ぶどう等を使用すると、原料が発酵し、それによってアルコールが生成されてしまいます。
これらをお酒と混和してしまうことは違法です。
3.梅酒を販売してはいけない
お酒を販売するには免許が必要です。梅酒を作る際は、個人で楽しむだけにしましょう。
4.梅酒を直射日光に当てない
梅酒を直射日光に当ててしまうと、瓶の中身の温度が急激に上がってしまいます。そうなると梅酒の発酵に悪影響を与えてしまう恐れがありますので、保管場所には気をつけましょう。
5.梅は購入したら早めに使う
梅酒に使用する青梅は、まだ熟していない梅です。梅は収穫した後も少しずつ成長していくため、時間が経ち黄色く熟してしまうと梅酒に使用する事ができなくなります。
梅酒に使用する梅は早めに漬けてしまいましょう。
また、冷蔵庫に入れると低温障害を引き起こし、茶色く変色してしまう恐れがあります。そのため、新聞紙に包んで涼しい場所に置きましょう。
まとめ
梅酒を自分で作る際は幾つかの注意点がありますが、それさえ守れば自宅で手軽に梅酒を楽しむ事ができます。
ベースのお酒として主に使われるのは焼酎ですが、その他のお酒を使って梅酒を作る事も出来ます。色々試してみて、自分のお気に入りの梅酒を作ってみるのも手作りの魅力の一つですね。