サッポロビールといえば日本の有名ビールメーカーとして知られている存在です。
国内では有名ビールは5大ブランドと呼ばれていますが、生産しているメーカーは4社。サッポロビールとヱビスビールは同じメーカーが生産しています。
サッポロビールの看板商品や歴史、工場などの施設について知ることで、なぜサッポロビールなのにヱビスビールも生産しているのか、驚きの答えがわかってきます。
サッポロビールの歴史を知ることでよりビールの味わいを楽しみましょう!
サッポロビールの看板商品
サッポロビールといえばもちろん星のマークがついたサッポロ生ビール黒ラベルをイメージする人は多いのでしょうか?
実はサッポロビールはビールはもちろんチューハイ・カクテルやワイン、焼酎など様々なジャンルで人気商品を販売しています。
各ジャンルの人気商品について紹介していきます。
ビール系商品
サッポロビールのビールテイストの代表といえばサッポロ生ビール黒ラベルですが、そのほかにも皆さんご存知の商品が多くあります。
ビール
サッポロといえば、やはり「黒ラベル」が代表商品と言えるでしょう。また「ヱビスビール」シリーズも大人気銘柄の1つですね。
詳しくは後述するサッポロビールの歴史で紹介しますが、実は過去にサッポロビールとアサヒビールとヱビスビールが合同会社を立ち上げており、その後サッポロビールとヱビスビールが今のサッポロビールになっているんです。
ビールテイスト飲料
近年人気が高まっている発泡酒では麦とホップシリーズなどが人気を博しています。
また、ノンアルコールビールにも力を入れており、ビールの味わいを楽しめるプレミアムフリーやノンアルコールビールテイスト飲料史上初の特定保健用食品、トクホであるサッポロプラスがあります。
チューハイ・カクテル
チューハイやカクテル類では、99.99シリーズや男梅サワーが人気商品となっています。特に99.99は飲みやすさとその破壊力から呑兵衛たちから絶大な人気を博しています。
味も様々な種類があるのでお気に入りが見つかること間違いなし。
飲みやすいですがアルコール度数が高いため、飲みすぎには注意が必要です。
梅干しサワー系では、男梅サワーがダントツで人気です。
また、女性や甘いお酒が好きな人からは、ネクターのピーチサワーや愛のスコールホワイトサワーシリーズ、キレートレモンサワーといった商品も人気があります。
ワイン
「サッポロビールがワイン?」と意外に思う人も多いと思いますが、実はワインにも力を入れています。
現在は輸入高級ワインが好調で「グランポレール」や「テタンジェ」、「マルケス・デ・リスカル」、「ベンフォールズ」といった銘柄が人気となっています。
一方でサッポロビールが1994年から造っているロングセラーブランドの「うれしいワイン」も人気があります。このワインは岡山県の自社ワイナリーで製造しており、見学に行くこともできます。
お手頃な値段でおいしいと人気なので一、度試してみてはいかがでしょうか?
焼酎
サッポロビールは焼酎も幅広く生産しています。
「トライアングル」シリーズや甲類と乙類を混和させた「こくいも」などを筆頭に幅広い種類の焼酎がラインナップされています。
梅酒
白加賀などの本格的な梅酒から、梅酒ベースのカクテル「ウメカク」など、幅広い商品をリリースしており、飲みやすいテイストから様々なユーザーから人気を獲得しています。
もともと飲みやすいお酒を生産するイメージのサッポロビールブランドをしっかりとアピールできる逸品ばかりです。
洋酒
サッポロビールは洋酒の取り扱いも豊富です。
ラムは「バカルディ」ジンなら「ボンベイ・サファイヤ」、ウォッカなら「グレイグース」、ウイスキーなら「カティサーク」「デュワーズ」など様々な有名な洋酒を日本で取り扱っています。
価格もお手軽なものから高級なブランデーまでがラインナップされているので、あなたが飲んでいる洋酒も、もしかするとサッポロビールの取り扱い商品かもしれません。
リキュール・その他
クレームドカシスやピーチリキュール、リモンチェッロなども販売していますが、レモンサワーの素などの国内で人気の商品も販売しています。
バカルディのモヒートを手軽に楽しめるスタイルの商品はこのような試みから今れたのかもしれませんね!
伝説のCM
ビールメーカーは各社CMに力を入れていますが、様々な話題を呼ぶ作品が多くあります。サッポロビールの最近のCMは「大人エレベーター」などがありますよね。
男は黙ってサッポロビール
サッポロビールのCMの中でも特に大きなインパクトを与えたCMとして「男は黙ってサッポロビール」がキャッチフレーズとなった伝説のCMあります。
当時のサッポロビールのヘビーユーザーは男性でしたが、爽やかで切れ味のある味わいからやや女性的とされており、大きく方向を変えるためにこのCMが放映され話題になりました。
三船美佳さんの父、世界の三船敏郎さんを起用し、テレビCMは三船さんの映像に音楽と文字だけが流れるというシンプルなCMが大ヒットし、サッポロビールの新卒採用の面接時にある学生が終始黙ったまま座り、面接官がなぜ黙っているのかを聞くと「男は黙ってサッポロビール」と言い放ったという噂が生まれるほどだったそうです。
サッポロビールの歴史
サッポロビールの歴史が始まったのは、北海道が蝦夷地から呼び名が変わってすぐの時期。明治2年、今から約140年も前に明治政府は北海道で様々な事業をスタートさせました。
その1つがビール醸造業でした。また、この時期に北海道大学の前身となる札幌農学校も設立されます。
北海道に自生するホップを見つける
ビール事業がスタートする前、北海道に自生するホップが発見されることによってビール事業が検討されたといいます。
野生のホップを発見したのは、海外から日本の発展のために呼ばれたお雇い外国人の化学担当のトーマス・アンチセルという人物。
野生のホップが生えるということは、北海道にホップが育つ環境があることに気がつきビール醸造業への可能性を見つけたのです。
開拓使麦酒醸造所の開業
明治9年、開拓使醸造所が開設されました。
醸造所は東京に建設される予定でしたが、醸造所の責任者である村橋久成氏がクビを覚悟で「美味しいビール造りのためには北海道に建設することが重要である」と上官に直談判したことから、北海道に醸造所が建設されたのだそう。
高級ビールの発売
ビール作りを指揮したのは、日本人で初めてビールの本場・ドイツでビール造りを学んだ中川清兵衛という人物。
完成した北海道初のビールは、冷製「札幌ビール」と名付けられました。売り出し価格は大びん1本16銭で、上等な日本酒の平均価格が1升(1.8L)で4銭5厘ということを考えると、相当高価と言えます。
サッポロビールの星マークの由来
サッポロビールといえば星マークをイメージすると思いますが、正式名称は「五稜星」。
北海道がまだ蝦夷地と呼ばれていた頃、蝦夷地を開拓していた開拓使たちが北海道を目指す時に目印にしていた北極星が元になっています。
未開の地を開拓していったフロンティア精神が、サッポロビール伝統のシンボルとなりました。この五稜星は、最初に発売された冷製「札幌ビール」のラベルから描かれています。
札幌麦酒醸造所の設立
開拓使麦酒醸造所は明治15年の開拓使の廃止と主に、民間企業として活動を始めます。名前を改め、最終的には「札幌麦酒会社」となったのです。
札幌麦酒会社の経営陣には明治の財界人が多くいました。
その中には2024年から新貨幣の肖像画になる渋沢栄一もいました。
熱処理ビールの発売
明治21年にはビールの熱処理ができるようになります。
瓶の中に残った酵母を死滅させることによって、長距離輸送に耐えることができるようになったのです。
また、輸送中の発酵を防ぐために札幌-東京間の輸送では低温を保つために夏場は氷と共に出荷していたため、熱処理ビールの登場によって高価な天然氷のコストが削減できるようになりました。
しかし、現在と比較すると当時の熱処理はまだまだ発展途中のため輸送中にビールが発酵してしまい、輸送中のビールが全て吹き出してしまったこともあったそうです。
東京進出
1903年、札幌麦酒株式会社(サッポロビール)は札幌工場に加えて東京工場を完成させることで東京に進出します。厳しい市場争いを制し、なんと進出して2年で業界シェア1位を獲得するに至りました。
大日本麦酒の設立のきっかけ
札幌麦酒株式会社の急成長によって大打撃を受けた日本麦酒株式会社(ヱビスビール)は「、競争よりも団結」を打ち出し業界の再編成を提案します。
そして大阪麦酒株式会社(アサヒビール)との3社合併が実現し、大日本麦酒株式会社が設立されます。その市場シェアはなんと7割と、業界を独占してしまう勢いでした。
戦時中は世界中に東洋最大のビールメーカーとしてビール会社を展開していきます。有名な中国の「青島ビール」もその一つです。
終戦後の大日本麦酒の分割
第二次世界大終了後、過度経済力集中排除法によって、サッポロ・ヱビスのブランドを引き継ぐ日本麦酒株式会社とアサヒのブランドを受け継ぐ朝日麦酒株式会社に分割されます。
日本麦酒は全国展開を意識し、「日本ビール」と命名されるのです。
サッポロビール、エビスビールの復活
その後かつての味わいを懐かしむ人からの熱い要望によって北海道でサッポロビールが復活。全国的な復活を果たし、社名も「サッポロビール」に変更されました。
また、その後を追うようにヱビスビールの販売も復活することになります。
サッポロビール株式会社へ
その後、サッポロビールはサッポロホールディングスの酒類事業を担う中核企業となっています。サッポロホールディングスは酒類だけではなく、「飲料」「外食」「不動産事業」と幅広い事業展開を行なっています。
ポッカコーポレーションの買収
サッポロは実はヱビスの他にも有名なブランドを持つ企業を持っています。それが「ポッカコーポレーション」です。
ポッカコーポレーションといえば、キレートレモンやスープのじっくりコトコトシリーズが人気商品。
紹介したキレートレモンサワーを発売していた背景には、キレートレモンを持つポッカコーポレーションを買収していたからでした。
実は食品・飲料業界の企業同士の合併は行われているので、知っているブランドを全く違う企業が持っていたなんてこともあります。
みなさんが知っている食品・飲料業界の知識だからこそ、披露する機会は少なくないのかもしれません。
工場以外にも!サッポロビールを楽しむ施設
全国に多数あるサッポロビールの工場やワイナリーでは見学や併設されている施設で食事を楽しむことができます。
ここでは、工場以外でもサッポロをビールを楽しむことができる施設を3つ紹介します。
恵比寿ガーデンプレイス
関東圏に住んでいる方であれば、もっとも行きやすく馴染みがあるのがJR恵比寿駅にある恵比寿ガーデンプレイスではないでしょうか。
恵比寿はヱビスビール発祥の地ということもあり、「ヱビス記念館」という1890年誕生からの歴史と時代を超えたヱビスの美味しさを五感で堪能することができるミュージアムとなっています。
また、恵比寿ガーデンプレイスは映画や美術館、絶品グルメなどをオシャレな雰囲気で楽しむことができる施設。楽しくお酒を楽しむきっかけとして「ヱビス記念館」に足を運んでみてはいかがでしょうか?
岡山ワイナリー
岡山県赤盤市にある西日本最大級のワイナリーです。緑と清流に恵まれた、異国情緒豊かな風景が特徴です。入館料・見学料は無料なのも嬉しいポイント。
この施設では、ワインのパッケージングラインや熟成中のワイン樽、敷地内にあるぶどう畑に加えてワイナリーショップで試飲をすることができます。
特にテイスティングは無料で5~6種類を楽しむことができ、有料では常時グランポレールなどの10種類を楽しむことができます。ぶどうジュースも用意されているので飲めない未成年の方も楽しめることができるでしょう。
サッポロガーデンパーク
サッポロビールの本拠地でもある北海道札幌に位置し、JR札幌駅から路線バスで約7分とアクセスのがいいサッポロガーデンパーク。2003年に閉鎖した工場跡地を利用し、複数の施設が敷地内にあります。
緑豊かでバラエティ豊かな撮影スポットを楽しめるサッポロガーデンパークですが、園内にある特に「サッポロビール園」と「サッポロ博物館」について紹介したいと思います。
サッポロ博物館
先人のドラマや歴史、広告ポスターなどを展示を楽しむことができることに加えて、ビールの試飲ができる点が大きな魅力となっています。
試飲できるビールはおなじみのサッポロ生ビール黒ラベルに加えて、創業当時の製法を再現した「復刻札幌製麦酒」や「開拓使麦酒」など
なお「復刻札幌製麦酒」はツアー参加者限定となっているため、注意が必要です。その他限定のお土産や記念撮影スポットなどを楽しむことができます。
サッポロビール園
ジンギスカンとサッポロビールを一緒に楽しむことができるのが最大の特徴!
道産子のソウルフードラム肉にサッポロビール園でしか飲めないプレミアムビールの復刻版「サッポロファイブスター」の組み合わせは北海道での最高の思い出になること間違いなしでしょう。
全部で5つあるホールでは、それぞれ提供している肉の種類が異なるだけでなく、ホールによっては寿司やカニを食べることもできます。さらに無煙ロースターやテラス席もあるので、ハシゴもよし、誰でも何度でも楽しめる場所となっています。
まとめ
サッポロビールを知っている人は多くても、ビール以外の看板商品や歴史、工場などについて知ってる人は少ないのではないでしょうか?
歴史を知ることによって明日からのサッポロビールの味わいがより美味しく変化するはずです。
また、紹介した各地の工場やスポットの近くに行くことがあればぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか?