国際品種として広く愛される白ぶどう品種、ソーヴィニヨン・ブラン。コンビニエンスストアやスーパーマーケットのワイン売り場でも取り扱いが多く、親しみのある方も多いのではないでしょうか。
今回の記事では、そんなソーヴィニヨン・ブランをテーマに、ワインエキスパートの筆者が、日本で手に入れやすいおすすめのワインをランキング形式で10本ご紹介します。
一般的なスティル・ワインだけでなく、微発泡のソーヴィニヨン・ブランや、ソーヴィニヨン・ブランを用いたデザートワインも取り上げました。
ソーヴィニヨン・ブランの新たな魅力に出会うために、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
ソーヴィニヨン・ブランの基礎知識
ソーヴィニヨン・ブランの特徴
ソーヴィニヨン・ブランは、世界中で広く栽培されている国際品種です。赤ワイン品種として有名なカベルネ・ソーヴィニヨンの親にあたる品種で、出身地はフランスのボルドーやロワール渓谷だとされています。
比較的小さな葉と果房を持ち、じっくりと熟してゆく晩熟品種です。同じく国際的な白ぶどう品種のシャルドネに比べて、温暖な気候に向いているため、チリやイタリアなどの温かい地域でも栽培されています。
ソーヴィニヨン・ブランの味わい
ソーヴィニヨン・ブランは豊かなアロマを持ち、いきいきとした酸と爽やかな果実味が魅力的な品種です。
しかしながら、香りのニュアンスは産地によって異なります。冷涼な地域では、ライムやレモン、青りんご、フレッシュハーブを思わせるような爽やかな香りが出やすく、温暖な地域ではグレープフルーツやパッションフルーツなどの鮮やかな果実味や、ドライハーブのような少し乾いた冷涼感が表現される傾向にあります。
ソーヴィニヨン・ブランの主な産地
ソーヴィニヨン・ブランはシャルドネに次ぐ国際品種であり、世界中で栽培されていますが、ここでは特に優れたソーヴィニヨン・ブランワインを生み出している銘醸地をご紹介します。
フランス(ボルドー)
フランスのボルドー地方は、ソーヴィニヨン・ブラン発祥の地だとされている地域です。ボルドーでは、ソーヴィニヨン・ブランをセミヨンという品種とブレンドして使うことが多く、しっかりとした骨格を持つ白ワインが造られます。また、樽の香りが効いたワインが多いのも特徴です。
フランス(ロワール)
ロワール渓谷でも、古くからソーヴィニヨン・ブランが栽培されてきました。同じフランスでも、ロワール地方では、ほかの品種と混ぜずにソーヴィニヨン・ブランのみでワインを造るのが一般的です。
特に、石灰質土壌を持つサンセールやプイィ・フュメでは、心地よいミネラル感とフレッシュハーブのような爽やかさを伴う上質なソーヴィニヨン・ブランワインが生み出されています。
ニュージーランド(マールボロ)
フランスのボルドーやロワールと並んで高く評価されているのが、ニュージーランドのワインです。とりわけ、南島のマールボロ地区は「ソーヴィニヨン・ブランの聖地」とも言われ、気温差が大きく日照時間が長い特徴的な環境の中で、優れたソーヴィニヨン・ブランを生み出しています。
ビビッドな果実味や清涼感のあるドライハーブの香りが、ニュージーランド産ソーヴィニヨン・ブランの魅力です。
専門家が選ぶ!ソーヴィニヨン・ブランのおすすめランキング10選
第10位:セラー・セレクション・ソーヴィニヨン・ブラン/シレーニ・エステート
最初にご紹介するのは、ニュージーランドのホークス・ベイで高品質なワインを造り、世界的な評価を受けている生産者、シレーニによるソーヴィニヨン・ブラン「セラー・セレクション・ソーヴィニヨン・ブラン」です。
バランスに優れたこちらのワインは、幅広いお料理に合わせやすいのが魅力。ワイン専門誌『ワイン王国 55号』や雑誌『一個人』などの特集で、非常に高い評価を受けた実績もあります。
豊かな果実感とドライな味わいを楽しめる、ハイコストパフォーマンスなワインです。
第9位:オイスター・ベイ・マールボロ・ソーヴィニヨン・ブラン/デリゲッツ・ワイン・エステート
続けて、ニュージーランドの「オイスター・ベイ・マールボロ・ソーヴィニヨン・ブラン」をご紹介。「牡蠣の入り江」という名前を持つこのキュヴェは、60年以上にわたってニュージーランドのワイン造りを牽引してきたデリゲッツ・ワイン・エステートが造る1本です。
銘醸地であるマールボロ地区の恵まれた環境で育ったソーヴィニヨン・ブランを使用し、短期間だけ澱とともに熟成させたあと、澱引きをして若いうちにボトリングしています。
パッションフルーツを思わせるフレッシュな果実味ときれのよい酸が特長。牡蠣にはもちろん、さっぱりとした和食とも好相性です。
第8位:オーガニック・ソーヴィニヨン・ブラン/コノスル
チリでハイコストパフォーマンスなワインを造る生産者として日本でも人気のコノスルによる1本「オーガニック・ソーヴィニヨン・ブラン」。
こちらのワインは、ドイツの有機農産物認定機関「BCSエコ」の認定を受けた有機栽培ぶどうを100%使用したオーガニックなソーヴィニヨン・ブラン。みずみずしい果実感が凝縮されています。
ライムやグレープフルーツに加えて、白桃のようなニュアンスも感じられます。酸味やミネラル感も心地よく、低価格だとは感じさせないハイクオリティなワインです。
第7位:サンセール・レ・カルトロン/セバスチャン・リフォー
フランスのサンセールで「自分が飲みたくないものを造らないこと」をモットーに、ナチュラルなワイン造りをおこなうセバスチャン・リフォーによる「サンセール・レ・カルトロン」。
こちらのキュヴェは、数あるサンセールの中でもスタンダードな1本。ステンレスタンクで発酵ののち、そのまま2年のあいだ澱とともに熟成させ、軽くフィルターをかけて仕上げています。
ナチュラルワインの中でも癖がなく、誰にでも楽しめる味わいです。柑橘類や青りんごのフレッシュな香りと良質な酸、じわじわと増してくる旨味をゆっくり楽しんでください。
第6位:サンセール・ル・シェーヌ・マルシャン/パスカル・ジョリヴェ
続いては、「ソーヴィニヨン・ブランの魔術師」の異名を持つフランスの造り手、パスカル・ジョリヴェのワイン「サンセール・ル・シェーヌ・マルシャン」をご紹介しましょう。パスカル・ジョリヴェは、土地ごとのテロワールを見事に活かし、多種多様なソーヴィニヨン・ブランワインを生み出しています。
こちらのキュヴェでは、ライムやグレープフルーツの爽やかな果実感と花のアロマ、甘みのある岩塩のような心地よいミネラル感が見事に調和しています。
第7位のワインと同じサンセールで造られていますので、飲み比べてみるのはいかがでしょうか。
第5位:ソーヴィニヨン・フリッツァンテ/カミッロ・ドナーティ
イタリアで、瓶内2次発酵によって造られた微発泡のソーヴィニヨン・ブラン「ソーヴィニヨン・フリッツァンテ」。
造り手のカミッロ・ドナーティは、伝統的な製法にこだわっておいしいワインを造り続けています。こちらのキュヴェも、温度管理を一切おこなわず、フィルタリングも木綿の袋を用いて重力以外の圧力をかけずにおこなうなど、伝統を守る姿勢が頑なに貫かれているのです。
清涼感のあるアロマ、いきいきとした豊かな果実感に泡が軽やかさを与えます。ソーヴィニヨン・ブランの泡を飲んだことがない方は、ぜひ一度味わってみてください。
第4位:夢久/ケンゾー・エステート
続いて、アメリカの有名生産者であるケンゾー・エステートが、ソーヴィニヨン・ブランから造るデザートワイン「夢久」をご紹介します。
理想的な状態に育ったぶどうのみを選び、収穫を1か月ほど遅らせて、糖度が高まるのを待ってから摘み取り、ゆっくりと丁寧にプレス。そうして搾り取られたシロップのような果汁を低温環境で落ち着かせたあとに発酵させて、こちらの素晴らしい甘口ワインが造られます。
豊かで甘やかな香りと凝縮した果実味を持つ、幸福感に満ちたデザートワインです。
第3位:シャトー・カルボニュー・ブラン/シャトー・カルボニュー
続いては、フランス・ボルドーで造られるワイン「シャトー・カルボニュー・ブラン」をご紹介します。グラーヴ地区で、赤ワイン・白ワインともに格付けシャトーとして選ばれているシャトー・カルボニューのワインです。
ぶどうの香りを最大限に表現するために、スキンコンタクトと圧搾をおこなったあと、樽内で発酵。その後、8~9か月間熟成させてリリースされます。
柑橘類の爽やかなアロマと白い花を思わせるほのかな甘い香り。果実味と樽のニュアンスが非常にバランスよくお互いを引き立て合う、気品あふれるワインです。
第2位:リュー・ド・ヴァン・ソーヴィニヨン・ブラン/リュー・ド・ヴァン
第2位としてご紹介するのは、日本の長野県で造られる「リュー・ド・ヴァン・ソーヴィニヨン・ブラン」。造り手は、フランスや山梨、安曇野のワイナリーで腕を鍛えたオーナーが、東御市で2006年にスタートさせたワイナリー、リュー・ド・ヴァンです。
品種の特徴であるアロマをたっぷりと感じられ、上質な酸が、まろやかで優しい味わいの中で素晴らしいアクセントとなっています。余韻に感じられるはちみつのような甘やかさも魅力的。
新緑を思わせるような、爽やかで心地よいワインです。
第1位:テ・ココ ソーヴィニヨン・ブラン/クラウディ・ベイ
今回第1位に選出したのは、ニュージーランド・マールボロのソーヴィニヨン・ブランを世界に知らしめた生産者、クラウディ・ベイの上級キュヴェ「テ・ココ ソーヴィニヨン・ブラン」。
クラウディ・ベイは、昼夜の温度差が非常に大きく、「一日の中に四季がある」とも言われるマールボロのテロワールを鮮やかに表現した、いきいきとしたワインを造っています。
こちらのテ・ココは、マールボロの素晴らしい環境で育ったソーヴィニヨン・ブランを小樽で自然発酵させて、長期間熟成。完熟した柑橘類や南国フルーツのような凝縮した香りと、キャラメルやクレームブリュレを思わせる甘くてほろ苦いフレーバーが見事に調和します。
ただ爽やかなだけではないソーヴィニヨン・ブランの魅力を、ぜひ味わってみてください。
ソーヴィニヨン・ブランのおいしさをもっと楽しもう!
ソーヴィニヨン・ブランで造られたワインには、柑橘類やハーブのような爽やかなニュアンスがあります。レモンを搾りたくなるお料理やハーブの入ったお料理と合わせると、相乗効果でよりおいしく味わえるでしょう。
ソーヴィニヨン・ブランは、しっかりとした個性を有する品種ではありますが、できあがるワインの香りや味わいは産地や造り手によって異なります。本記事を参考に、ぜひいろいろなソーヴィニヨン・ブランを楽しんでみてください。