ワインの世界では、ニューワールドと呼ばれているアメリカ。ワイン大国のイメージがある方は少ないかもしれませんが、安値のデイリーワインから高級なワインまで幅広く生産している、ワイン好きも注目する国なんです。
この記事では、ソムリエの私が人気のアメリカワインのおすすめ商品をランキング形式で10本ご紹介!さらに、アメリカワインの歴史や味の特徴、ぶどう品種に至るまで詳しく解説していきます。
アメリカワインの歴史と特徴
アメリカワインの醸造は、18世紀の後半に始まります。フランスやイタリアと言ったワイン先進国と比較すると、その歴史は浅いためワインの世界においてアメリカは「ニューワールド」と呼ばれている国です。
アメリカワインは、その大部分を大手のワインメーカーが生産しているのが特徴。しかしながら、ほんの一部の高級ワインは「ブティック・ワイナリー」とよばれるカリスマ的な小規模のワイナリーが造っています。
アメリカワインの中でも特に品質の高いカリフォルニアワイン
アメリカのワインにおける生産量の実に90%を占める、カリフォルニアワイン。ニューワールドと呼ばれる新興国の中でも、その品質の高さは随一。そのレベルの高さを裏づける、有名な話があります。
1976年のパリの試飲会。審査員が、超一流のフランスワインとカルフォルニアワインをブラインドテイスティングしました。すると、カリフォルニアワインが高得点を獲得。なんと、参加ワイナリーの中で第1位に輝いたのです。もちろん、会場は騒然となり審査員は大きな衝撃を受けたといいます。
つまり、アメリカワインはニューワールドと言えど、香りと味わいは歴史あるワイン先進国にも負けないクオリティーとポテンシャルがあるというわけなのです!
アメリカで生まれた定義?「カルトワイン」とは?
カルトワインとは、1990年代にアメリカで生まれた定義(言葉)です。
今では広く使われるようになった言葉ではありますが、その定義は曖昧。一般的にはカリフォルニアのナパバレーを中心に作られた、高品質なワインのことを指します。
しかしながら、ただ単に高品質なワインでは「カルトワイン」とは言いません。高品質なことに加え、ごく少数しか生産されないため入手するのが困難な本数が非常に限られたワインのことを「カルトワイン」と呼ぶのです。
要するに、オカルト的な人気のある手に入りにくいワインということですね。アメリカワインを語る上では、よく出てくる言葉なので覚えておくといいかもしれませんね!
生産地と特徴
アメリカワインの主な生産地は、生産量の多い順にカリフォルニア州・ワシントン州・ニューヨーク州・オレゴン州と続きます。以下では、それぞれの生産地とその特徴をご紹介していきます。
・カリフォルニア州
アメリカ西海岸のカリフォルニア州は、アメリカワインの生産量約90%を占めるアメリカ最大のワイン生産地。
北部、南部、太平洋の海岸線沿い、内陸部など、すべての地域がブドウ栽培に向いているといわれるワイン天国のような環境が、この結果をもたらしているのでしょう。
最も有名な地域は、ノース・コーストのナパ・カウンティとソノマ・カウンティ。次いで、セントラル・コースト、セントラル・ヴァレーが挙げられます。
ノース・コースト(ナパ・カウンティ、ソノマ・カウンティ)
サンフランシスコの北側に位置し、太平洋の海岸沿いにあるワインの主要産地。世界にその名を轟かせるナパ・カウンティとソノマ・カウンティがあります。
ナパ・カウンテは、カリフォルニア屈指の銘醸他。南は海風の影響で冷涼ですが、北は温暖。カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブランによるワインが有名ですが、特に、ナパ・ヴァレーのカベルネ・ソーヴィニヨンは、極上で厳格さを感じるほどのクオリテイ!!カルト・ワインで有名な「オーパス・ワン」、「スクリーミング・イーグル」なども、ここで産声を上げています。
一方、ソノマ・カウンティはナパ・カウンティの西側に位置する冷涼な地域。シャルドネ、カベルネ・ソーヴィニヨンのほか、ピノ・ノワールからワインが造られます。特に、ピノ・ノワールの赤ワインは、ワインラヴァー注目の的です。
セントラル・コースト
ノース・コーストの南側に位置するワイン生産地。点在する10のカウンティの中では、バラエティ豊かなワインが造られています。
セントラル・ヴァレー
内陸部の広大なワイン生産地。温度が高く乾燥した気候で、カリフォルニア州の約70%のブドウが栽培されています。
・ワシントン州
フランスのブルゴーニュ地方と同じ緯度に位置するワシントン州も、有名なワイン生産州。
主要な生産地は、内陸中央部に広がるコロンビア・ヴァレーです。コロンビア・ヴァレーは、寒暖差の大きい乾燥した大陸性気候の砂質土壌。マイナーなイメージですが、周辺ではカベルネ・ソーヴィニヨンのカルト・ワインが造られています。中でも、リースリングを使用した白ワインは、注目の1本です。
・ニューヨーク州
アメリカの北東部に位置するニューヨーク州。主要なワイン生産地は、内陸部の冷涼な大陸性気候のフィンガー・レイクスです。近年、洗練された、辛口のリースリングが人気を博しています。
・オレゴン州
アメリカの北西部に位置する温暖な気候のオレゴン州。ブドウ栽培面積の約60%をピノ・ノワールが占めており、その評価も非常に高く世界中から賛美の声が届きます。
アメリカ特有のブドウ品種
多様なワインが作られているアメリカですが、中でも注目したい特有のブドウ品種は、ジンファンデルとルビー・カベルネです。
・ジンファンデル
クロアチア原産ですが、カリフォルニア原産だと思われるほど、アメリカのあちこちで栽培されている黒ブドウ。アルコール度数が高く、甘味が強いのが特徴。イタリアが有名なプリミティーヴォと同一種です。
・ルビー・カベルネ
アメリカ原産のぶどうルビー・カベルネ。1949年、カリフオルニア大学でカベルネ・ソーヴィニヨンとカリニャンの交配によって誕生した黒ブドウです。
ブルーベリーやチェリーの香りを楽しめる他、果実味も豊かでほどよい酸味も感じられるのが特徴。風味よりも、その濃厚な色合いが特徴的なため、ブレンドワインの色付けに用いられることも少なくはありません。
アメリカワインおすすめランキングTop10の発表!
10位 ツーヴァインズ リースリング/ツーヴァインズ・ワイナリー
ワシントンのワインが飲みたいなら、リースリングの白ワイン「ツーヴァインズ リースリング」はいかがでしょうか。こちらでご紹介するツーヴァインズ・ワイナリーは、ワシントンでNO.1の規模を誇る著名なコロンビア・クレストの兄弟ワイナリーです。
「ツーヴァインズ リースリング」は、ワイン専門誌で数々の賞を受賞している白ワイン。ミネラル、花、ライム、ハチミツを連想させる風味は、高貴な印象を与えます。
やや甘口なので、ワイン初心者でも楽しみやすいはず!女子会に持っていくワインとして購入してみては?
9位 ロバート・モンダヴィ・プライベート・セレクション カベルネ・ソーヴィニヨン/ロバート・モンダヴィ・ワイナリー
ロバート・モンダヴィ・ワイナリーは、1966年にロバート・モンダヴィがカリフォルニアのナパ・ヴァレーに設立したワイナリー。モンダヴィは、「オーパス・ワン」や「ルーチェ」をプロデュースしたカリフォルニアワインの重鎮です。
こちらでご紹介する「ロバート・モンダヴィ・プライベート・セレクション カベルネ・ソーヴィニヨン」は、その名の通り、家族や友人と飲むためのシリーズ。
カリフォルニアワインの重鎮、モンダヴィのワインがこの価格で飲めるなんて......超お得としか言いようがありません!
口いっぱいに広がる複雑な味わいは、さすがのひと言。ハイコスパのデイリーワインとして、重宝すること請け合いです。
8位 ピノ・ノワール椿ラベル/オー・ボン・クリマ
オー・ボン・クリマは、1972年に“カリフォルニアの怪人”ジム・クレデネンが設立したワイナリー。ジム・クレデネンは、ブルゴーニュの神様と仰がれるアンリ・ジャイエに師事した人物としても知られており、ワイン評論家ロバート・パーカーが大絶賛するワイン醸造家のひとりです。
こちらの「ピノ・ノワール椿ラベル」は、ピノ・ノワールとサヴォワの古代品種モンデューズをブレンドした赤ワイン。
日本の現代美術家・椿昇がラベルに描いた酵母の精霊は、異次元の世界への誘い?
どこか和のテイストを感じる一風変わったこのワインは、ぜひ一度飲んでみてほしい1本です。
7位 ソフィア・ロゼ/フランシス・フォード・コッポラ・ワイナリー
フランシス・フォード・コッポラ・ワイナリーは、ゴットファーザーを制作した映画監督フランシス・フォード・コッポラが2006年にカリフォルニアで設立したワイナリー。
こちらの「ソフィア・ロゼ」は、コッポラが結婚する娘のために仕立てたと言われているロゼワイン。キュートなピンクの色調は、初々しい花嫁を連想させますよね。可愛らしいルックスも、コンセプトにぴったり!
主体になっているシラーは、冷涼な気候の中で育ち、糖度が上がる前に収穫。酸味のあるフレッシュな味わいは、多くのファンの舌をうならせています。
近年ワイン好きの中でも注目を集めているロゼワイン。普段あまりロゼを飲まないという方も、たまにはロゼを楽しみながら生ハムやチーズと一緒に味わってみては?
6位 コナンドラム・ホワイト/ワグナー・ファミリー・オブ・ワイン
ワグナー・ファミリー・オブ・ワインは、カリフォルニアのナパ・ヴァレーを中心に4つのワイナリーを経営する歴史あるワインメーカーです。
コナンドラムは、英語で“謎”という意味。5品種のブドウを巧妙にブレンドしたもので、複雑な香味(謎)を秘めています。
フレッシュ感と深いコクをあわせもった味わいに脱帽!ブレンドワインの勉強になりますよ。
5位 イーグル・クリーク ルビー・カベルネ/イーグル・クリーク
「イーグル・クリーク ルビー・カベルネ」は、カリフォルニア生まれのルビー・カベルネ100%で仕立てた赤ワイン。
果実味いっぱいの甘味とタンニンの渋みが特徴です。フルーティーなミディアムボディながら、価格は1000円以下という圧倒的なコスパが最大の魅力!この値段なら、毎日飲むためにまとめ買いしてもいいくらい!
焼肉やバーベキューと合わせて、大人数で気軽に楽しむのにもおすすめです。
4位 カルテット・アンダーソン・ヴァレー/ロデレール・エステート
ロデレール・エステートは、高名なシャンパーニュメゾンのルイ・ロデレールがカリフォルニアに設立したワイナリーです。
ルイ・ロデレールは、英国のアルコール専門誌が主催する「世界で最も称賛されるシャンパーニュ・ブランド2020」で第1位を獲得するほどの実力派。
こちらの「カルテット・アンダーソン・ヴァレー」は、強い酸味と共に感じられるアフターフレーバーのバニラとキャラメルの樽香のほか、余韻に残るなめらかなハチミツの甘味が魅力の1本。
シャンパーニュに負けないスパークリングが3000円台で楽しめます。ハレの日のディナーに、ぜひお試しあれ。
3位 ヴィントナーズ・リザーブ・ジンファンデル/ケンダル・ジャクソン
ケンダル・ジャクソンは、1982年にカリフォルニアに設立されたワイナリーです。世界最大規模の醸造所を所有し、約60か国以上にワインを輸出しており、コンクールでの受賞歴も多数。
こちらの「ヴィントナーズ・リザーブ・ジンファンデル」は、アメリカの主要品種ジンファンデルを主体にした赤ワイン。
黒みがかった魅惑的な色調に加え、黒い果実のアロマを放ち、ドロップのような甘味と舌をざらつかせるタンニンの渋みをもったフルボディです。
アメリカならではの1本を楽しみたいというときには、こちらを試してみてください!
2位 アヴァント シャルドネ/ケンダル・ジャクソン
アヴァントは、フランス語で“前の”という意味。その意味通り、完熟する前のブドウを収穫し醸造しているのがこちらの「アヴァント シャルドネ」。マロラクティック発酵によるバターのような香りと、マイルドな味わいが特徴です。
ミネラルの塩味も感じられ、ワイン全体をキュッと引き締めるので普段から飲み慣れているワイン通にもおすすめ!
マリアージュするなら、バターを使ったサーモンのムニエルはいかがですか?レモンソースをかければ、さらにふくよかな酸味が加わり、このワインの魅力をより一層引き立ててくれますよ。
1位 オテロ/ドミナス・エステート
ドミナス・エステートは、偉大なシャトー・ペトリュスを所有するクリスチャン・ムエックスがカリフォルニアのナパ・ヴァレーに設立したワイナリーです。
第1位にセレクトした、こちらの「オテロ」はカルト・ワインで有名な「ドミナス」のサードラベル。カベルネ・ソーヴィニヨン主体の赤ワインは、栓を開けるとすぐに、ブルーベリーの芳醇な香りが鼻を包みます。
口に含むと、果実の強い甘味とタンニンのほどよい渋みのほか、余韻に残る苦味が感じられる贅沢な1本。
アメリカワインを飲むなら、ぜひ、カルト・ワインに触れてみて!
まとめ
いかがでしたか?
安値から高級品まで、多種多様なワインを生産し続けるアメリカ。そのラインナップの幅広さも、アメリカというお国柄を表しているような気がしますよね!
今回ご紹介したアメリカワインは、通販などで比較的気軽に購入できる商品ばかり。自宅での食卓に添えるデイリーワインとして、ちょっとした記念日に楽しむリッチで特別な1杯として、アメリカワインをぜひ楽しんでみてください!