体の芯まで冷えるような日には、温かい飲み物が飲みたくなりますよね。
こんな時期には日本酒を温めた「燗酒」がおすすめですが、ワンランク上のおいしさを目指すならあなたにご紹介したいのがヒレ酒。
あまり馴染みのない方いらっしゃるかもしれませんが、日本酒好きにはたまらない最高の贅沢なのです。
今回は、そんな冬にぴったりのヒレ酒をご紹介!
ヒレ酒をおいしく飲むためのポイントも伝授しちゃいます!!!
これを読めば、あなたもヒレ酒マスターになれるはず!!
ヒレ酒ってどんな飲み方?
ヒレ酒とは、日本酒の飲み方のひとつです。
名前の通り、日本酒に魚のヒレ、特にフグのヒレを入れます。
最後に切り落としたフグのヒレを干して、炙って、熱燗に入れるだけで香ばしい風味が酒に移り、何とも言えないおいしさ。
今や酒好きの間で大人気の飲み方となっているのです!
フグの本場として知られている山口県下関市や近隣では、多くの酒造がヒレ酒の製造や販売を行っているんだそう!
ヒレ酒は偶然誕生した飲み方
今や大人気のヒレ酒ですが、第二次世界大戦後の米不足の際に、品質の悪い酒が作られたのがきっかけで発明されたと言われています。
物資のなかった当時は今のような日本酒造りをすることができませんでした。
そこで、米だけで造った日本酒に、アルコールや添加物を加えて3倍の量の日本酒を造る「三倍増醸清酒」が出回るようになったのです。
「三倍増醸清酒」は通常の日本酒を薄めてかさ増しをしているものですから、お世辞でにもおいしいお酒とは言えなかったよう。
そんな時代に偶然生まれたのがヒレ酒。
ある寒い日に、漁師たちが海へ出ていた時に体を温めるために熱燗を飲んでいました。酒をかき混ぜようとしましたが、混ぜるものがなかったため、食べ残した焼き魚のヒレでかき混ぜたところ、とんでもなく美味い酒に生まれ変わったというのです。
そこからはまずい三倍増醸清酒をおいしく飲むための方法として広まっていきます。
現在では法律で三倍増醸清酒の醸造は禁止されているため、まずい日本酒をおいしく飲むという意味合いは薄れていますが、日本酒を楽しむ1つの方法として受け継がれているのです。
おいしいヒレ酒を作るための3つの極意
とはいえヒレ酒はコツを覚えておかないと、逆に日本酒が生臭くなってしまったり、うまくヒレの旨味が日本酒に移らなかったりする可能性もあるのです。
そんな失敗をしないために、絶対においしく作れる、ヒレ酒の作り方の極意を伝授しちゃいます!
①ヒレは弱火でじっくりしっかり炙るべし
◆ヒレ選び
ヒレ酒と言うくらいですから......欠かせないのがヒレ選び!
ところで、ヒレ酒のヒレは何のヒレを使うのが良いのか知っていますか?
エイヒレ・鯛ヒレ・フカヒレなど色々ありますが、ヒレ酒に一番適していると言われているのが「トラフグのヒレ」。
1合の日本酒に対して、3cm角くらいの大きさのもの2枚くらいがおすすめ!
厚みがあるヒレだとなお良しです。
ここで重要なのが、しっかり「乾いたヒレ」を使うこと。
生だとのヒレだと、ヒレ酒にしたときにどうしても臭みが出てしまいます。
しっかり乾燥したヒレがネットで簡単に手に入るので、試してみてくださいね。
◆炙り方
また、ヒレ酒を作る際に一番重要なのが、炙り方。
コツは”弱火でじっくり”炙ること!
強火にすると、すぐ焦げてしまい苦みが強調され日本酒の風味を損ねてしまいます。
ヒレが焦げないよう、しっかりタイミングを図ることが重要です。
焼き加減の目安は、きつね色になって端っこがこんがりするくらい。
網をガスコンロに載せたり、魚焼きグリルやトースターにアルミホイルを使ったりして炙ってください。
②熱燗はあっつあつにするべし
通常の熱燗は60℃くらいですが、ヒレ酒にするときは70℃から80℃の熱々にするのがポイント。
これは、ヒレに含まれるアミノ酸などの旨味成分が酒に溶け出す温度が70℃以上だからなんですね。
ヒレの旨味がじゅわっと日本酒に染み出し、独特の風味とコクが出ます。
生臭さが出にくいのも温度を高くする上でのメリットなんだとか。
使用する日本酒は、純米酒よりも本醸造がおすすめ。
純米酒も美味しいですが、コクが出すぎてクドくなる傾向があるため、香り立つフルーティーな本醸造を使用するのが一般的です。
本醸造の中でも、高精米の本醸造の方がより味を引き立たててくれますよ!
③酒に火をつけるべし
お店でヒレ酒を頼むと、目の前でお酒の表面に火をつけてくれますよね。
実はあれ、わざとアルコールを飛ばしてお酒をマイルドに飲みやすくしてくれているんです。
やり方は、酒器に1~2枚ヒレを入れ、あつあつの熱燗を注ぎ、お酒の表面に火を付けて蓋をします。
数分待って火が消えたら飲み頃です。
ヒレは、取り出してもそのままでも、お好みでどうぞ!
アルコール度数が高いお酒が好みであれば、火をつけずにそのまま飲んでしまってOK。
火をつけるかつけないかは、個人の好みで決めてしまって問題ありません。
ちなみにヒレ酒はこのような蓋つきの酒器がベター。
まとめ
冬になるとどうしても呑みたくなる熱燗。いつもの熱燗をちょっと違ったテイストで楽しむアレンジとしても、ヒレ酒はうってつけ!
これからの寒い季節。身体を温めるためにも、あつあつのヒレ酒で乾杯してみてはいかがでしょうか!