ウィスキー好きの間で注目されているウィスキー「KAVALAN(カバラン)」の存在をご存知でしょうか。
ウイスキーといえば日本やアメリカなどをはじめとする世界五大ウイスキーが有名なため、“台湾ウイスキー”と聞いてもあまりピンとこない方もいるかもしれません。
実はこの、台湾で作られ、熟成されているシングルモルトウイスキーが最近注目を集めているんです!
今回はそんなウイスキー界のダークホース「KAVALAN(カバラン)」の魅力に迫っていこうと思います!
常識を覆した新しいウイスキー
KAVALAN(カバラン)とは?
KAVALAN(カバラン)は台湾東北部にある宜蘭(ぎらん)県で2008年に発売されたウイスキーです。
宜蘭に広がる蘭陽平野の先住民、「クヴァラン族」が名前の由来になっているそう。
このウイスキーを手がけているのは「金車(King Car)」という台湾の飲料事業を行っている企業です。
2002年に世界貿易機関(WTO)に台湾が加盟したのがきっかけとなり、同社がウイスキー生産に参入を決めたことから、KAVALAN(カバラン)は大きく発展します。スコットランドから専門家を呼んだり、日本の著名なウイスキー蒸留所を見学したりと、様々な努力をしてきたのだそう。
そこから、史上初となる台湾でのウイスキー生産がスタート。2005年、麦芽の粉砕・糖化・発酵・蒸留・熟成・ブレンドまで全ての工程を台湾で行うことにこだわったカバラン蒸留所が作られたのです。
ちなみに、麦芽の粉砕・糖化・発酵・蒸留・熟成・ブレンドまで全て台湾国内で行う蒸留所はここが初めて。
シングルモルトにこだわりをみせるKAVALAN(カバラン)
また、KAVALAN(カバラン)にはいくつかの銘柄がありますが、どの銘柄もシングルモルト。
そんなニューフェイスのウイスキーが注目を集めている理由。
それは、誕生後わずか2年でありながら、ウイスキーブラインドテイスティング大会で「カバラン クラシック シングルモルト ウイスキー」が優勝したことがきっかけです。
この大会は、イングランドでおよそ100年ぶりにウイスキー蒸留所が次々と創業したため、イングランド産とスコッチを比べてみようと、行ったイベント。
「世界的に有名なスコッチと比べても、イングリッシュウイスキーだっておいしいじゃないか!」というシナリオがあったはずですが、その場を魅了したのはスコッチでもイングリッシュでもなく、台湾からやってきた見慣れないウイスキー。
ウイスキー評論家のチャールズ・マクリーン氏は「熱帯果実、熱帯果実のジャム」と絶賛したんだとか。
この出来事がKAVALAN(カバラン)が注目されたきっかけでした。
世界の名産地ウイスキーに圧勝し結果を残しただけでも十分すぎるほどのすごさなのですが、KAVALAN(カバラン)のすごさはそれだけではないのです。
初めて作られた亜熱帯育ちのウイスキー
“ウイスキーはスコットランドなど寒暖の差が激しい寒冷地で作るもの”という常識を覆したことが、このカバランが世界を驚かせた要因の一つでした。
先述した、台湾の有名企業「金車(King Car)」は、これまではウイスキー作りには向かないと思われていた亜熱帯でのウィスキーの生産に着手。そう、温暖湿潤な気候によって、早期に熟成が進む点を上手く利用した製造工程を作り上げたのです!
実はスコットランドなどの寒い地域では、樽での熟成に3~6年という長い月日を必要とします。しかし、KAVALAN(カバラン)は夏には40℃近い気候が続くこともあり、約1年半で熟成できるのです。
この熟成の早さを利用し、定番のバーボン樽やシェリー樽はもちろん、ワイン、ラムなど次々バリエーションを増やしていきました。
これらを高い技術でヴァッティングさせ、唯一無になフレーバーを生み出しているのです。
数々の世界的賞を受賞
商品展開の豊富さも人気の要因。
定番シリーズである「クラシック・シングルモルト」だけでなく、それぞれの樽の味わいを楽しめる「ソリスト・シリーズ」も数多くあります。
強いこだわりと、常識を覆すおいしさ、商品展開の多さなど、たくさんの魅力が重なって、KAVALAN(カバラン)はウイスキー好きたちの心をつかんできたのです。
このように常識を覆して作られたカバランは、誕生から10年足らずの間に数々の世界的タイトルを受賞し、その存在を確固たるものとしています。
IWSC・SFWSC・ISC・WWAなど、カバランが国際的ウイスキーコンペでこれまで受賞した金賞の数はなんと230。
今、世界で最も注目されているウイスキーと言っても過言ではないブランドなのです!
これまで高級路線で戦ってきた同シリーズですが、発売から10年目に新たな挑戦をしています。
初なんと、品質はそのままに、ハイボールなどで楽しめる比較的買いやすい値段の「ディスティラリーセレクト」を発売したのです。
まだまだ彼らの躍進は止まることがなさそうです!!
カバランの味わい
世界を驚かせた短期熟成が作る深み
亜熱帯の温暖な気候を有効に使い、熟成に時間をかけずとも長年熟成させたかのような芳醇な味わいが、カバランの特徴です。
先ほどもご紹介しましたが、一般的に、ウイスキーには3~6年以上の熟成期間を必要とするのですが、台湾では気温が40度近くまで上がるほど温暖な気候ゆえ樽熟成が早く、約1年半前後で熟成が完了します。
また、エンジェルズシェア(樽熟成中に中身が蒸発する量)も年間1~3%しか減らないスコットランド産に比べ、熟成期間が短い台湾産のカルバンは年間10%程度とされています。
実はカバランには10年熟成ものは出荷されていません。
これは、カバランは6年程度で樽が空っぽになってしまうため、長期熟成ができないからなのです。
トロピカルな香りとクリーミーな味わい
その気になるカバランの味わいですが、マンゴーやココナッツを思わせる南国フルーツのような香り、そしてクリーミーなフレーバーが特徴的。
亜熱帯という、今までにはない環境で作られたウイスキーらしい特徴的な香りと味わいですね。
この南国を思わせるフレーバーは、カバランのどの銘柄にも共通しています。
短期熟成による豊富なバリエーション
カバランは全てシングルモルト。
銘柄にはオーク樽をはじめ、シェリー樽やバーボン樽、そしてワイン樽やポートワインに使われた樽などを使って熟成された豊富なバリエーションがあります。
現在、KAVALAN(カバラン)のバリエーションは定番商品だけで19種類あります(2019年春現在)。
その中でも、本記事ではいくつか種類をご紹介します!
カバラン クラシック
KAVALAN(カバラン)の定番シリーズがこちらの「クラシック・シングルモルト」。
バーボン樽、シェリー樽、プレーンオーク樽などの樽を厳選、絶妙な比率で調合して造られます。
カバラン・シングルモルトウイスキーの一作目のウイスキーで、カバランウイスキー入門編ともされている、ベーシックな一品です。
カバラン コンサートマスター
カバラン コンサートマスターシングルモルトウイスキーは赤褐色の色合いが特徴的。
個性的でありながらも、調和の取れたシングルモルトです。
フレッシュなイチゴのような香りにハチミツの香りが加わった、甘みのある風味が感じられます。
同商品は2018年、SFWSC金賞受賞、2016年、IWSCで金賞を受賞するなどプロも認めた自慢のウイスキーです。
カバラン ソリスト EXバーボンカスクストレングス
上記よりもう一段階上のシリーズが、ソリストシリーズ。
その中でも「カバラン ソリスト EXバーボンカスクストレングス」は、香りが強いアメリカンオーク材を使って熟成し、まろやかな口当たりが味わえます。
爽やかなバニラの香りと芳醇な木の香りが、カバランウイスキーの特徴であるトロピカルフルーツの香りと混ざり、風味豊かなウイスキーが楽しめます。
まとめ
まだまだ一般的には知られていませんが、スコットランドやアメリカ、日本のウイスキーにも並ぶ高品質なウイスキーとして世界中のウイスキーファンから愛される存在になりつつあるKAVALAN(カバラン)。
たくさんの賞を受賞していることからも、その人気ぶりや味がお墨付きであることがわかりますよね。
カバランはネットからも購入できるようなので、興味がある方はぜひご自身の舌で味わってみてください!