ワインの中には、酒精強化ワインという種類のワインがあります。
一般的なワインと比較して、どのような違いのあるワインなのでしょうか?詳しく見ていきましょう。
酒精強化ワインとは
特殊な製法で造られる
酒精強化ワイン(フォーティファイドワイン)とは、ワインの醸造過程で人工的にブランデーなどの強いアルコールを加えて造られるワインを言います。
そのため、通常のワインのアルコール度数が8~14%であるのに対し、酒精強化ワインのアルコール度数は18%前後と高めになっています。
酒精強化ワインが生まれた歴史的背景
酒精強化ワインが造られている地域は、ヨーロッパ南部に集中しています。これらの地域は気温が高く、ワインを保存する際の温度管理が困難でした。
そこで、保存性を高めるために造られるようになったのが、酒精強化ワインだったのです。
また、長期保存が可能な酒精強化ワインは、船による長期間の輸送にも耐えられるため、輸出用としても重宝したのでした。
酒精強化ワインの味わいと楽しみ方
酒精強化ワインの種類と味わい
一口に酒精強化ワインといっても、産地やブドウ品種、熟成の方法によって、様々な種類や味わいのものが存在します。
代表的なものに、スペイン南部で造られるシェリーや、ポルトガル北部で造られるポートワイン、ポルトガル量のマディラ諸島で造られるマディラワイン、イタリアのシチリア島で造られるマルサラワインなどがあり、これらをまとめて「四大酒精強化ワイン」と呼びます。
酒精強化ワインの楽しみ方
酒精強化ワインには、甘口のものからドライな飲み口なものまで、様々なタイプのものがあります。
一般的に、ドライなタイプのものは食前酒として飲まれたり、食中酒として食事と合わせて楽しまれたりしています。
一方、甘口タイプのものは食後酒として飲まれたり、デザートと合わせてデザートワインとして飲まれたりすることが多いです。
ちなみに甘口タイプの酒精強化ワインをバニラアイスクリームにかけると、贅沢な味わいのデザートに早変わりするので興味のある方はぜひ試してみてくださいね!
他にも、カクテルの材料にしたり料理酒として使用したりなど、活躍の場が幅広いのも酒精強化ワインの魅力のひとつと言えるでしょう。
代表的な酒精強化ワイン
シェリー
スペインの南部、アンダルシア州で造られるシェリー。ドライなタイプのものから極めて甘口のものまで、様々な味わいのものが存在します。
使用できるブドウ品種はパロミノ、ペドロ・ヒメネス、モスカテルの3種類。熟成期間は3年以上と定められています。
また、熟成中のシェリーの入った樽を積み上げ、上段に入っている熟成期間が短いものを下段の長いものへ補充させていくという、「ソレラ・システム」と呼ばれる独自の手法で生産されています。
辛口には「フィノ」や「マンサニージャ」、「アモンティリャード」などの種類があり、甘口には「ペドロ・ヒメネス」や「モスカテル」、中間的な味わいのものには「ミディアム」や「クリーム」などがあります。
ポートワイン
ポルトガル北部を流れるドウロ川周辺で造られている酒精強化ワインが、ポートワインです。かつて、ポート港から船便でイギリスに輸送されたことがこの名前の由来になっています。
まだブドウの糖分が残っている発酵途中のワインにアルコール度数77%のブランデーを加え、アルコール発酵を行う酵母の働きを止めるのが特徴です。
この製法により、独特の甘味とコクを備えた味わいが生まれます。
まとめ
様々な種類や味わいのものがあり、あらゆるシチュエーションで活躍してくれる酒精強化ワイン。
まだ試したことがないという方は、ぜひこの機会に酒精強化ワインを開拓し、お気に入りのものを見つけてくださいね!