皆さんは、ウイスキーの飲み方の一つである「ハーフロック」をご存知でしょうか。
ハーフロックのレシピはシンプルで簡単にできる飲み方なのですが、近い飲み方であるオン・ザ・ロックや水割りと比べると、あまり認知されていないように思えます。
ということで今回は、「ハーフロックとはどういった飲み方なのか」「美味しく飲むコツ」「ハーフロックで飲むのにオススメのウイスキー」などを紹介します。
「ハーフロック」とは?
ハーフロックとは、ウイスキーの楽しみ方の一つ。
基本的には、氷を入れたグラスにウイスキーと水を同量注ぐのがこのスタイルです。ですが、水の代わりに炭酸水やコーラ、ジンジャエールなどを加えても、ウイスキーとの割合が1:1ならハーフロックとされています。
近しい飲み方として挙がるのは、「オン・ザ・ロック」「トワイス・アップ」「水割り」。
ウイスキーに氷だけを入れるのがオン・ザ・ロック。ウイスキーにウイスキーと同量の水だけを入れるのがトワイス・アップ。ウイスキーに氷と水を入れるのが水割りです。
ハーフロックはオン・ザ・ロックと水割りの中間、またはトワイス・アップと水割りの中間と言えるでしょう。
ウイスキー本来の味わいを堪能したい時にオススメの飲み方で、ウイスキーの特徴に合わせて上記の飲み方と使い分けるのが良いです。
例えば、度数や香味がキツいものは水割り、逆に度数や香味が落ち着いているものはオン・ザ・ロックなど。
飲み方を使いわけることにより、濃過ぎる薄過ぎるといった余計な情報をカットし、ウイスキー本来の味わいを感じることができるのです。
ハーフロックが誕生した理由
それでは、ハーフロックはどのようなウイスキーを飲む際に使うべきなのか。それは、ハーフロックが誕生した理由を紐解けば自ずと見えてきます。
一般的にハーフロック誕生の理由として挙げられているのは、「アルコール度数が高めで、クセのあるウイスキーを飲みやすくするため」。
いわゆる、飲みずらいようなウイスキーに水を加えると、アルコールの刺激の緩和や、香味の印象が優しくなるといった効果が見受けられます。また、氷を加えると、香味がシャープになりキレが生まれます。
こういった効果があるハーフロックは、「オン・ザ・ロックやトワイスアップだとアルコールも香味もキツく感じる。しかし、水割りにすると薄くなり過ぎる。」といった場合に最適で、誕生以来多くの人々に親しまれ、今でも廃れることなく存在しているのです。
「ハーフロック」の作り方
それでは、ハーフロックを美味しく作るための手順をご紹介します。大まかな手順としては、
- グラスに氷を入れる。
- ウイスキーを適量注ぐ。
- しっかりかき混ぜる。
- ウイスキーと同量の水を注ぐ。
- マドラーなどで軽く混ぜて完成。
となります。この手順を守ることがハーフロックを美味しく作るコツなのです。
そして、それぞれの工程でさらに一工夫加えると、より美味しく仕上がります。
ということで次は、細かな手順をご紹介!
グラスに氷を入れる
まずは、使用するグラスと氷から意識していきましょう。これは、どちらも大きめなものが適しています。
なぜなら、小さめの氷を使用すると、すぐ溶けてしまい味のバランスが崩れてしまうから。ハーフロックを成り立たせているのは、ウイスキーと水の絶妙なバランスなので、美味しく楽しみたいなら溶けにくい大きめの氷を使用しましょう。
あまり氷を溶かしてしまうと「ハーフロックじゃなくて水割りでいいじゃん。」ということになってしまいますからね。
さて、大きめの氷を使用するということは、当然それが入るサイズのグラスでないといけません。タンブラーやテイスティンググラスよりは、口の広いロックグラスが最適と言えるでしょう。
また、グラスは事前に冷やしておくのがオススメ。これは、氷を溶かさないためという理由ももちろんありますが、注いだウイスキーをより冷やすことで、香味を引き締めるといった効果も狙っているためです。
そもそもハーフロックに氷を加える理由は、ウイスキーの香味をシャープにしキレを生むため。ウイスキーが中途半端な温度だと、この効果の恩恵があまり受けられないのです。
冷やすのを忘れてしまった場合は、せめて入れた氷をグラスの中で回して、全体を冷やしておきましょう。
ウイスキーを適量注ぐ
ウイスキーの注ぎ過ぎはオススメできません。注ぎ過ぎたとしても同量の水を加えれば確かにハーフロックになりますが、やはりハーフロックで楽しむ意味を考え、ベストな量で楽しむべきでしょう。
まず理由としては、ウイスキーの温度は氷より高いということです。
前述したように、ウイスキーと水が1:1の割合で、なおかつ、できるだけ冷やした状態で楽しみたいハーフロック。
氷より高い温度であるウイスキーを注ぎ過ぎれば、ウイスキー全体が冷えるまでに時間が掛かったり、飲みきるまでに時間がかかったりし、その間に氷がどんどん溶け、ウイスキーと水の割合が崩れてしまうことは明白ですね。
また、もう一つの理由として希釈熱が挙げられます。希釈とは当然"薄める"ことですが、実はこの希釈の際に熱が発生するのです。
ウイスキーなどの度数の高いお酒を氷に注ぐと、希釈熱で数度ほど温度が高まってしまうといいます。余分な希釈熱を与えないためにも、ウイスキーは注ぎ過ぎない方が良いのです。
ということで、ウイスキーを注ぐ量は30mlほどがオススメ。この量はワンショットと呼ばれ、ウイスキーを注ぐ量の基本となります。
しっかりかき混ぜる
しっかりかき混ぜ、ウイスキー全体が均一に冷えるようにしましょう。
ウイスキーと同量の水を注ぐ
ウイスキーと同量の水を加えます。水道水だとどうしてもカルキの臭いが気になる場合があるので、やはりミネラルウォーターを使うのが◎。
マドラーなどで軽く混ぜて完成
ハーフロックは、ウイスキーとミネラルウォーターがしっかり馴染むことで、ウイスキーの香味がより引き出されます。グラスを回して混ぜる人もいますが、やはりマドラーなどを使いかき混ぜるのがベストです。
完成したら、氷が溶けださないうちに楽しみましょう。しっかりと冷えたハーフロックは、ウイスキーの風味が引き立つので、本来の香味を堪能することができますよ。
「ハーフロック」で飲むのにオススメのウイスキー
最後に、ハーフロックで飲むのにオススメのウイスキーを紹介します。ぜひ、オン・ザ・ロックやトワイスアップと飲み比べて、その違いを比較してみてください。
ラフロイグ セレクトカスク
アイラモルトの代表格で、アイラらしいピート香る個性的な逸品が「ラフロイグ セレクトカスク」です。
同蒸留所がモルト蒸溜所として初めてチャールズ皇太子より王室御用達の認定を受けたことは有名で、この「セレクトカスク」はそんな同蒸留所の代表商品になります。
スモーキーさはもちろんのこと、ココナッツやバニラを思わせる香りは複雑で豊か。味は、これらの香りと合わさり柔らかく甘美なものとなっています。
アイラモルトの個性的なピート香は、時に正露丸のような香りと例えられます。それが良さなのですが、やはり少し苦手という方もいるでしょう。
苦手だなと感じたときは、オン・ザ・ロックやトワイスアップよりも優しく、そして水割りよりも個性を感じやすいハーフロックをオススメします。
グレンファークラス 105
まず特筆すべきはアルコール分が60度だということ。ボトリング時にほとんど加水をしないことで生まれるこの度数と共に、この「グレンファークラス 105」は樽出しの強さを持っています。
しっかりと主張するスモーキーな香り、味は上品にまとめられながらも、飲み口はかなりヘビー。香味が濃厚で典型的なフルボディ・タイプのハイランド・モルトと言えるでしょう。
このフルボディの味わいを堪能するためにも、水割りよりハーフロックをオススメします。高い度数と濃厚な香味を誇る同商品ですが、水を加えることによるそれらの緩和と
氷で冷やすことによるシャープなキレは、同商品の良さを最大限引き立たせてくれるはずです。
ノブ クリーク
アルコール分は50度。「ノブ クリーク」の名は、リンカーン大統領が育った地の小さな川の名にちなまれているという、アメリカを代表するバーボンウイスキーです。
同社が造る「ジム・ビーム」は、日本でも圧倒的知名度を誇りますよね。
使用された樽を造るオーク材は、低温と高温で2度焼きを施した特別製。この樽で9年熟成させることにより生まれた、複雑なアロマの香りが特徴です。
芳醇で奥深い味わいである同商品。より香りが引き立つトワイスアップでも良いですが、香味が共にバランスよく引き立ち、更にトワイスアップより冷やすことで、50度の同商品が飲みやすくなるハーフロックをオススメします。
まとめ
香りや味わいを適度に抑え、シャープなキレをもたらしてくれるハーフロック。
この飲み方は、オン・ザ・ロックやトワイスアップ、水割りと同様にシンプルな飲み方でありながらも、ウイスキーと水は同量、氷は溶けないように意識するといった、ちょっとしたこだわりがあるスタイリッシュな楽しみ方です。
ウイスキーをより美味しく堪能するために使うのはもちろん、恋人の前でカッコつけたい際などにも使ってみてくださいね(笑)