一般的なワインよりも甘いワインとして知られる「アイスワイン」は、限られた環境、厳しい条件でしか生産されない貴重なワイン。
甘口のワイン好きの方や、普段あまりワインを口にしない方にもオススメしたいワインの一つなんです!
アイスワインとは
凍ったブドウから造られる甘口ワイン
アイスワインとは、凍結したブドウから造られた甘口ワインのこと。
通常のワイン用のブドウは秋ごろに収穫しますが、アイスワイン用のブドウの場合、ブドウが凍結する冬を待ってから収穫されます。
寒い地域では、冬になるとブドウが凍結と解凍を繰り返します。そうしていくうちに、果実の水分量が減り、糖分とエキスが凝縮されたブドウになるのです。
このような糖度の高いブドウから造られるため、甘口のワインになるというわけですね。
アイスワインの美味しい飲み方
アイスワインは白ワイン同様、冷やして飲むのが一般的。
適温は10度前後。冷蔵庫の中より、やや高めの温度になります。
そのため、冷蔵庫から出して室温に1時間くらい置いておくと、ちょうどいい温度になります。
アイスワインには甘さのみならず酸味や旨味なども含まれていますが、あまりきんきんに冷やしすぎてしまうと、これらの風味がわかりにくくなってしまうので注意しましょう。
アイスワインの製造方法
氷点下の中での過酷な収穫作業
アイスワインのブドウは、マイナス7度を下回る気温の明け方、まだ暗いうちに収穫が行われます。
ただでさえ冬場の朝は布団の外に出たくないものですが、アイスワインの生産者達はそのような時期に極寒の屋外で作業しなければなりません。
また、凍結したブドウからは通常のブドウの8分の1程度しか果汁がとれません。
さらにワイン法では、ある一定の気温より低い日がある一定の期間続くことが、収穫条件として定められています。
つまり、暖冬などでその気温より低い日が来なかったり、来ても続かなかったりすると、アイスワインが生産できなくなってしまうのです。
過酷な作業の末にほんの少ししか生産できず、さらには生産できないリスクもある希少なワイン。それが「奇跡の甘味」と称されるアイスワインなのです。
人工的な製造方法もある
ここまでは自然に凍結したブドウで造ったアイスワインの話をしてきましたが、中には人工的にブドウを凍結させて造られたアイスワインもあります。
この製法を「クリオ・エクストラクション」と呼び、この製法で造られたアイスワインは比較的安価な傾向にあります。
試しに飲んでみたい、リーズナブルな値段でアイスワインを楽しみたい方におすすめです。
アイスワインの産地
ドイツ
ドイツはアイスワインの発祥の地。そのはじまりは1794年に遡ります。
その年、ドイツのフランケン地方では予期せぬ寒波に襲われ、収穫前のブドウが凍ってしまいました。
そこで、やむなく凍ったブドウでワインを造ったところ、甘味の強い芳醇なワインができたのです。
つまり、最初のアイスワインというのは偶然の産物だったというわけですね。
その後、貴族たちに愛飲されるようになり、「貴族のワイン」と呼ばれるようにもなりました。
今でもドイツの特産品のひとつとして、世界中の多くの人々から愛されています。
オーストリア
ドイツからアイスワインの製法が伝わり、世界で2番目に古いアイスワインの歴史を持つオーストリア。
現在でもアイスワインの生産は行われていますが、世界的な辛口ワインブームの煽りを受け、より安定的に生産することのできる辛口のワインの生産にシフトする生産者が多いのも事実です。
カナダ
昨今の温暖化の影響を受け、ドイツやオーストリアではブドウが自然凍結しにくくなっていたり、ワイン法の定める気温を下回ることがなくなっていたりと、アイスワインの生産が厳しくなってきているのが現状です。
そこで、安定的にアイスワインを生産できる地として、カナダにその製法が伝わりました。
現在、カナダではオンタリオ州を中心にアイスワインが造られています。
まとめ
アイスワインについて知れば知るほど、そのありがたみが増してくるのではないでしょうか?
もしアイスワインに出くわす機会があれば、その「奇跡の味」を味わってみてくださいね!
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