日本酒好きのnomooo読者の皆さん、こんにちは。今回は、日本酒の原料「お米」をピックアップした大事な話。
「酒米(酒造好適米)」の解説&有名な酒米5つをご紹介します。
日本酒の味わいに、深く関わっている全国各地の酒米たち。好きな酒米を知ることができれば、日本酒選びの際に役立ちますよ!
それでは早速、酒米の特徴と、有名な酒米のそれぞれの特徴を勉強していきましょう!
そもそも「酒米」って?
酒米とは、正式には酒造好適米と言います。読んで字の如し、お酒造りに適したお米、のことです。
我々が、普段食べているお米は食用米なので、酒米とは特徴が違います。それでは、この二つにはどういった違いがあるのでしょうか?食用米と比べることで、酒米の特徴をよく理解できますよ!
1 外観
あまり酒米を見ることはないかと思いますが、まずは単純に、食用米とは見た目が違います。基本的に酒米は、食用米と比べて大きいのです。
精米歩合って聞いたことありませんか?日本酒造りには、お米を削る作業が必須なのですが、この際粒が大きい酒米は削りやすく便利なのです。
逆に、食用米だと上手く削れず、すぐに砕けてしまいます、、、
2 心白
基本的に、お米の中心には「心白」と呼ばれる、白色不透明な部分が存在します。
心白の特徴には、タンパク質の含有量が少ないこと、粘度が高いので、磨いても砕けづらいということ、醪(もろみ)によく溶けるということ、などが挙げられます。
この特徴は、いずれもお酒造りの際に非常に役に立ち、酒米は食用米と比べて、心白の占める割合が大きいのです。
3 醸造適性
蒸米吸水率、麹への造りやすさ、など、日本酒造りに於いて、お米には様々なスペックが求められるのですが、このスペック、醸造適正が高いのが酒米です。
逆に、醸造適正ではなく、食用への適正が高いのが食用米ですね。例えば酒米は、タンパク質が多いとお酒になった際に、苦味や雑味として表れるので、少なさが求められるのですが、食用米は、そのタンパク質が旨味として表れるので、多い方が適しています。
要は適材適所ということですね。ただ、食用米を使用した日本酒、なども存在していますので、必ずしも日本酒造りには酒米が使用されている、という訳ではないのも事実です。
代表的な酒米5選
それではいよいよ、代表的な酒米を5つご紹介させていただきます。恐らく、日本酒初心者さんでも聞いたことがある超有名な酒米なので、必ずその特徴を覚えておきましょう!
山田錦
主な生産地は兵庫。言わずと知れた、酒米の王様とまで讃えられているのが「山田錦(やまだにしき)」です。
酒米の中で、全国一の生産量を誇り、全国の生産量の9割以上が、日本最大の酒どころ兵庫で生産されています。
山田錦の特徴としては、香味の良さ、が挙げられます。この香味の良さは、大吟醸酒などの、お米をたっぷり削った、品の良い日本酒造りに適しているので、品評会に出品されるような各蔵渾身の逸品も、この山田錦を使用していることが多いです。
あの「獺祭」も、全て山田錦を使用しています。
五百万石(ごひゃくまんごく)
主な生産地は新潟。山田錦と並び、酒米の二大トップとして知られているのが、この「五百万石(ごひゃくまんごく)」です。
新潟の気候風土に、最も適していると言われるほどの栽培特性を有しており、米どころ新潟を代表する品種となっています。
特徴は「淡麗でスッキリとした味わいに仕上がる」ということ。新潟の日本酒は、新潟淡麗で有名ですが、この特徴はまさに、五百万石が有しているものですね。
新潟の名酒「越乃寒梅」。この普通酒白ラベルは、五百万石などを使用し造られています。
美山錦
主な生産地は長野。「美山錦(みやまにしき)」は、東北地方全体で、広く栽培されている酒米です。
昭和53年、長野県農事試験場にて、突然異変によって誕生した比較的新しい酒造好適米、として知られています。
五百万石に近い、スッキリとした味わいが特徴。東北の、淡麗な日本酒を生み出すのに一役買っています。
「楯野川 純米大吟醸 美山錦 中取り」は、美山錦の特長を最大限に引き出しています。
出羽燦々
主な生産地は山形。吟醸王国と呼ばれている、山形を代表する酒米が「出羽燦々(でわさんさん)」です。
全原料が山形オリジナル。印象的な名前からも伝わる、山形のオリジナリティー溢れる仕上がりです。
特徴は、スッと切れるキレの良さと、さらりとした飲み口の淡麗な味わい。吟醸酒造りに適した、吟醸王国山形らしい酒米と呼べるでしょう。
山形、吟醸酒、と言えば「出羽桜」。やはり使用しているのは出羽燦々などの酒米です。
雄町
主な生産地は岡山。酒米として、最古参の種目と知られているのが「雄町(おまち)」です。
山田錦や五百万石のルーツとなった酒米。一時期は、栽培の難しさから生産量が減少、絶滅の危機に瀕しましたが、近年、岡山の酒造メーカーを中心にしたグループが栽培を復活。近頃は再び、雄町使用の日本酒もよく見かけるようになりました。
特徴は、芳醇でコクのある味わいに仕上がる、と言うこと。その力強い風味は、日本酒通を中心に人気を博しています。
「醸し人九平次 純米吟醸 雄町」は、雄町の特徴をしっかりと引き出した日本酒です。
出身地の酒米を知ろう!
最後に、全国都道府県別の酒米を一覧でご紹介します。出身地の酒米を知れば、地元の味、を知る近道になりますよ!
概要
都道府県 | 品種 |
---|---|
北海道 | 吟風、彗星 |
青森県 | 古城錦、華想い、華吹雪、豊盃 |
岩手県 | ぎんおとめ、吟ぎんが、結の香 |
宮城県 | 蔵の華、ひより、美山錦、山田錦 |
秋田県 | 秋田酒こまち、秋の精、吟の精、美山錦、改良信交錦 |
山形県 | 羽州誉、改良信交、亀粋、京の華、五百万石 |
福島県 | 五百万石、華吹雪、美山錦、夢の香 |
茨城県 | 五百万石、華吹雪、美山錦、夢の香 |
栃木県 | 五百万石、とちぎ酒14、ひとごこち、玉栄、美山錦、山田錦、若水 |
群馬県 | 五百万石、舞風、若水、改良信交 |
埼玉県 | さけ武蔵 |
千葉県 | 五百万石、総の舞 |
神奈川県 | 若水、山田錦 |
新潟県 | 五百万石、一本〆、雄町、菊水、越神楽、越淡麗 |
富山県 | 雄山錦、五百万石、富の香、美山錦、山田錦 |
石川県 | 五百万石、石川門、北陸12号、山田錦 |
福井県 | 五百万石、おくほまれ、越の雫、神力、山田錦 |
山梨県 | 吟のさと、玉栄、ひとごこち、山田錦、夢山水 |
長野県 | ひとごこち、美山錦、金紋錦、しらかば錦、たかね錦 |
岐阜県 | 五百万石、ひだほまれ |
静岡県 | 五百万石、誉富士、山田錦、若水 |
愛知県 | 夢山水、若水、夢吟香 |
三重県 | 伊勢錦、神の穂、五百万石、山田錦、弓形穂 |
滋賀県 | 吟吹雪、玉栄、山田錦、滋賀渡船6号 |
京都府 | 祝、五百万石、山田錦 |
大阪府 | 雄町、五百万石、山田錦 |
兵庫県 | 愛山、いにしえの舞、五百万石、白菊、新山田穂1号 |
奈良県 | 露葉風、山田錦 |
和歌山県 | 山田錦、五百万石、玉栄 |
鳥取県 | 強力、五百万石、玉栄、山田錦 |
島根県 | 改良雄町、改良八反流、神の舞、五百万石、佐香錦 |
岡山県 | 雄町、山田錦 |
広島県 | 雄町、こいおまち、千本錦、八反、八反錦1号 |
山口県 | 五百万石、西都の雫、白鶴錦、山田錦 |
徳島県 | 山田錦 |
香川県 | 雄町、山田錦 |
愛媛県 | しずく媛、山田錦しずく媛、山田錦 |
高知県 | 風鳴子、吟の夢、山田錦 |
福岡県 | 山田錦、雄町、吟のさと、五百万石、壽限無 |
佐川県 | 西海134号、さがの華、山田錦 |
長崎県 | 山田錦 |
熊本県 | 山田錦、吟のさと、神力 |
大分県 | 雄町、五百万石、山田錦、若水、雄町 |
宮崎県 | はなかぐら、山田錦 |
いかがでしたでしょうか?是非これからは、使用されている酒米にも注目して、日本酒を楽しんでくださいね!