普通は「お米を炊く」と言いますが、日本酒に使用するお米は”蒸す”んです。
「え?蒸気で蒸すだけの工程でしょ?」
いえいえ、「蒸米」は日本酒作りの重要工程、さらにかなりの重労働なんです。
今回は、日本酒を今よりもっとおいしく飲める豆知識「蒸米工程」についてご紹介します!
まずは基本から!日本酒作りの工程について
日本酒造りの工程は、大まかに上の画像のようになっています。
このように数多くの工程を経て、私たちの元に「日本酒」となって届くのです。
「どのような味わいを目指すのか」によって、原料となる酒米や精米歩合などそれぞれの工程で調整をしています。
日本酒造りでは「一麹、二酛、三造り」という言葉があります。
工程の大切さを順に並べたもので、麹は「麹造り」、酛は「酒母造り」、造りは「醪(もろみ)を仕込み」のことです。
しかし、どの工程においても原料である酒米をしっかりと処理できていなければ良いものはできません。
中には「原料処理」が1番大切だ、という蔵元さんもいらっしゃいます。
(原料処理とは洗った米を水に浸してから、米を蒸しあげるまでの工程を指しています)
蒸米は原料処理の最後の工程。
何に気をつけているのか、「蒸米」の良し悪しが日本酒にどのような影響を与えるのか、詳しく見ていきましょう。
蒸米とは
「蒸米」とは、甑(こしき)という大きなせいろや蒸米機で、蒸気を使ってお米を蒸す工程です。
お酒は“酵母が糖を分解し、アルコールと二酸化炭素を出す”アルコール発酵をさせて造っています。
ワインのように原料そのものに糖が含まれていれば、そのままアルコール発酵をさせることができますがお米には糖が含まれていないので麹の「糖化」によって糖を作り出す必要があるのです。
そのために、お米を「蒸す」ことによってでんぷんをα化(糊化)しなければなりません。酵素作用がを受けやすくすることも目的の一つになります。
また、加熱により米を殺菌し、その後の醸造工程を安全に進めることもできます。
「蒸米」は日本酒にどう影響する?
先ほどもご紹介したように、超重労働な蒸米作業。
「蒸米」では、お米が麹の繁殖しやすい硬さと水分量になるように細心の注意を払わなければなりません。
具体的にはお米が外側は硬く、内部は軟らかく溶けやすい状態「外硬内軟(がいこうないなん)」状態を目指します。
蒸米が「外硬内軟」であることは麹造りにおいてとても重要なこと。
例えば、米が柔らかすぎると麹菌の菌糸が蒸米の中心部まで入り込んでしまいます。
この状態は「バカ破精」と呼ばれており、米が酵素で必要以上に分解され、味が出すぎ日本酒全体の味のバランスが崩れてしまいます。
つまり、良い麹造りには良い状態の蒸米が必要だということです。
まとめ
ただ蒸しているだけでしょ?なんてもう言えませんよね。
蒸米は出来上がる日本酒の品質の良し悪しに関わる超重要な工程!!ダイナミックさと繊細さを両立した、職人の技なんです。