ヨーロッパに比べて、日本はまだまだワイン後進国。以前は「日本のワインは美味しくない」という評判があったほどでした。しかし、近年では栽培技術や醸造技術、保存技術などの進化により、ひと際美味しいワインが楽しめるようになっているんです!
さて、そんな日本のワインですが、大きく2つのカテゴリーにわかれていることをご存知でしょうか。それが「日本ワイン」と「国産ワイン」。
今回は「日本ワイン」と「国産ワイン」の違いや日本のワイン事情などを紹介していきます。
国産ワインとは?
「国産ワイン」とは、ズバリ”国内で製造”されたワイン。
では、国産ワインは国内産の原料を用いて国内で生産されたのかということですが、それだと若干ニュアンスが変わってしまいます。
国産ワインというのは、海外から輸入した濃縮果汁やブドウ果汁などをワインとして国内で醸造したものであれば、国産ワインと名乗ることができてしまうのです。
漁業や加工品などを考えるとわかりますが、例えばロシアで漁獲された魚を青森の漁港で加工して販売した場合、青森産として流通させることが可能というわけ。
それと一緒で、原料がどこからやってきたかということはさほど気にせず、日本で醸造されたものは「国産ワイン」と名乗ることができるのです。
どこかおかしいのでは?と思われる方も出てくるでしょう。
しかし、日本ではまだワイン法が徹底しているわけではなく、こういったワインも多く出回っているのです。
日本ワインとは?
一方の「日本ワイン」は、日本国内で収穫されたブドウ原料を使い、日本国内で醸造、瓶詰めされたものを指します。つまり、完全日本オリジナルのワインというわけなのですね。
また、自主基準として原産地を名乗るための規制がいくつか認められています。山梨県、長野県、山形県などでは、その産地で収穫されたブドウを使用して、その産地で醸造されたものだけが名乗れるという厳しい基準が設けられている場合もあるのです。
日本ワインと国産ワインの区別はなぜ始まったのか?
似ているようで異なる日本ワインと国産ワイン。実は、この二つのカテゴリー分けは最近になって始まったものなのです。
日本のワイン法
世界にはワインを明確に区別する「ワイン法」がありますが、日本には明確なルールがありませんでした。そのため、「日本ワイン」として販売されているものでも、輸入品のぶどうや濃縮果汁を使用しているものもあったのです。
しかし、このままでは消費者の混乱を招いてしまうため、2015年10月、新しい基準が正式に設けられることが決定しました。今までどおり、日本ワインを名乗るためにはまず国内原料を使い、その原料を収穫した場所で醸造するというのは変わらず。
ただし、「山梨」や「北海道」「大阪」などという名をラベルに記載するためには、その土地の原料しか使ってはいけない、という厳しい基準が設けられました。
例えば、○○ワインといったように土地の名前で市販されていたワインも、そこの原料をしっかりと使っていない場合、そのラベルで市販したら罰則をうけることになるのです。
ワイン法が完全に施行されるのは、2018年10月から。消費者としても、これからワインを購入する際にはしっかりチェックしておきたいところですね。
日本ワインの課題
実は、日本ワインで問題となっているのは原料のブドウ不足。苗木が足りずブドウ農家が大変困っているという現状があります。
日本はぶどう作りに適した風土ではないと言われており、古くは世界的にもあまり高い評価はされていませんでした。しかし最近では、国際的なコンクールで賞を獲得する高いクオリティのワインが日本でも多く生産されているのも事実です。
ワイン法を定めたのは、日本ワインをこれからもっと盛り上げようという目標があってのもの!ぜひ消費者としても、この問題に目を背けず注目し続けながら、日本ワインを応援していきたいですね!