ワインが誕生したのはいつ?
ワインは人類よりも先に誕生していた!?
実は、この世に初めてワインが誕生したのは、人類が誕生するより以前のことだと考えられています。
実際、ブドウの原種は約300万年前から地球上に存在していたのです。人類が生まれるはるか昔、地に落ちたブドウが何らかの理由で潰れ、そこから染み出た果汁が酵母によってアルコール発酵したものこそ、私たちの慣れ親しんでいるワインなのです。
鍵は酵母にあり!
ブドウの果汁がワインになるには、ブドウの糖分をアルコールに分解する酵母が必要です。酵母とは小さな微生物のことを指し、この世には数多くの種類の酵母が存在しますが、その中には糖分をアルコールに分解する役割を担う酵母があります。
実は、ブドウを潰して置いておくと、このような酵母の働きによって、自然発生的にワインができるのです。ただし、現在では一般の方がワインを造ることは酒税法で禁じられています。
人類が初めてワインを造るようになったのは?
ワイン発祥の地とは?
人類が初めてワインを造るようになった場所は、現在でいう「ジョージア」のあたりだと考えられています。
ジョージアは、1991年に独立するまでは 旧ソビエト連邦の構成国であり、「グルジア」という名称で呼ばれていました。西側は黒海に面し、北側にはロシア、南側にはトルコやアルメニア、アゼルバイジャンといった国々と隣接し、コーカサス山脈を取り囲むコーカサス地方に属しています。
太古の遺跡や文献にもワインが造られていた痕跡が!
近年、ジョージアで発掘された紀元前6000年代の土器の破片から、ワイン造りを行っていた痕跡があることが判明しました。つまり、人類がワイン造りを行うようになったのは、少なくとも今から約8000年以上前ということになります。
また、古代の文献にも、たびたびワインが登場しています。ワインに関する記述が確認できる最古の文献はメソポタミアの『ギルガメシュ叙事詩』という文学作品で、古代バビロンのギルガメシュ王が大洪水に備えて船を造らせた際、大工達にワインを振舞うような場面があります。
他にも、紀元前1800年代後半に古代バビロニア王国のハンムラビ王が制定したハンムラビ法典の中にも、ワインに関する条文が存在しています。
世界へ広がるワイン造り
各地へ広がるワイン
ジョージアではじまったワイン造りは、その後チグリス川とユーフラテス川の上流に位置するメソポタミアへと伝えられ、その後、エジプトやギリシャへともたらされました。
エジプトで発見されているワイン造りの様子が描かれている壁画から、当時のエジプトでは、すでに現在と同じような高度な製法でワイン造りが行われていたと考えられています。
また、ギリシャに伝わったワイン造りは、ローマ帝国にも伝えられ、ローマ帝国の領土拡張に伴い、ヨーロッパの多くの地域にワイン造りが広められていきました。
エジプトではあの有名人もワインを愛飲!
古代エジプトにもたらされたワインは、世界三大美女のひとりであるエジプトの王女・クレオパトラにもこよなく愛されたと言われています。
エジプトの王位に就いて、日頃は権威を振るっていたクレオパトラも、ジョージアのワインを飲んだ時にはホロリと涙したという言い伝えから、ジョージアのワインは「クレオパトラの涙」とも呼ばれています。
まとめ
普段は何気なく飲んでいるワインには、このように長い長い歴史があり、人類と共に時を刻んできたのです。
もちろんその製造方法などは、技術革新や改良により、格段に進歩はしていますが、多くの人々に愛され、時には心の拠り所にもなっている、という点については、今も昔も変わらないようですね。