ロック、水割り、ハイボールと様々な楽しみ方ができるお酒「ウイスキー」。スーパーに並んでいるだけでも、数え切れないほどの種類がありますよね!しかし、あれはほんの一部にすぎません。世界をみると、実に様々なウイスキーがあり、味わいもそれぞれ大きく異なるのです。
原材料や熟成時に使う樽などがウイスキーの味に大きな違いをもたらしますが、それ以外にも「ヴァッティング」や「ブレンディング」という工程があることでウイスキーの味はさらに大きく変化するのです。
今回は、ウイスキー好きであれば覚えておきたい豆知識として「ヴァッティング」「ブレンディング」この2つの作業工程について説明していきたいと思います。
ウイスキーの基礎知識
ウイスキーと一概に言っても、その製法によって種類も様々。ヴァッティングとブレンディングを知る前に、まずはウイスキーの基礎的な知識から解説していきます。
ウイスキーとは、「穀物を原料とした蒸溜酒を樽で熟成させたお酒」を指します。各国で定義が微妙に異なりますが、この製法だけは各国統一されているようです。
すべてのウイスキーで使用されるのがモルト(大麦麦芽)。モルトは、デンプンを糖に変えるために必要な酵素を兼ね備えているため、ウイスキー生成においては必須の原料なのです。
ウイスキーに使用される穀物
その他にも、以下の穀物を使用してウイスキーを生成します。
大麦・小麦..それぞれでウイスキーの味を変化させる素材。小麦を51%配合しているものをウィートウイスキーと呼ぶ
ライ麦...甘みを増すために使用する素材。バーボンウイスキーやコーンウイスキーの主原料となっている
とうもろこし...主にカナダのウイスキーで使用される。スパイシーな酸味が魅力的
代表的なウイスキーの種類
他にも、蒸留方法との組み合わせで主に2つのウイスキーが出来上がります。
モルトウイスキー...大麦が原料となり、ポットスチルと呼ばれる単式蒸留器で蒸留して生成する
グレーンウイスキー...大麦をベースとして、ライ麦やとうもろこしを配合。ウォッシュを連続的に投入できる塔上の連続式蒸留機で生成する
ヴァッティングとはどんなもの?
モルトウイスキーは、樽ごとに微妙にテイストが異なります。そこで、個性が違うもの同士を混ぜ合わせて、より魅力的なモルトウイスキーを生成する方法がヴァッティングです。
ヴァッティングの”ヴァット”とは「大きな桶」という意味。大きな桶の中で、モルトウイスキー同士を混ぜ合わせることからこの名前になったそうです。
ヴァッティングによって生まれたウイスキーは、ヴァッティドモルトウイスキーと呼ばれています。また、グレーンウイスキー同士を混ぜ合わす場合にも、ヴァッティングと総称しているケースもあるのだとか。
しかしながら、法律が変わったことによって、現在は”ヴァッテッド”の表記をすることはできなくなっているそうです。
ブレンディングとはどんなもの?
ヴァッティングは、あくまで”モルトウイスキー同士”を組み合わせる作業です。それに対して、モルトウイスキーとグレーンウイスキー、異なる2つの原酒を混ぜ合わせることを「ブレンディング」と呼んでいます。
英語で”混ぜる”の意味を持つブレンドが表すように、異なるもの同士を混ぜ合わせ個性を引き出すことで、より魅力的なウイスキーに仕立て上げるために必要な作業なのです。
合わせるモルトやそれぞれの割合によって、その味は全く違うものになるため、ブレンド具合の見極めを行う
ヴァッティングとブレンディングを行うブレンダーの仕事
ヴァッティングとブレンディングは、あくまでも原酒の段階で行います。各メーカーのウイスキーの味を決定する重要な作業となり、誰でも簡単にできる工程ではありません。各メーカーで、しっかりと味の違いがわかる人物のみが行うのです。この作業を行う方の事を「ブレンダー」と呼んでいます。
ブレンダーは、原酒をそれぞれテイスティングして、どのような個性があるかを事前に把握していきます。この時点で、味と香りを的確に見極める必要があるのです。その後、どの組み合わせにすると、より理想に近く美味しい味になるかを考え、ヴァッティングやブレンディングを行います。
その後、再び樽に詰め直して数週間~2年ほど熟成させる作業(後熟やマリッジと呼ばれる作業)を行う場合もあります。ここまで計算して作業を行うだなんて......もはや職人技と言っても過言ではありませんね。
また、ブレンダーは品質の確保というだけでなく、更なる改良に向けての提案なども行っています。新製品の開発も、当然ブレンダーの大事な仕事なのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
普段私たちが楽しんでいる多くのウイスキーは「ヴァッティング」や「ブレンディング」の作業が行われているもの。
機械などではできず、人間の能力や長年の感覚に頼る作業なので、”いかにしてに優秀なブレンダーを確保できるか”が各メーカーにとっての重要なテーマとなっているようです。
今宵は、ブレンダーの心意気を感じながら、ウイスキーを楽しんでみてはいかがでしょうか?
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