近年、クラフトビール人気が過熱しています。全体の統計を見ると、ビール自体は不調といわれていながらも、クラフトビールなどのジャンルやイベントは盛り上がりを見せています。
日本においても、海外産、国産問わずクオリティの高い個性的なビールを手軽に楽しむことができるようになりました。
さて、そんなクラフトビールを楽しまれている方のなかで、「エール」というネーミングについて知らないという方もいるかもしれません。
何となく響きが美味しそうということで、味わいの特徴を知らぬまま惰性で飲み続けていないでしょうか。今回、ここではエールスタイルのビールとは何かを紹介します。
伝統的な上面醗酵のビール
エールビールというのは、上面発酵で醸造されたビールのひとつです。ワインでもお馴染みのサッカロマイセス・セレビシエという出芽酵母を使用しており、常温で短期間醗酵されたビールです。
我々が普段楽しんでいる日本の大手ビール会社の缶ビールは下面醗酵と呼ばれる醸造法で造られており、こちらは低温で時間をかけて行う方法で上面醗酵の後に誕生したものです。
つまり、エールビール自体は昔からある、伝統的なビールなのです。
ホップを使用しないビール
イングランドにホップが伝わったのが15世紀頃ですが、これ以前から飲まれていたビールがエールビールであり、ホップが使われていない醸造酒はエールと総じて呼ばれていたといわれています。
ホップを使用しないのでフルーティーかつ苦みの無いビールとしてできあがります。思い出していただければ幸いですが、ビールバーのような場所では恐らくもっとも提供されているタイプであり、フルーティーで苦みのない、ある意味で「甘い」味わいのビールがそれです。
泡も少ないために、少し辛口のパンチの聞いたラガービールに慣れている方は物足りないかもしれませんが、同じ感覚ではなく、エールビールはじっくりと旨味を味わってみる飲み方というのが正解です。別物と思って楽しまれると、より美味しく楽しめるのではないでしょうか。
エールにはいろいろある!
ちょっとだけ、ペールスタイルのビールが飲みたくなってきたかもしれませんが、一体どんなエールから飲めば良いのか迷われてしまうはずです。実は、エールにはかなりの種類があるので知っておくと良いでしょう。
ペールエールというネーミングをよく目にすると思われますが、このペールは淡色の意味で、スタウトビールより淡いという意味でつけられています。
逆に、濃色のエールも存在しており、ポーターなどといわれるダークエールがそれにあたります。
さらに、ウイスキー風のスコッチエールだったり、国によって個性的なエールスタイルが用意されています。逆に、エールのスタイルを全て覚えようとするのではなく、お店のスタッフに聞きながら、「ここにはこういったエールがあるのか」とメモっていく
感じの方が楽しめるのではないでしょうか。
ラガービール好きにおすすめのエール
先述しましたが、今ではホップが使われているエールビールも多く存在しています。まろやかでフルーティー、甘さが際立つエールも好きだけれど、ホップのあのパンチ力と華やかなアロマが欲しい…という方もいるでしょう。
そういった方におすすめなのが、「インディア・ペールエール」です。海外のビールを揃えている酒屋などにいくとよく目にする「IPA」というものがありますが、あれがインディア・ペールエールなのです。
こちらは、ホップを前面に押し出しているエールなので、苦みもしっかりとあり冷やしても美味しいエールビールとなっています。
このように、エールビールといってもさまざまな種類があり、「エールだから、絶対にこの味しかない」というものは特にありません。ぜひ、エールビールの世界を楽しんでください。