クラフトビールが注目を浴びている昨今、さまざまな種類のビールを日本でも選べるようになりました。
普段、我々が親しんでいるビールとは違った色や味わいのビールは、お酒の楽しみの幅を広げてくれるだけではなく、仲間たちとの時間をより充実させてくれます。
さて、そんなビールの種類のなかで、比較的馴染み深いけれど詳しく知られていないものがあります。それが、「スタウトビール」です。黒ビールとして知られるこのスタウト。一体どんなビールなのかを、ここで紹介していきましょう。
スタウトとは?
スタウトの発祥の地はアイルランドですが、ポーターという暗い色をしたエール系のビールがスタウトの原型であるといわれています。
18世紀後半にポーターがアイルランドへと伝わり、ギネス社によってアルコールが強化されたビールが、「スタウト・ポーター」と呼ばれるようになったのが始まりです。
麦芽化を行わず、焙煎した大麦を使用して使うことが特徴のスタウト・ポーターは、麦芽やホップの香味が非常に強く、泡もとてもクリーミーなところが特徴といえるでしょう。
スタウトというと、ギネス社で有名なドライスタウトがありますが、スイートスタウト、オイスタースタウトなど、さまざまな種類があるのもこのスタウトの特徴といえます。
何故濃厚なのか?
スタウトというのは、英語で「丈夫・頑丈」などと意味を持っていますが、それだけ力強く、香りも強いビールであったことから名付けられたと考えられます。
通常、ビールを作る時は麦芽化させてでんぷん質を生成させるのですが、このスタウトの場合は麦芽化がされていない、大麦を焙煎しています。
大麦特有のほろ苦さやスモーキーな香味、さらにはどこかチョコレートにも通じるような香りが特徴となっています。先述したように、ギネス社がアルコール度数をポーターの時よりも上げていることもあり、どっしりと濃厚な味わいになっています。
ただし、ドライスタウトに関しては、アルコール度数が4,5%程度ですので比較的飲みやすいようです。しかし、カラメル香があるために、どことなく重たさを感じる充実感を得られやすいビールといえるでしょう。
日本におけるスタウト
スタウトは通常、上面発酵と呼ばれる工程でつくられるものをさしています。しかし、日本の場合はビールに関する規約を守っていれば上面発酵でつくる必要はなく、実際にそういった商品も登場しています。
ラガーなどの下面発酵でつくられるビールの場合、非常にフレッシュで飲みやすい味わいとなるので、そういった製法でつくられるスタウトビールも大変喉どしが良く人気です。
一部、大手メーカーには上面発酵でつくらているものもありますが、多くが下面発酵です。ビールファンのなかには、こういった部分の規定が曖昧であることを良いと思っていない方も多く、今後も議論を巻き起こすであろうといわれています。
さまざまなスタウトビール
ドライスタウトが一般的ですが、スタウトビールには、実にさまざまな種類があります。例えば、甘みとアルコール度数を高くすることで、よりまろやかな味わいを表現したものに「フォーリンスタウト」というもものがあります。
焦がした樽で熟成されたような、スモーキーでチョコレートのような香りが楽しめます。また、より甘さを強調したものには「スイートスタウト」という種類のものも存在しています。ミルクを加えたり、クリームを加えたりすることで、デザート感覚で楽しむことができます。
いろいろなスタウトを試そう
ギネス社が有名ですが、イギリスでも大変スタウトは有名です。いろいろな国のビールが手に入るようになった今、世界中でつくられているスタウトビールを飲み比べしてみるのも、楽しいのではないでしょうか。