晩酌にビールが欠かせないビアラヴァーのみなさんのおうちには、たんまりとビールがストックされていることと思います。とはいえ、あんまりたくさん買いすぎると冷蔵庫に入りきらない。仕方なく常温放置している人は多いと思うのですが、それ、日光が当たる場所や高温の室内に置いたりしていませんか?
ビールの保存は「直射日光と高温を避けて」が基本!
ビールのラベルには、ビールの保存方法に関する注意が書かれています。例えば写真はサントリーのプレミアム・モルツですが、「破裂するおそれがありますので、衝撃や冷凍保管を避け、直射日光のあたる車内等高温になる場所に長時間置かないでください」とありますね。
日光や高温環境はオフフレーバーの原因に!
ビールを高温の場所に放置すると、ビール中の成分が酸化して香味が変質したり、酸化臭が発生します。酸化臭はダンボール箱のような、濡れた紙のような匂いと表現されます。
そして、ビールは日光も苦手。日光をはじめとする強い光は、ホップ由来の成分を変化させ、不快な日光臭を発生させます。上の写真のように、ビールの瓶が緑色や茶色だったりするのは、光を少しでも遮断できるようにという理由から。もちろん、完全には遮断できないので、短時間でも日光にさらすのは避けたほうが賢明です。
酸化臭や日光臭など、ビールの香味を損なう不快な臭いはオフフレーバーと呼ばれます。
実際に検証してみた
日光や高温でビールの味は劣化するのか検証するために、賞味期限が同じ日のビールを、8月10日から9月10日まで1ヶ月間それぞれ条件の違う場所に保管して味の変化を比べてみました。今回活躍してくれるのは、チェコの大衆ビール「スタロプラメン」です。
冷蔵庫の中で保管したビール
まずは冷蔵庫で保管していたビールをいただきます。ピルスナーを生んだ国チェコらしい、ホップの苦みと麦の旨みのバランスよい味わい。中でもスタロプラメンは、麦の風味がしっかりと感じられるまろやかな印象です。美味。
1日中日光にさらしたビール
次に、冷蔵庫で保管したあと、実験日の朝から1日中日光にさらし続けたビールをいただきます。口に含むと、すぐにじんわり異質な味が…。日光臭は獣臭ともスカンキー臭ともいわれますが、先日動物園で飲んだランビックのような病みつきになる獣臭とは違う、ハムスターの巣のような独特の臭いを感じました。
夏の間35℃以上になる部屋に放置していたビール
最後は、夏の間連日室温35℃以上になる高温の部屋に1ヶ月間放置していたビール。ドアを開けて一瞬中に入るだけで汗だくになるような環境で1ヶ月間耐えていてくれました。
まず、グラスに注いだ瞬間から泡がプチプチと消えていきます。なんだか見た目からしておいしくなさそう。グラスに鼻を近づけると、1日中外で遊んでいた猫の匂いが。ホップの苦みも麦の風味もぼんやりとかすみがかり、干した布団のような違和感のある香味に。
ビールの保管、こんなことに気をつけて!
今回の実験で、高温や直射日光など、保管条件によって香味のバランスがひどく崩れてしまうことが分かりました。ビールの保管は冷暗所で。冷暗所がない場合は冷蔵庫に入れて保存しましょう。ちなみに、ビールは継続的な振動にも弱いとのことなので、冷蔵庫に入れておく場合にはドアポケットは避けてくださいね。
最後に、この記事を書くに辺り、高温にさらされ、日光浴をさせてしまったビールたちに謝りたいと思います。辛い環境に置き去りにしてしまい、ごめんなさい。みなさん、美味しくいただくためにもビールは正しく保管をしましょうね。