日本屈指のパワースポット、伊勢神宮。神々が鎮座する荘厳な社は、古来より人々の心を癒してきました。その伊勢神宮のお膝元に1997年、小さなクラフトブルワリーが誕生。本日ご紹介するのは、近年国内外のビアコンペティションでも高評価を集める「伊勢角屋麦酒」です。
伊勢角屋麦酒とは?
お茶屋さんから生まれたクラフトビール
出典:wikimedia
江戸時代に生まれた「おかげまいり」という言葉をご存知ですか?日々の穏やかな暮らしができるのは伊勢の神様の「おかげ」と、日本全国から参拝者が押し寄せたこの時代、人々は茶店で長旅の疲れを癒やしたものです。戦国の時代から参拝者をもてなしてきた茶店「角屋」は、大正時代に味噌などの醸造を開始。そして、創業から400余年経った1997年にはクラフトビール造りを始めました。
伊勢から世界へ
「ビールを通して伊勢の名を世界に」、「世界のビール通を唸らせるビールを」、と邁進してきた伊勢角屋麦酒。2000年にJapan Beer Cupで金賞を受賞して以来、World Beer AwardやWorld Beer Cupなど、名だたるビアコンペティションで優秀な成績をおさめ、現在では国内のビアバーだけでなく広く海外でも愛されています。
地元の素材にこだわって
三重県の名物柑橘フルーツ「不知火」の皮を使った不知火エール、伊勢市が天然記念物に指定している蓮台寺柿の葉の渋みをきかせた蓮台寺スパイス、地元浦村産牡蠣の旨みが凝縮した浦村牡蠣スタウトなど、地元の素材を活かしたユニークな地ビールをリリースしてきた伊勢角屋麦酒。
こちらの「ヒメホワイト」は、「酵母マニア」の異名をとる鈴木社長が伊勢の杜の樹木から採取した地元産天然酵母で醸したホワイトエールです。酵母まで地元産にこだわる姿勢、まさに、「ビールを通して伊勢の名を世界に」を体現するビールといえますね。
「伊勢角屋麦酒」のブルワリーを訪ねました
オトナの工場見学
「伊勢角屋麦酒」のブルワリーがあるのは伊勢市の二軒茶屋。まさに、二軒の茶屋があったことから名付けられたこの地名。戦国時代に創業した茶屋「角屋」はその1つだったのだそうです。
キラキラ輝く仕込み釜や貯蔵タンクがオトナの冒険心をくすぐります。「伊勢角屋麦酒」は日本のクラフトブルワリーの中では中規模なのだとか。これらをたった4人で操業し世界へ向けて「伊勢の地ビール」を発信しているのです。
ブルワリーを案内してくれた金澤さんは大学で酵母の研究をされた後クラフトブルワリー界に飛び込み、2年前から伊勢角屋麦酒でブルワーとして活躍中。語り口から、表情から、ビールを造ることが本当に好きだという気持ちが伝わってきます。こんなステキな方の情熱が詰まったビールだもの、愛されるわけですよね。
一般の方はブルワリー内に立ち入ることはできませんが、売店横の廊下から中の様子が見られます。懸命にビールを仕込むブルワーさんとバッチリ目が合う、なんてことも…。
リリース直前の「モルティーフィールド」を試飲
素材提供:伊勢角屋麦酒
ブルワリー見学の最後に、まもなくリリースされる予定の限定醸造ビール「モルティーフィールド」を試飲させていただきました。
大地の恵みを受けたモルトの風味を前面に出したモルティーフィールド。穂を垂らした麦が一面にそよぐ麦畑を思わせる、あたたかなブラウン。疲れた体と頭をじんわりと癒してくれるような穏やかさを感じる風味。一日の終わりに、ゆっくりとその世界に浸りたくなるビールです。
売店「麦の穂」
併設の売店「麦の穂」では、伊勢角屋麦酒のラインナップはもちろん、伊勢名物二軒茶屋餅、角屋特製味噌や醤油などが並んでいます。
せっかくなので、お伊勢みやげに角屋名物の二軒茶屋餅を購入しました。ぷよんとした食感ときな粉のあたたかい味に、なんともシアワセな気分。
伊勢神宮麦酒内宮前店で味わう地ビール
伊勢角屋麦酒は、内宮前のおかげ横丁にあるレストランでも味わうことができます。ゆっくり腰を落ち着けて、食事と一緒にビールを堪能したい人はレストラン内へ。とにかくビール!という人は、お店の入口にあるビアスタンドでビールをテイクアウトすることも可能です。
ビアスタンドはこのとおり大盛況!
伊勢ピルスナー、ペールエール、ブラウンエールなどの定番ビールの他、季節限定醸造のビールもラインナップ。タップからこくこくと注がれるビールに、ゴクリと喉が鳴りますね。
左から、コクと深みを感じるブラウンエール、草原にいるような爽やかなホップ香を感じるインペリアルレッドエール、キャラメルのようなふくよかな旨みと苦味のバランスが素晴らしい神楽麦酒。お店の裏手にある五十鈴川を眺めながら、至福のひとときです。
牡蠣をおつまみに
レストランの人気メニューは、地元浦村産牡蠣を使った牡蠣料理。ビアスタンドでもカキフライ串や焼き牡蠣など、牡蠣のお手軽おつまみを購入することができます。このカキフライ、ザクッと軽快な音を立てる衣に、とろ~りじゅわんと溢れる牡蠣エキス。タルタルソースをたっぷりつけて召し上がれ。ああ、思い出しただけでもヨダレが…。
お茶とお餅でお伊勢参りの参拝者を癒していた時代を経て、ぬくもり溢れるクラフトビールで現代の参拝客をお迎えする伊勢角屋。おもてなしの心と情熱を感じるビールは、人生という長旅の途中でほっと一息つきたいときにもおすすめです。
伊勢角屋麦酒は伊勢市ではもちろん、お隣鳥羽市の物産店などでも買い求めることができるので、GWに伊勢・鳥羽方面へ行かれるならぜひ現地で味わってみてくださいね!
伊勢角屋麦酒蔵「麦の穂」の情報はコチラ
店名 | 麦の穂 |
---|---|
住所 | 三重県伊勢市神久6-428 |
電話番号 | 0596-23-2880 |
営業時間 | 10:00~18:00 |
HP | http://www.biyagura.jp |
伊勢角屋麦酒内宮前店の情報はコチラ
店名 | 伊勢角屋麦酒内宮前店 |
---|---|
住所 | 三重県伊勢市宇治今在家町東賀集楽34 |
電話番号 | 0569-23-8773 |
営業時間 | 11:00~20:00(木曜のみ15:00 CLOSE) |
HP | http://www.okageyokocho.co.jp/tenpo.php?no=17 |