皆さんこんにちは。
日本全国に存在する酒蔵。そこで造られる日本酒はその土地ならではの味わいを醸しだすもの。今回は都道府県別の日本酒の味わいの特徴をまとめみました。是非日本酒選びの参考にしてみてください。
※人それぞれ味覚や嗜好は異なるため、あくまで参考としてご覧いただけると幸いです。日本酒の味わいは蔵元、酒米、杜氏の腕、酵母等で変わります。あくまでイメージとしてご理解いただけると幸いです。
何故都道府県別に味わいが違うのか?
北は北海道から南は沖縄まで日本全国で造られている日本酒。その味わいは造られる地域によって大きく変わってきます。なぜなら日本酒は基本的にその土地の「水」と「米」から造られるからです。その地域の気候や地形によって水や米の質もまた変わってきます。更に、酒造りを行う「杜氏」も日本酒の違いを生み出す要素の1つです。日本各地にはそれぞれの地域の伝統の技を受け継いだ杜氏集団が存在します。どの杜氏集団の杜氏が酒を造るかによって、また味わいも変わってくるのです。
「水、米、杜氏」。これら3つの要素がその土地らしさとも言える味わいを生み出しているのですね。
都道府県別日本酒の味わいの特徴
北海道エリア
県名 | 特徴 | 代表的な銘柄 |
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北海道 | やや淡麗な味わいが北海道の日本酒の特徴。北海道ならではの新鮮な海の幸の味わいを上手く引き立てます。 | 国士無双、男山、北の誉 |
東北エリア
県名 | 特徴 | 代表的な銘柄 |
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青森県 | 華吹雪などの酒米を使った香り高いスッキリとした味わいの日本酒が特徴です。 | 田酒、豊盃、陸奥八仙 |
岩手県 | 南部杜氏の技を受け継ぐ岩手の酒造り。洗練された味わいで、合わせる料理を選びません。 | あさ開、南部美人、浜千鳥 |
宮城県 | 南部杜氏の影響を色濃く残す宮城の酒造り。端麗辛口が主流です。 | 浦霞、一ノ蔵、伯楽星 |
秋田県 | 豊かな水と豊富な米に恵まれた秋田県は山内杜氏の技をもって、革新的な酒造りを続けています。 | 新政、白瀑、高清水 |
山形県 | 個性豊かな酒蔵が点在する山形県。吟醸酒の出荷割合が高く、高品質な酒を生み出しています。 | 十四代、出羽桜、くどき上手 |
福島県 | 昔から酒処として栄えてきた福島。会津の豊かな自然の恵みから生まれる確かな味わいの日本酒を生み出しています。 | 飛露喜、大七、奥の松 |
関東エリア
県名 | 特徴 | 代表的な銘柄 |
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東京都 | 蔵元の数は多くありませんが、西東京地域では多摩川水系の豊かな水から質の高い日本酒を生み出しています。 | 澤乃井、丸眞正宗、多満自慢 |
神奈川県 | 神奈川は比較的小規模な酒蔵が多く、全国的にみても県全体の精米歩合が非常に高いなど高品質な手づくりの日本酒を生み出しています。 | いづみ橋、相模灘、蓬莱 |
埼玉県 | 荒川と利根川という2つの水系によって育まれる埼玉の酒。水は軟水のため酒質はやわらかく、口当たりの良いまろやかな酒ができます。 | 神亀、ひこ孫、秩父錦 |
千葉県 | 意外にも長い歴史を持つ千葉県の酒造り。栽培特性に優れた酒造好適米である「総の舞」を使った酒造りを行っています。 | 五人娘、甲子正宗、梅一輪 |
茨城県 | 関東地方では最も酒蔵の数が多い茨城県。茨城県初のオリジナル酒造好適米「ひたち錦」を使用し純茨城な酒に力を入れています。 | 郷乃誉、来福、菊盛 |
栃木県 | 栃木県は水源に恵まれており、日本名水百選の尚仁沢湧水や出流原弁天池湧水から造られる精錬された酒造りを行っています。 | 鳳凰美田、仙禽、松の寿 |
群馬県 | 清冽で豊かな水源を誇る群馬県。水質は軟水が多くソフトな飲み口の酒が生まれます。更に群馬の酒造期間中の気温は低温で寒造りに最適な環境です。 | 水芭蕉、群馬泉、谷川岳 |
中部エリア
県名 | 特徴 | 代表的な銘柄 |
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山梨県 | 山脈から流れる清らかな水と厳しい冬の寒さもあって、酒造りには適した環境である山梨県。スッキリと精錬された味わいの日本酒です。 | 春鶯囀、七賢、笹一 |
新潟県 | 良い酒造りの条件である気候、米、水の三拍子が揃い、越後杜氏をの技を擁する新潟県。その酒はキメ細かくきれいで上品な味わいです。 | 久保田、八海山、〆張鶴 |
長野県 | 自然の恵み豊かな長野県は、日本酒造りに最適な諸条件を有しています。日本の屋根として親しまれる日本アルプスの名水と信州の酒造好適米「美山錦」から生まれる高品質な酒が売りです。 | 真澄、大信州、明鏡止水 |
富山県 | 酒造りに適した気候の富山県。コクのある味わいを生み出す能登杜氏と、キレのある味わいを生み出す越後杜氏が主体となって生み出す個性溢れる日本酒が特徴です。 | 勝駒、幻の瀧、銀盤 |
石川県 | 寒冷な気候、白山水系の良質な水、そして酒造好適米「五百万石」の産地という好条件が揃った石川県。能登杜氏が仕込む酒の味わいは、ふくよかな濃醇型で、甘口の傾向が強いのが特徴です。 | 天狗舞、菊姫、手取川 |
福井県 | 豊富なミネラル分を含む、白山水系の水に、全国2位の「五百万石」の生産量を誇る福井県。研ぎ澄まされた一滴一滴の水を大切に使い銘酒を生み出しています。 | 黒龍、梵、白岳仙 |
愛知県 | 古事記、日本書紀の時代の文献にも見られるほど非常に長い歴史を持つ愛知の酒造り。伝統、技術など歴史的遺産を受け継ぐ愛知の清酒は、木曽三川や矢作川などの清流の伏流水、良質な原料米、酒造りに適した気候風土といった環境に恵まれ、全国に誇る旨口の酒が造られています。 | 醸し人九平次、蓬莱泉、義侠 |
岐阜県 | 岐阜県を代表する酒造好適米といえば、「ひだほまれ」に、冬、北アルプスの山々に降り積もった雪が伏流水が酒造りい最適な地下水となって洗練された味わいの酒が生まれます。 | 三千盛、醴泉、小左衛門 |
静岡県 | 静岡酵母を使って仕込まれ、香りが高く、酸が低く、まるくすっきり整った従来にないタイプの酒が静岡の酒の特徴です。温暖な気候にも関わらず鑑評会での入賞率も非常に高い、高レベルな酒造りを行っています。 | 臥龍梅、磯自慢、開運 |
近畿エリア
県名 | 特徴 | 代表的な銘柄 |
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三重県 | 日本全国でも有数の美食文化を誇り、様々な清酒酵母が開発されている三重県。そんな美食文化の中で育まれた三重の酒は高品質で様々な料理に合う多様なタイプが揃っています。 | 三重錦、作、義左衛門 |
大阪府 | 古くから北摂、河内、泉州という銘醸地で知られ、「天下の台所」と称された先進の地において、大阪の食文化とともに栄えてきました。味わいはいずれもスッキリとした飲み口で、奥行きの深さが持ち味のものが多いです。 | 秋鹿、呉春、天野酒 |
兵庫県 | 兵庫県は、「山田錦」をはじめとする酒造米の一大生産地であり日本最大の酒どころ。熟練した技と経験を持った「但馬、丹波杜氏」の地でもあり、県内各地で酒造りが盛んに行われています。中でも灘は、全国一の主産地でとなっています。 | 剣菱、龍力、富久錦 |
京都府 | 気候・風土に恵まれ繊細で洗練されたお酒が多い京都府。全国有数の酒どころの「伏見」があり、桃山丘陵が源泉の良質な水を使って造られたお酒は、まろやかで口当たりの良い、やわらかな味わいから、「女酒」といわれています。 | 玉乃光、英勲、松竹梅 |
滋賀県 | 琵琶湖を有する滋賀県は、山に囲まれた盆地。古くから有名な穀倉地帯として知られ、県産酒の多くは、こうした山々を水源とする地下水で仕込まれており、味わい深く、まろやかなお酒が多く醸しています。 | 大治郎、不老泉、萩乃露 |
奈良県 | 国内最古の銘醸地と言われる奈良県。吉野・生駒山系の伏流水や、大和平野の上質米で造られるお酒は、飲みやすく、さわやかなすっきりとした味わいに仕上がります。 | 風の森、八咫烏、春鹿 |
和歌山県 | 和歌山県では紀伊山地からの豊かな水と、酒造りに適した米を使用し、様々な種類のお酒が造られています。お酒の味わいは、全体としてコクのある濃厚な特徴のものが多く造られています。 | 黒牛、紀土 KID、雑賀 |
中国エリア
県名 | 特徴 | 代表的な銘柄 |
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鳥取県 | 鳥取県では、大山をはじめとする中国山地の雪解け水が伏流水となっており、数多くの名水に恵まれています。これらの多くは軟水であり、きめが細かく、口当たりのまろやかな優しいお酒が生まれます。 | 鷹勇、日置桜、千代むすび |
島根県 | 出雲神話の伝承の中で日本酒発祥の地として知られる島根県。伝統と優秀な技術を誇る出雲杜氏・石見杜氏の技ときれいな水を育む豊かな自然、高品質の酒造好適米によって高品質な酒が醸されています。 | 王祿、李白、出雲富士 |
岡山県 | 岡山県では豊かな食文化と伝統を受け継ぐ郷土料理が育ち、個性ある酒が育てられてきました。「備中杜氏」と呼ばれる杜氏集団の技を受け継いでおり、軽快で、雑味が少なく飲みやすい淡麗型にして旨口の酒質の酒造りが行われている。 | 酒一筋、御前酒、櫻室町 |
広島県 | 豊穣な土地から生まれる豊富な酒米と温和な気候風土、環境に恵まれた広島の酒。軟水醸造法が編み出され、ロあたりが柔らかく、芳醇で旨味に富んだ「広島酒」独特のまろやかな味わいが特徴です。 | 竹鶴、龍勢、雨後の月 |
山口県 | 地産地消を目的とした、酒造りを行っており、山口県産の酒米、酵母、水にこだわった酒を生み出しています。豊かな海、山の幸による郷土料理に合う淡麗な味わいの日本酒を生み出しています。 | 獺祭、雁木、貴 |
四国エリア
県名 | 特徴 | 代表的な銘柄 |
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徳島県 | 四国山脈や讃岐山脈から流れ出た水を元に、芳醇な味わいの酒を生み出している徳島県。昼夜の温度差が大きく、日当たりと風通しのよい山麓の棚田で作られる米と連綿と受け継がれてきた杜氏の技により阿波の銘酒が生まれます。 | 三芳菊、鳴門鯛、旭若松 |
香川県 | 讃岐は北に瀬戸内海、その海と島々をまたいで瀬戸大橋が開通。海の幸には特に恵まれ、山の幸も美味ぞろいの香川県。阿讃山脈の清らかな水から生まれる酒はうどんとの相性ももちろんぴったりです。 | 悦凱陣、川鶴、金陵 |
愛媛県 | 全国でも隠れた酒どころである愛媛県。四国山地の豊富な伏流水と瀬戸内海、宇和海から獲れる四季を通じた海の幸が愛媛の酒を育んできました。瀬戸内の白身魚を中心とした淡泊な食文化に合うよう、少し甘みがあり、旨みを感じる味わいが特徴です。 | 石鎚、梅錦、賀儀屋 |
高知県 | 昔から酒好きが多いことで有名な高知県。温暖地における醸造法の開発が早くから行われ、独自の酒を育んできました。新潟、富山などと並ぶ辛口の酒が主流となっています。 | 酔鯨、司牡丹、亀泉 |
九州・沖縄エリア
県名 | 特徴 | 代表的な銘柄 |
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福岡県 | 福岡は、酒造好適米の王様「山田錦」の有数な産地であり、清冽な軟水に恵まれ、歴史ある杜氏集団があります。しかも九州でありながら、冬場の気温は低く、空気が乾燥した気候で、酒造りにはぴったりの風土で、非常に高品質な酒造りが行われています。 | 三井の寿、繁桝、玉出泉 |
佐賀県 | 佐賀県の日本酒の特徴は甘口も辛口もあること。佐賀の水源である脊振山系と多良山系は軟水なので甘口の日本酒ができ、天山山系は硬水なので辛口の酒ができます。また、県内には多くの蔵元があり、酒造密度(面積に対する酒蔵の数)は全国でもトップクラスです。 | 鍋島、東一、七田 |
長崎県 | 全部で25の蔵元が存在する長崎県。焼酎文化が強い県ですが、佐賀県境の盆地では日本酒造りも盛んに行われています。 | 六十餘洲 |
熊本県 | 白川、緑川、菊池川の豊富な水と、南国のきらめく太陽の光を存分にあびて育った、良質な肥後米と、阿蘇・九州山地の伏流水を用いて造らる熊本の酒。ひときわ芳醇な香りとまろやかな味わいが特徴的です。 | 美少年、香露、美少年 |
大分県 | 大分県には約40の酒蔵があり、九州では福岡県に次ぐ酒蔵数と出荷量があります。焼酎で有名ですが、日本酒造りも盛んです。濃厚な甘口タイプの日本酒が多い中、吟醸酒で定評ある銘柄も育ち、杜氏も多く集まっていることから、今後の日本酒造りも期待されている地域です。 | 西の関、鷹来屋、千羽鶴 |
宮崎県 | 宮崎県にて清酒を造っている蔵元は2蔵のみ。日本酒造りは盛んではありませんが、延岡市の蔵元である千徳酒造は鑑評会でも金賞を取っており、確かな品質の酒造りを行っています。 | 千徳 |
鹿児島県 | 焼酎文化が中心の鹿児島。唯一日本酒を造っている蔵はいちき串木野市にある濱田酒造・薩摩金山蔵のみ。そこで、いちき串木野の冠岳伏流水を仕込み水に造られた「薩州正宗」は米のふくよかな香りとふくらみもありながら、きれいな味わいが楽しめます。 | 薩州正宗 |
沖縄県 | 温暖な沖縄で日本酒を造っている蔵元はうるま市の泰石酒造のみ。そこで造られた、沖縄で生まれた初めての日本酒「黎明」はしっかりとした蒸留酒感があり、コクのある辛口仕立てとなっています。 | 黎明 |
以上、いかがでしたでしょうか。こうみるとその土地ならではの特徴が日本酒の味にも現れるような気がしますね。ただし基本的にお酒の味は蔵元によって様々。あくまで目安の1つとしてお考えください。
※修正のご連絡
2014年11月8日:下記を修正致しました。ご迷惑お掛けしたこと、深くお詫び申し上げます。
華吹雪などの酵母を使った香り高いスッキリとした味わいの日本酒が特徴です。
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華吹雪などの酒米を使った香り高いスッキリとした味わいの日本酒が特徴です。