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アイラモルトファン、スコッチモルトファン、そして、お酒にめらめらとロマンを感じているみなさん、ニュースです!
アイラ島では124年ぶりとなる蒸留所「キルホーマン(Kilchoman)」が操業を開始してから10年。来秋、この島に9つ目となる新しい蒸留所「ガートブレック(Gartbreck)」がオープンします。
フランス人が設立?
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アイラ島に9つ目の蒸留所をひらくのは、なんとフランス人。1997年、フランスのブルターニュ地方に「グラン・アー・モウ(GLANN AR MOR)」蒸留所を設立したジャン・ドネイ氏です。
もともとただのウィスキー好きの会社員だったドネイ氏。あんまりにもウィスキーを愛してしまったために、脱サラして蒸留所を創設。
フランスのウィスキー事情
ここで、フランスのウィスキー事情について触れておきましょう。
おフランスのお酒といえば、ワイン&ブランデー。優雅で奥深い味わいは、世界を虜にしています。そして近年、かの地で生産されるウィスキーが注目を浴び始めています。
もともとブランデーの生産が主だったフランス、その設備をウィスキー造りに流用することなんて造作もないこと。しかもウィスキーの熟成にワインの古樽なんかを贅沢に使用できるのですから、ウィスキー・ラバーの興味を惹くのは必然です。
グラン・アー・モウ蒸留所とジャン・ドネイ氏
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お話は戻って、グラン・アー・モウ蒸留所とジャン・ドネイ氏。
グラン・アー・モウ蒸留所が建てられたブルターニュ地方は、古くはケルト民族が設立した独立国家ブルターニュ公国であり、今でもケルト文化の残り香が香る土地。フランス産ウィスキーの歴史が始まった土地でもあるのです。
1997年にこの土地に蒸留所を建設したドネイ氏は、自家栽培の大麦と鉄分をはじめとするミネラル分豊富な仕込み水を原料に、こだわりの直火焚きポットスティル(アルコールを蒸留するための蒸留器)と海岸沿いの好立地をいかして、伝統的なケルティック・ウィスキーを模索します。
そうして生まれたのが、蒸留所の名を冠した「グラン・アー・モウ」と、ピーティッドタイプの「コルノグ」。
コルノグを試してみた
アイラ島でのウィスキー造りに並々ならぬ情熱を燃やすドネイ氏、フランス的アイラモルト解釈ってどんなものなのか、興味津々で「コルノグ」を試してみました。
「コルノグ」に使われているモルトは、アイラ島から取り寄せたもの。ピート香の強さはラガヴーリンやカリラと同じくらいで、骨太なアイラモルトが好きな人にとってはなかなかのパンチ力。
口に含むと、ほのかなピート香とりんごの香りがぽわっと喉元に広がります。ふわわんと余韻に浸っていると、ラ・フランスのような甘みがこぷこぷと舌の真ん中くらいに広がって、幸せ~♡
最後にリンパの辺りにじわっと残るピートの苦味が、アイラの赤茶けた土を思わせます。この果肉感たっぷりの味わい、アイラ島でどう表現されるのか、期待大です。
最後にひとこと
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アイラ島って、一度訪れるとずっとここに住みたいなあ、という気持ちになるのです。実際に旅行で来たままこの地に住み着いちゃった、なんていうスペイン人のおじちゃんだっていました。
だから、ドネイ氏がこの島でウィスキー造りをしたいという気持ちは、とてもとてもよく分かります。
それにしても、好きが高じて会社員からディスティラー(ウィスキーのメーカーのこと)に転身を遂げるとは。人生って、いくつになってもそういう情熱を持ち続けていたいですね。
ガートブレックの蒸留器からファースト・ニューポット(樽詰めして熟成される前のウイスキー)が溢れる瞬間が楽しみです。