金融・証券や老舗の企業、IT関連企業もひしめく茅場町。
すなわち一線で活躍するビジネスパーソンの町であります。
そんなところに、立ち飲み屋。
あって当然、立ち飲み屋。
どうでしょう。この佇まい。
駐車場に赤ちょうちん。
なぜか懐かしい、この光景。
空間の活用具合に「下町の歴史」を感じてしまいます。
そんな下町情緒に誘われて、駐車場奥の扉をガラガラと開け、ひょいっと店内に入った私。
夕方6時前の店内は既に7割の入りといったところでしょうか。もちろん、全員オジサン。この時刻にサッと仕事を切り上げて、立ち飲みを楽しんでおられる。ある意味で百戦錬磨のビジネスマンと言っても過言ではないでしょう。
そんなハードボイルドな雰囲気の中、おずおずとカウンターのお姐さんのところに向かった私。
「エート、初めてなんですが・・・」
「何飲む?」とこれまたハードボイルドなお姐さんが答えてくれます。
「(入口の生ビールサーバーが気になるな・・・・)えっと、生ですね」
「生だったら千円使えるよ」
なるほどなるほど。グラスはこれね。あ。千円札ないや。・・・調子狂うなあ。
「すみません、両替お願いします」
「五千円じゃあ仕方ないね」
お姐さんのドライな客あしらいからは、アウェー感は全く感じられません。むしろ居心地がいいかも。
ジョッキをセットし、お金を入れると始まる全自動ビールサーバー。三段階でジョッキが傾いて注いでくれます。こりゃ楽しい。
さてさて。おつまみは、と。
マカロニサラダには無条件に手が伸びます。
「えっと、これは何ですか?」
「豚タン」
「じゃ、それ頂きます」
マカロニサラダ。このグミャムニャとした頼りない感じがいいんだよね。
豚タン。口に含むとコリッとした存在感。噛みしめてみると「ザクッ」というか「シャクッ」というか、意外な歯ごたえです。味はやや甘みが強いか。焼酎向きとみた。
ということで二杯目は焼酎で決定。
まずはホッピーを確保。それからジョッキを一つ頂いて、壁に並んでいる焼酎の自動販売機に向かいます。
指示通り穴に100円玉を投入すると、ショボショボと焼酎が。
・・・うーむ。
イメージ通りといえばイメージ通りだけど・・・
即物的というか、いじましいというか、何もそこまで、というか・・・
でも、楽しいから許す。
コインを入れるとお酒が出てくる。これが手酌の何倍も楽しいんです。
100円分の寶焼酎をホッピーで割ってグビグビと。あ。さすがに薄かったかな・・・。
豚タンしょりしょり、マカロニサラダちびちび、ホッピーグビグビ。
さて。次の肴をどうしようか。
やはり焼き鳥行っとくか。
って生じゃありませんか。
そう。このニューカヤバにはセルフの焼き台があるのです。
串に差した肉を、炭火で焼く。
テンションの上がらないオジサンがいるでしょうか。
よーし。オトウサンいくらでも焼いちゃうぞ!と思わず盛り上がっちゃうのではないでしょうか。
ところがこの焼き台。センターを張れる実力があるはずなのに、ホールの片隅にひっそりと備えてあるんです。その様子は申し訳なさそうにすら映るのです。
それから「焼き鳥はお一人4本程度までとして下さい」旨の張り紙もありまして。
「まあ、落ち着け」。ということでしょうな。
そうだよな。あんまりテンション上げても、アブナイかもな。何より火を使ってるうわけだし。
テンションとアルコールで指が震えて、炭に肉突っ込んじゃうとかさ。
気を付けないとな。と、機先を制せられたオジサンは、適度にテンションを下げながら焼き台に串を並べたのでありました。
テンションが普通でも、串に差した肉を焼くのはとても楽しいのです。
ジュージューと鳥の焼ける音と脂の焼ける白い煙。
ホッピーの"中"お代わり。今度は200円分です。
ホッピーをチビチビ飲みつつ、焼き鳥の面倒を見つつ、おつまみを突きつつ。
ここで「おっ!」と思わずと声が出ました。マカロニサラダの下から、何とポテサラが出現。
ポテサラ・アンダー・ザ・マカロニ。ささやかだけど、確固たる幸せ。
そうこうしているうちに焼き鳥の完成。結構時間が掛かるもんですね。
年季の入ったタレにセルフで串を刺す快感。そして素晴らしい焼け具合。
次の一杯はどうしようかな。とお酒の自販機を眺めていると・・・
お。「採酒中」とな。
そんな言葉ないだろう。
と理性は一瞬抵抗したものの。
そろそろ酩酊しつつある頭では・・・。「採酒」か。いい言葉だよね。
「趣味は採酒です」とかね。健全かつアカデミックな感じがするじゃありませんか。
ま、趣味で採酒してるとか、100%ダメ人間なんですけどね。
さて、日本酒と焼き鳥を美味しく頂いた後のチョイスがこちら。
ホッピーと冷やっこ。
はい。失敗。
どっちも大好物なのに。
冷やっこに合わせるべきはやはりお燗や焼酎お湯割り系。百歩譲って常温で。
ホッピーに合わせたいのはホルモン、肉系。
冷やっことホッピーは、ちょっとムズカシイでしょう。
四方八方から異論が上がってもおかしくはない組み合わせです。
まあ、酔っ払っていたのでしょう。仕方ありません。
独りで飲んでるから、誰にも突っ込まれないしな。
当時、既に酔っていたということもあり、特に「失敗したな」などと思うことはなく、粛々と豆腐をつつき、ホッピーを頂きました。
茅場町のニューカヤバ。ハードボイルドな大人の遊技場。こんな店があるから面白いんだよね。などと思いながら、千鳥足で帰宅したのでした。
店舗概要
店舗名 | ニューカヤバ |
---|---|
営業時間 | PM17:00~PM21:00 |
定休日 | 土曜・日曜・祝日 |
住所 | 東京都中央区日本橋茅場町2-17-11 |
URL | http://tabelog.com/tokyo/A1302/A130203/13019482/ |