お酒の原料となっている「糖蜜」という成分を耳にしたことがありますか?
糖蜜はラム酒や甲類焼酎の原料になっているものですが、それだけでなくジンや日本酒においても重要な役割を担っているのです。
「糖蜜」って何?
糖蜜とは
糖蜜とは砂糖を精製する過程で生じる副産物的な存在、いわばサトウキビの搾りかすです。
別名で「廃糖蜜」「モラセス」とも呼ばれており、ドロっとした黒っぽい液体です。ちなみに黒砂糖を煮詰めてできる「黒蜜」とは別物。
搾り"かす"や"廃"糖蜜などの言葉から悪い印象を受けるかもしれませんが、糖蜜には糖分やミネラル分などの成分が残っています。
特にサトウキビ由来の糖蜜には、糖分が40~60%前後も残っているんだとか。
この糖分がそのまま活用され甘味料として使われたり、旨み調味料やパン作り用のイースト菌、アルコールの製造(醸造)などにも使われたりしています。またベーグルを作る際に糖蜜を使うと照りがでるため、重宝されるようです。
糖蜜と酒造りの関係
では、糖蜜と酒造りには一体どのような関係があるのでしょうか?糖蜜と酒造りの関係は、実は科学的な理由から来ているんです。
スピリッツや焼酎、日本酒、ビールなど、多くのお酒は穀物を原料にしています。お酒を造るには「糖」を発酵させて「アルコール」に変えなくてはならないのですが、穀物には肝心の「糖」があまり含まれていません。そのため穀物からお酒を作る際には、穀物中に存在する「デンプン」をいったん「糖」に変える必要があります。これを「糖化」といいます。
しかし穀物と違い、糖蜜を原料としてお酒を作る際には糖化が必要ありません。糖蜜にはそれ自体に糖が含まれているため、この過程を省いてアルコールを発生させることができるわけです。
さらに糖蜜は砂糖を生成する際の副産物なので、日本酒の原料となる米などと比べると値段が安いのも特徴。
他のお酒の原料より安く、糖がもともと含まれているため楽にアルコールが作れる、便利でありがたい原料が糖蜜なのです。
糖蜜から作る「ラム酒」と「甲類焼酎」の違いは?
この糖蜜を原料としたお酒で有名なのが、「ラム酒」や「甲類焼酎」。どちらも糖蜜を原料にしており、蒸留を行って作られるという点は同じです。
ではこの2つの違いは何なのでしょう?違いは2つあります。
アルコール度数
「ラム酒」と「甲類焼酎」の違いはアルコール度数にあります。
ラムは基本的にアルコール度数が40度以上ですが、甲類焼酎は40度以下。これは酒税法上の都合で、甲類焼酎は36度以上にならないよう調整されているためです。なので一般的に売られている甲類焼酎は、20度だったり25度だったりすることが多いです。
熟成
度数の違い以外に、ラムは樽で熟成させるという特徴があります。この樽の違いや熟成させる期間の違いなどで、様々な色や香りを持ったラムが作られます。
例えば、ホワイトラムと言われる透明なラムは、短期間の熟成とろ過によって透明な色合いができます。
おすすめのラム酒
バカルディ
お手頃価格で、ラムの風味を存分に楽しめると人気のラムが「バカルディ ラム」。ゴールドとホワイト、どちらも人気が高いラムです。
オーク樽で約3年、じっくりと熟成したバカルディラム原酒をブレンドしたゴールドラムは、豊かな風味とまろやかな味わいが人気。
一方ホワイトの「バカルディ スペリオール」は、最高のカクテルを作るために開発された、世界No.1と名高いプレミアムなホワイトラム。
微かな香るバニラやアプリコットのアロマ、スムースな口当たり、ドライなテイストが特徴のライトボディの一品。あらゆるカクテルのベースとして活躍する、世界中のバーテンダー御用達の商品です。
両方ともスーパーなどでの取り扱いも多いので、入門編としてかなり利用しやすいですよ!
ロンサカパ
「ロン・サカパ 」は、世界で最も美味しいとも評されるプレミアムなダークラム。
アロマとスムースな口当たり、唯一無二の甘さとバランスの良い味わいが特徴。6~23年熟成したラムをブレンドすることで実現した、上品で複雑な香味を楽しめる一品です。
海抜229mに位置するグアテマラ東部の街"サカパ"。そんな雲の上の街で熟成した優雅な味わいは、ラム愛好家にもファンが多いことで知られています。
おすすめの甲類焼酎
金宮焼酎
宮崎本店の甲類焼酎「金宮焼酎」。
"キンミヤ"の愛称で親しまれている宮崎本店の定番商品になっています。高いアルコール度数を感じさせない、ソフトでまろやかな口当たり。クセがなくスッキリとした中にも、ほんのり甘味を感じさせる仕上がりが特徴です。
サワーのベースする他、ホッピーに使用する焼酎としても相性が良いため自宅に一本あると、非常に便利ですよ!
極上 宝焼酎
「極上 宝焼酎」は、宝酒造の甲類焼酎。
大麦・トウモロコシの樽貯蔵熟成酒を3%使用。それにより生まれた、まろやかな口当たりと芳醇な風味が特徴です。
ロックや水割りで飲むとまろやかさが際立ち、ベースとして使用すると、割材の良さを活かしながらも、焼酎の味わいをきちんと主張する、存在感がある一本に仕上がっています。
糖蜜は汎用的なお酒の原料
糖蜜のお酒といえばラム酒と甲類焼酎が代表的ですが、実は気づかないうちに糖蜜由来のお酒を飲んでいることが多いのです。
糖蜜由来のお酒にはどのようなものがあるのでしょうか?
ジンやリキュールなどにも使われている
例えばジンは、ベースとなるスピリッツにボタニカルで風味付けされたお酒ですが、そのベースになるのがニュートラルスピリッツです。糖蜜以外を使用しているジンもありますが、一般的にはジンのベースとなるニュートラルスピリッツは糖蜜由来であることが多いようです。
また、果実やハーブのエキスなどで風味付けされたリキュールにも、ニュートラルスピリッツが使われています。
さらにスーパーなどで梅酒や果実酒づくりの材料として売られている「ホワイトリカー」もニュートラルスピリッツ。
様々なお酒に使われているんですね!
日本酒にも使われている
また日本酒づくりにおいて、香りをたたせたり味わいを軽快にしたりするために「醸造アルコール」が加えられることがあります。
純米酒以外の日本酒に添加されています。
醸造アルコールとは食用に用いられるアルコール分のことで、主に糖蜜を醗酵させてできたアルコールが使われます。
日本酒の吟醸香という香り成分は、水よりもアルコールに良く溶ける性質を持っています。そこで、日本酒の香りをよく感じさせるために醸造アルコールを添加するのです。
このように、焼酎やラムを普段飲まない人も、知らず知らずのうちに糖蜜由来のお酒を飲んでいるのですね。
まとめ
今までの説明を読んで、糖蜜を「安いお酒をつくる原料」と思った方もいるかもしれません。たしかに原料として安価でアルコールの製造も楽なため、そのような印象を受けるでしょう。
しかし、ラムなどそのままで美味しいお酒の原料となっていることはもちろん、他のお酒のベースになっていたり、日本酒の香りを調整するために使用したりなど、クセがない純度の高いお酒として糖蜜の役割はとても重要なのです。