多くの人を虜にする「ウイスキー」。
ロックやストレート、ハイボールなどさまざまな飲み方で楽しめるのも一つの魅力ですよね。
実は、ウイスキーって産地によって味に傾向があるんです!
生産地の中でも特にスコットランドは、ウイスキーの名産地として知られています。
そこで今回は、スコットランドの中で最も代表的な「スペイサイド」のウイスキーについて徹底解説します!
ウイスキーで有名なスコットランドの6大生産地
スペイサイドとは、ウイスキーの生産で有名なスコットランドにおける6大生産地の1つです。
スコットランドはグレートブリテン及び北アイルランド連合王国の一つ。国土は日本よりも狭いながら、とても自然が多いのも特徴的な国です。
まずは、スペイサイド以外にどのような生産地があるのかを解説していきます。
ハイランド
スコットランド北部を指すハイランド。1000メートルを超す山々に囲まれた高地としても知られています。
1700年代のスコットランド併合の際に、ウイスキーに対して高い課税がなされた際に目につきにくいこの地区に多くの業者が集まり、ウイスキーづくりが特に盛んになったと言われています。
この地域には「~グレン」という銘柄のウイスキーが多いのですが、それはゲール語で「谷」を意味するグレンが語源。谷間に多くの蒸留所が集まったため、この名前が多くなったと言われています。
ハイランドの中でも東西南北によってウイスキーの特徴が異なっていることも、広大な土地であることを物語っています。
ローランド
スコットランド南東部を指すローランド。ハイランドとは異なり、穏やかな平地にあり豊かな自然に囲まれています。グラスゴーやエディンバラといった、スコットランドの主要都市があり、人口も多いエリアです。
グレーンウイスキーの発祥としても知られており、軽やかな口当たりの比較的ライトな酒質であることが最大の特徴。
繊細な味わいのローランド・モルトは、ウイスキー愛好家の中にもファンがたくさんいるほどです。
キャンベルタウン
人口わずか5000人ほどという、小さな港町キャンベルタウン。スコットランド西部のキンタイア半島の先端に位置します。
古くは、港町として栄えており小さな町ながら30以上の蒸留所があったウイスキーの一大生産地でしたが、現在は3つしか稼働していません。しかしながら、塩気と甘味が繊細に絡み合う非常に強い個性を持っているため、多くのファンを抱えているのも事実。「キャンベルタウンでしか造れないウイスキーがある」と言われているほどなのです。
アイラ
ヘブリディーズ諸島の最南端にあるアイラ島。「アイラ」とは、この島一帯のことを指します。人口3000人ほどの島ですが、世界のウイスキーラバー達が「死ぬまでに一度は行ってみたい」と言うほど、ウイスキーの聖地として知られているのです。
アイラ系ウイスキー最大の特徴は、そのスモーキーな香り。ピート香と呼ばれる、正露丸や薬品などに例えられることも多いく癖のある味わいがウイスキー好きの心を掴んで離さないのです。
アイランド
アイランド(アイランズ)は、スコットランド内の6つの島々を総称する形で命名された言葉です。島はルイス島、スカイ島、マル島、オークニー諸島、アラン島、ジュラ島の6つ。
海に囲まれた島で造られるウイスキーは、キャンベルタウンのように塩味が特徴だと考えるかも知れませんが、各島ごとに個性があるため全体的な特徴を語るのはとても難しいのです。
有名ウイスキーが多数製造されている!スペイサイドの特徴
続いては、今回の記事のテーマであるスペイサイドについて詳しく紹介していきます。「マッカラン」や「グレンリベット」など多くの有名な銘柄を展開している蒸留所があります。
多数の蒸留所があるスペイサイド
「スペイサイド」は、スコットランドの代表的なウイスキー蒸留所が集まる地域。スコットランド北部のハイランド地方にある小さな街で、スペイ川が流れるのどかな街です。スペイ川の流域を指すことからスペイサイドという名前が付けられています。
エリアとしては決して大きくはありませんが、有名銘柄を造る蒸留所も数多くあり54か所もの蒸留所があるとされているのです。
スペイサイドに蒸留所が集まるワケ
スペイサイドでは多くのウイスキーが製造されていますが、そもそもなぜスペイサイドにはこれだけのウイスキー蒸留所があるのでしょうか?
その秘密は、かつてのスコッチウイスキーが密造されていたという事実に突き当たります。
1700年代にイングランド王国とスコットランド王国が統合しましたが、財政難に苦しんでいたイングランドはスコッチウイスキーに目をつけ、なんと15倍もの大増税を決行。
それに反発したスコットランド生産者は、比較的政府の目が届きにくい、スコットランド北部のハイランド地方で密造をはじめました。
ハイランド地方は政府から見つかりにくいだけでなく、きれいな水が湧いていたこともウイスキー作りにとって有利でした。
さらに密造酒を隠すため、木樽に入れてお酒を保管したことで、現在のウイスキーの色や製造方法が確立されます。
それまでのウイスキーは無色透明が当たり前でしたが、木樽に入れたことによって今のウイスキー同様に琥珀色のカラーリングに変化することを発見したのです。
こんな偶然が重なって、スペイサイドモルトウイスキーは瞬く間に評判となり、やがて表立ってウイスキーの生産をはじめたのです。
スペイサイドのウイスキーの味は?
スペイサイドモルトウイスキーの共通している点は、フルーティーな香りです。一般的にはエステル香とも呼ばれており、青々しい若草のような香りのものが多く華やか。非常にバランスが取れた味わいだと言われています。
香りは味そのものにも現れており、比較的甘めのウイスキーが多いのが特徴。
高級なウイスキーほど癖が強く飲みにくさを感じてしまう方も多いのですが、スペイサイドモルトウイスキーはとても飲みやすいのでウイスキー初心者の方にもおすすめです。
北に行けばよりスモーキーで個性的な味わいに、東に行くと甘さが増す傾向があり、地域によって個性が若干異なる点があります。お気に入りの一本を見つけるのも楽しそうですね。
おすすめの「スペイサイド」ウイスキー紹介
では、スペイサイドモルトウイスキーの中でもおすすめの銘柄を紹介します!
マッカラン
「シングルモルトのロールスロイス」と称されるほど、世界的評価の高いマッカラン。
スペイサイドの中でも最も小さい蒸留器を使って造られるウイスキーは、とても繊細な味わい。また、マッカランの貯蔵・熟成に使用される樽は、自社で管理する森林で栽培した材木を使用しています。
スペイン南部で手作業でシェリー用の樽に加工、シェリー酒を3年間詰め熟成させます。この樽を使うことで、独特の甘い香味が生み出されるのです。
グレンフィディック
世界で最も飲まれていると言われているシングルモルト「グレンフィディック」。“鹿の谷”というネーミング通り、ラベルには特徴的な鹿のマークが大きく記されてあります。
軽やかな口当たりと、はちみつを思わせる甘味、フルーティーな香りは非常に評価が高く、クセが少ないためウイスキー初心者にもオススメの1本です。
ザ・バルヴェニー
まるではちみつを連想させるような甘い香りが特徴です。
また、スペイサイドモルトウイスキーの特徴である、琥珀色のカラーリングをイメージしたラベルも秀逸。
1892年に世界一の販売量を誇るグレンフィディックの第2蒸留所として誕生した経緯があります。
他にも、バーボンなどの生産も行っており、世界的なお酒のブランドです。
クラガンモア
クラガンモアは、スモーキーさが際立っている大人のウイスキー。
スモーキーさの中にフルーティーさも混在していて、柑橘系の香りが感じられます。
ドライで重厚感のある、とても飲みごたえのある銘柄です。
アベラワー
アベラワーはスペイサイドモルトウイスキーの中でも、最もバランスが取れていると言っても過言ではないウイスキーです。
非常に優しいテイストを味わうために、ストレートでいただくのが◎。
まとめ
今回はスコットランドで多くの蒸留所が集まる、スペイサイドのウイスキーについて紹介しました。
スペイサイドのウイスキーは、初心者でも飲みやすくフルーティな香りが特徴です。
ぜひ一度、そのクオリティの高さを自分の舌で味わってみてはいかがでしょうか!