世界中で親しまれている蒸留酒「ブランデー」。バブル期の名残なのか、日本では「おじさんが飲むお酒」のイメージが強いかもしれませんが、海外ではおしゃれな高級酒として認知されています。
ただ、一言でブランデーと言っても原料や製法、生産地によって様々な種類があります。今回はバーテンダーの私が、ブランデーの美味しい飲み方や解説をしつつ、5000円前後と比較的安値で買えるブランデーの中からおすすめの商品をランキング形式で10本ご紹介します。
ブランデーとは?
ブランデーは一般的に「ぶどうを原料にした蒸留酒」を指すことが多いですが、実は定義上は「フルーツ全般を原料にして造られる蒸留酒」の総称。そのため、ぶどうの他にもりんご、西洋梨、さくらんぼ、プラムなど、様々なフルーツで造られています。
生産地や原料によって名称が変わるため、ブランデーと一言で言っても、以下のように数多くの種類があるのです。
地域や原材料によって呼び名が違う!代表的なブランデーの種類
・コニャック フランスのコニャック地方で造られるブランデー。
・ アルマニャック フランスのアルマニャック地方で造られるブランデー。
・フィーヌ : フランス産。AOCの基準を満たさなかったワインを蒸留して造ったブランデー。
・ピスコ ペルー発祥。チリでも生産されている。原料はぶどうの搾りかす。
・ マール : フランス産。原料はぶどうの搾りかす。
・グラッパ : イタリア産。原料はぶどうの搾りかす。樽熟成をしない、無色透明。
・ オルーホ : スペイン産。樽熟成したものは奥行きのある、コクのある仕上がりに。
ブランデーで有名な国
ブランデーはウィスキーやワインと比べると意外にも歴史は浅く、製造が開始されたのは13世紀頃からだと言われています。有名になったきっかけは諸説ありますが、品質が劣化してしまったワインを蒸留してアルコール度数を上げたらたまたま美味しいのができた、という逸話が最も有名。
そこでワインを蒸留することを「焼いたワイン」(ブランデヴァイン)と呼び、そこからブランデーという名前で広く流通されるようになったのだとか。
現在では世界中で造られていますが、その中でも最も有名な銘醸地は、フランスのコニャックとアルマニャック。この2つの地域は、原産地統制呼称制度(AOC法)に守られているため、必然とネームバリューがあがります。
その土地で決められたぶどうと蒸留をしなくては名乗られない、世界に誇るブランドブランデーが「コニャック」と「アルマニャック」なのです。
他にはグラッパを造るイタリアや、コーカサス地方にあるアルメニアも、古くからブランデーの生産が盛んな地域として知られています。
ブランデーの楽しみ方
王道はストレートorトゥワイスアップ!
ブランデーの香りと味わいを最大限に楽しむには、やはり常温のストレートでいただくのが大定番。しかし、ストレートは度数が高いので、アルコールに強くない人はブランデーと同量の水を加える「トゥワイスアップ」という飲み方もオススメです。加水することによって、本来のぶどうの甘みや、樽由来の渋みを感じやすくなります。
また、ブランデーを飲む際に使用するグラスですが、長期熟成のブランデーは大きめのバルーン型グラスを、樽熟成をしていないブランデーはグラッパグラスのような細長いグラスを使うのが一般的です。
水割り、炭酸割りでも◎
もちろんお酒はあくまでも「自分にとって美味しいと思う飲み方」を追求するのが一番。水割りや炭酸で割る飲み方でも全然OK!
その際はカットレモンを落としてみたり、オレンジピールを飾るだけで、爽やかなアロマが加わり、おいしさが倍増しますよ。
カクテルやアレンジにも!ブランデーの面白い飲み方
代表的なブランデーベースカクテル サイドカー
サイドカーは、ブランデーカクテルの中で最もポピュラーな1杯。
ブランデー30ml、コアントロー15ml、レモンジュース15mlをシェイカーでシェイクして、カクテルグラスに注げば完成。ショートカクテルとして、バーでも大人気です!
このベースとなるブランデーをジンに変えるとホワイトレディ、ウォッカだとバラライカ、ラムだとXYZというカクテルになります。
変わった飲み方
・エスプレッソにグラッパ!?
グラッパという無色透明のぶどうのかすから作るブランデーを、熱々のエスプレッソに入れて飲むスタイル。イタリアでは食後にこのようにして飲まれる方が多いです。なんともイタリアらしい、ダンディーで粋な飲み方ですよね。
・南米、ペルーで人気の「ピスコサワー」
ピスコというぶどうの絞りかすから造られるペルーの代表的なブランデーを使ったカクテル「ピスコサワー」。
ピスコ40ml、ライム果汁25ml、卵白1個分、砂糖適量をシェイカーでシェイクして、氷を入れたロックグラスに入れます。仕上げにシナモンパウダーを振りかければ完成。
卵白の柔らかな飲み口と、ピスコとライムのアロマがふわっと香る、最高に美味しい1杯です。ちょっとコアなカクテルですが、これがまた絶品!ぜひお試しあれ。
ブランデーの選び方
コニャックとアルマニャック、その他の国で生産されているブランデー、それぞれに熟成度合いによってエチケットに表記してある等級が変わります。
以下の等級は、下に行くほど熟成年数が長くなり、価格も高価になる傾向があります。
・スリースター
・V.S.(Very Special)
・V.O.(Very Old)
・V.S.O.P.(Very Superior Old Pale)
・ナポレオン
・X.O.(Extra Old)
・Hors d'âge(オール ダージュ)
ナポレオンやX.O.など、熟成年数の長いブランデーはふくよかで大変美味しい仕上がりになっています。しかしながら、カクテルを作ったり自宅で気軽に楽しみたいという方は、スリースターやV.S.O.P.までのレベルで十分。
今回のランキングは、ほとんどが5000円以下で手に入れられるお手軽なブランデーをピックアップしました。
ブランデーTOP10ランキング
10位:サントリー V.S.O.P
まずは、サントリーがリリースする高品質なブランデーが「サントリー V.S.O.P」をご紹介。華やかで果実味のあるまろやかな味わい。ソーダ割りやトニックウォーターで割っても香りが引き立って美味しいです。
その際はカットレモンを忘れずに。価格もリーズナブルなのがうれしいですね。
9位:十勝ブランデー スプレンダーXO
お次も国産ブランデー。北海道の池田町ブドウ・ブドウ酒研究所が造るXO(Exstra Old)「十勝ブランデー スプレンダーXO」です。
15年以上熟成させた原酒を使っていて、その芳醇な香りは唯一無二。これはぜひ、ストレートかトゥワイスアップで楽しんでいただきたい1本です。
8位:クリスチャン ドルーアン クール ド リヨン VSOP
「クリスチャン ドルーアン クール ド リヨン VSOP」 は、フランスのペイ・ドージュ地区にあるゴヌヴィーユ・シュール・オンフルール村のクリスチャン・ドルーアンが1979年に発売した優良銘柄。
8年以上の熟成期間を経てリリースされるので、その味わいは非常にまろやか。ストレートでちびちびといただきたい一本です。
7位:カミュ ナポレオン
大手のコニャックメーカーである「カミュ」。家族経営で今や5世代目となっていますが、「葡萄作りから、口に入れるまで」をモットーに、高品質なコニャックを作り続けています。
こちらの「カミュ ナポレオン」は、何かで割ってしまってはもったいないほど芳醇な香りを持つ、ハイクオリティな1本。ビターチョコレートをかじりながら、ゆっくりとストレートでいただきたいですね。
6位:レミーマルタン VSOP
続いても有名銘柄「レミーマルタン VSOP」をご紹介。レミーマルタン独特のコクのある味わいは、ぶどうのかすを濾過せずに蒸留する「リーズ蒸留法」を用いているため。これによりアミノ酸を多く含ませることができるので、レミーマルタンならではのコクと味わいが表現されています。
この味わいでアンダー5000円というのも珍しい。リッチな夜に、楽しみたいコニャックです。
5位:カルヴァドス・ポム・ド・イブ
お次は、フルーツブランデーをご紹介!こちらの「カルヴァドス・ポム・ド・イブ」には、りんごが瓶の中にまるごと一個入っています。これは、りんごの実がまだ小さい時に瓶をかぶせて、瓶の中でりんごを育てるというユニークな製法で造られているからこそでいる技なのだそう。
りんごの爽やかなアロマがふんわりと香り、エレガントな飲み口。こちらもストレートで味わうのがおすすめ。
4位:ブラー カルヴァドス グランソラージュ
こちらもりんごを使ったフルーツブランデー「ブラー カルヴァドス グランソラージュ」。
価格もリーズナブルで、味も美味しい。このカルヴァドスをベースに、グレナデンシロップとレモンジュースをシェイクしたショートカクテル「ジャックローズ」は絶品です!筆者が一番好きなカクテルですので、ご家庭で材料を揃えてぜひ試してみてください。
3位:ヘネシー V.S スリースター
ブランデーといえば「ヘネシー」を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。それもそのはず、このブランドは世界中で最も愛飲されているコニャックなのです。こちらで紹介する「ヘネシー V.S スリースター」は、滑らかな味わいとエレガントな口当たりが特徴。
筆者がバーテンダーの時、ブランデーベースのカクテルはこのヘネシーで作っていました。ロックやハイボールでも◎。
2位:ニッカブランデーX・O 白
2位は国産の「ニッカブランデーX・O 白」がランクイン。りんごブランデーの原酒を使用しているため、りんごならではの華やかなアロマと上品な舌触りが楽しめます。
クラッシュアイスで楽しむ「ミストスタイル」は、夏の食後酒として非常にオススメです。
1位:ヘネシー VSOP プリヴィレッジ
1位に選出したのはこちら。「ヘネシー VSOP プリヴィレッジ」です。
世界中のブランデーファンが魅了されるヘネシー。実はこちら終売になっており、今後価格が高騰される見込みありです。名だたる原酒を60種類以上ブレンドした余韻の長い芳醇な香りを持ったコニャックに仕上がっています。完売の前に是非お試しください。
ストレートでもカクテルでも!ブランデーを思う存分楽しんで!
ブランデーは味わいのコクと香りを楽しむためにも、まずはストレートでゆっくり味わいたいものです。その後、自分の好きなスタイルを見つけて楽しんでみてください。
リンゴでつくるカルヴァドスや、さくらんぼを原料にしたフルーツブランデーなど、ブランデーにも様々な種類のものがあるので、自分にあった一本を探してみましょう!