近年、世界的にも人気を博している日本酒。國酒である日本酒は日本の歴史とともに紡がれてきた、日本人の誇りですよね。
様々な式典で日本酒は使用されていますが、今回はその中から日本酒の「鏡開き」について説明していきたいと思います。
「えっ!?鏡開きってお正月にお餅でやるあれじゃないの?」そう思った方はぜひこの記事を読んでみてくださいね!
そもそも日本酒の「鏡開き」って何?
正月には「鏡餅」を供え、餅を食べますよね。「鏡餅」を一年の健康と発展を祈願して食べることを「鏡開き」と言います。皆さんは餅を食べるとき、ちゃんと祈願しながら食べていましたか?
なぜ「餅」なのか?それは、元々餅は神様に捧げる神聖な食べ物であったということ、そして餅の長く切れにくいという性質が縁起が良いということに由来します。
では、日本酒の鏡開きとはどのようなものなのでしょうか?
鏡開きとは?
実際に見たことはなくとも、祝いの席で日本酒の入った樽の蓋を小槌でポンっと叩く映像を、TVで見たことがあるという人は多いのでは?
餅と同様、今ではあまり意識することがないと思いますが、日本酒は元々神聖なもの。日本酒は古くから神事を営むときに神酒として供えられ、祈願が済むと参列者でお酒を飲んで祈願の成就を願う習わしがあります。
この、酒樽の蓋を開く神事、小槌でポンっと叩くことを「鏡開き」といいます。
簡単にまとめると、餅であろうが日本酒であろうが、おめでたい場で供えたものを祈願しながらいただくことが「鏡開き」というわけ。
あれ?しかし変ですね。今の説明だと「鏡」の要素も「開き」の要素も見当たりません...。
ということで次は、「鏡開き」の名前の由来について説明していきます!
名前の由来
明確な答えではないのですが、あくまで説の一つとして、樽の丸くて平らな蓋を「鏡」と呼んでいたという説が有力です。
この鏡を割って蓋を開けるわけですが、「割る」という忌語を避けて「開く」という言い回しにしたのが「鏡開き」。「開く」には「運を開く」といった意味合いも込められているので縁起が良いのですね。
鏡は昔から神聖なものとされています。三種の神器として神社では鏡が置かれているところもあり、神事には欠かせないもの。そのため蓋のことをあえて「鏡」と呼んでいたとしても不思議ではありませんよね!
鏡開きの樽について
次は樽について説明していきましょう。
我々にとっては、実際に飲む酒の味わいに関して重要な役割を果たすところなので、こっちの方が大切かもしれません(笑)
というのも樽酒からは、普段飲んでいる日本酒からは感じられないような、木の良い香りを感じられるからです。
木樽を使うと酒の味わいが変わる
樽に使用するのは、一般的に杉や檜といった材木。この樽の中に日本酒を詰めて数日間待ちます。
すると日本酒に木の良い香りが移り、酒の持つ香りと絶妙に混ざり合い、瓶詰めの日本酒からは感じられないような独特の風味を持つ酒に仕上がるのです。
また、「鏡開き」に使用する樽酒は見た目にもこだわります。
菰冠(こもかぶり)と呼ぶ、装飾用の菰(こも)を巻いた樽を使用。実際にTVに映る樽は、美しく装飾されていますよね!
樽の大きさ
樽酒には基本的に4斗(72リットル)、2斗(36リットル)、1斗(18リットル)の樽のどれかが使用されます。だいたい100名につき1斗が目安。
100名分の日本酒が樽に入っている光景なんて、普段なかなか見れませんよね。神事にふさわしいインパクトも樽酒の魅力です!
「鏡開き」の流れ
実は「鏡開き」は本格的にやるとすごく大変。
そりゃそうですよね。人が片手で振り回せるような小槌で、木でできた蓋を叩き割るのですから(笑)
由緒正しい神事ならともかく、セレモニーなどでの場ではあまり時間は掛けたくない...。
そうして生み出されたのが簡単な「鏡開き」。やり方は単純。鏡をバールなどの道具を駆使し割り、その後鏡を樽に乗せ、小槌で簡単に壊せるようにセッティングすれば良いのです。
鏡を開くという行為をバールでやる...少し寂しい気持ちにもなりますが、本格的な「鏡開き」は素人がやるには少々手間がかかります。せめて鏡が傷つかないように、最新の注意を払い開けるのが良いでしょう。
ということで、鏡を効率よく開いた後、実際のセレモニーの流れは下記のようになります。
- 司会から鏡開きのアナウンス。
- 「よいしょ、よいしょ、よいしょー!」の掛け声に合わせ、何名かが小槌を使い鏡開きをする。
- 鏡開きした本人、またはスタッフが日本酒を参加者に酌み分ける。
- 乾杯!
その後は飲みたい参加者でどんどんおかわりしましょう。もし余ってしまったら容器に入れ替えて持ち帰るなど、せっかくの樽酒を存分に楽しんでください!
まとめ
「鏡開き」には「運を開く」という意味合いがあり、おめでたい場面にピッタリです。最近では様々な場面で縁起の良い「鏡開き」は行われています。
もしかすると、神事という本来の目的は少し薄れてしまっているかもしれませんが、こうやって現代社会にも馴染み残っている文化というのは素晴らしいですよね。
これからも「鏡開き」という文化は残っていくことでしょう。もし、今後「鏡開き」をするときに、この記事が少しでも役に立てば幸いです。