日本の伝統的な飲み物、『甘酒』。初詣では甘酒屋が並んでいたり、お祭り行事では振舞われることも多く、日本人には馴染みのあるものでしょう。
特に、健康効果に注目されてからは、日常的に甘酒を取り入れる方が増えているようです。
それに伴い、各メーカーからも様々な種類が発売されました。どの甘酒が自分に合っているのか、どれが好みに合うのか、迷っている方も多いのではないでしょうか。
甘酒のこと、選び方について触れていきたいと思います。
甘酒は2種類のタイプがある!
甘酒には大きく分けて「酒粕甘酒」と「米麹甘酒」の2種類あり、製法も味も異なります。
酒粕甘酒
縁日などでよく見かけるのが、この「酒粕甘酒」。酒粕は日本酒の製造工程で出てくるもの。醪を搾った残りが酒粕、つまりお酒の搾りかすということですね。なんと醪の約1/4量が酒粕となってしまうのです。
その分、多くの栄養素が凝縮されており、タンパク質や食物繊維の他に、ビタミン、ミネラル、アミノ酸など成分豊富。この酒粕を水で溶いて作られるのが酒粕甘酒となります。
お酒のかすなので、ほとんどが1%未満ではありますがアルコール成分も残っているので、お酒に弱い方やお子さんに与える場合には気をつけましょう。
米麹甘酒
甘酒ブームの火付け役が、この「米麹甘酒」です。米麹は、蒸米に麹菌を繁殖させたもので、日本酒は勿論のこと味噌や醤油に使用されます。日本の食文化には無くてはならない存在です。
「飲む点滴」と言われる所以はブドウ糖が多く含まれているから。そのため、砂糖を加えなくても自然な甘さの甘酒となります。こちらはアルコール成分が含まれていないため、誰でも飲むことができます。
酒粕甘酒と米麹甘酒どっちがいいの?
酒粕と米麹では栄養成分が違い、それぞれに特徴があります。一概に「こちらがより優れている!」とは言い切れないので、目的によって使い分けるのが良いでしょう。
酒粕甘酒の特徴
酒粕には、レジスタントプロテインとレジスタントスターチという成分が含まれているという研究結果が出ています。レジスタントプロテインは難消化性タンパク質で、脂肪を吸着させて体外に排出する働きをします。レジスタントスターチは、腸内環境を整える役割を果たすことから、腸のバランスを保つには酒粕甘酒が向いているのです。
ただし酒粕甘酒の場合、砂糖を入れないと飲みにくいため、どれくらい含まれているのかは注意が必要。
米麹甘酒の特徴
米麹に含まれるビオチンという成分は、美肌作りに効果を発揮すると言われています。酒粕には含まれていない抗酸化作用のあるビタミンEも含まれ、肌の調子を整える目的なら米麹甘酒。ノンアルコールのため、いつでも誰でも飲めるのが一番のポイントでしょう。
ブドウ糖が多くエネルギーチャージにも最適。そのため糖分も多いということになりますので、摂り過ぎには気をつけなければなりません。
どちらもビタミンBや葉酸、必須アミノ酸全9種類を含んでいて、栄養補給に優秀なのは共通です。
覚えておきたい!甘酒の美味しい飲み方
甘酒といえば、年末年始の屋台を思い浮かべ、冬の飲み物のイメージが強いかもしれませんが、実は俳句では『甘酒』は夏の季語。つまり夏の飲み物だったのです。
江戸時代では夏に疲労回復として飲まれており、栄養豊富でありながらも性質は陰性で、スイカやキュウリなどと同じように身体を冷やす方向に働きます。夏は火照った身体をクールダウンさせるために冷やして、冬や冷え性の人は温めて飲むのが良いでしょう。
“甘酒をのそのまま飲むのは苦手”という方や、“毎日飲んで飽きてしまった”という方は、ちょい足しレシピで飲んでみては如何ですか?
炭酸水をプラス
甘酒に炭酸水を加えるだけ。シュワシュワッとした飲み口で気分爽快。まさに夏にはぴったりです。
ヨーグルトをプラス
ヨーグルトと甘酒を2:1の割合で。ラッシーのような飲み口に変身です。同じ割合で、牛乳や豆乳もおすすめ。口当たりが苦手な方は、滑らかになって飲みやすくなります。
生姜をプラス
ちょっとアクセントに辛みを加えるといいでしょう。生姜は身体を温める効果があるため、冷え性の方は生姜と蜂蜜を加えて温めてどうぞ。
フルーツをプラス
とにかく味が苦手という方は、果物と一緒にミキサーへ、または100%ジュースと混ぜると甘さが加わってクセが無くなります。
お茶をプラス
「もっとスッキリ飲みたい」という方におすすめなのがお茶と割る方法。ほうじ茶、緑茶、またはココアやコーヒーなどともよく合います。
甘酒の選び方
効果を期待するのであれば、腸内を整えるのには酒粕甘酒、肌の調子を気にするのであれば米麹甘酒など、甘酒の選び方は味以外にも様々。温めたり冷やしたり、健康を考えると個人に合ったものは多様です。
こうして健康飲料として注目されてきた甘酒ですが、発酵文化が定着している日本古来の飲み物であり、日本人には無くてはならないもの。
結局、選ぶ時は美味しさが一番なのではないでしょうか。自分が美味しいと感じなければ飲み続けることも出来ません。
以下では、私のおすすめ甘酒を10本ご紹介します。ぜひ、自分好みの1本を見つけてみてくださいね。
夏にもぴったり!人気のおすすめ甘酒ランキング
橘倉酒造「こうじと井戸水だけの手づくりあま酒 」
長野県佐久市の臼田。駅を降りて千曲川を眺めながら歩くと、立派な橘倉酒造が見えてきます。蔵に残っている文献には、1696年に酒屋として営業していた旨が記載されているということで、佐久市内でもっとも古い酒蔵と言えるでしょう。
地下130mから汲み上げている井戸水は、八ヶ岳山系の伏流水。橘倉酒造の仕込み水はすべてこの井戸水でまかなっており、こちらの「こうじと井戸水だけの手づくりあま酒 」も同じ井戸水です。
長野県産のコシヒカリ、またはあきたこまちを73%精米し、丁寧に麹を造ってから仕込まれたあま酒。つぶつぶ感は残っていますが口に含むと優しくホロリと溶け、柔らかい舌触りです。
一ノ蔵「一ノ蔵 あま酒」
米どころとして知られており、良質な地下水が流れる大崎市松山に蔵を構える一ノ蔵。酒蔵としては割と新しく、1973年に浅見商店、勝来酒造、桜井酒造店、松本酒造店の4 蔵元が合同して一ノ蔵を創業しました。当初から酒造りの原点として、自然との共生や地域振興を重要視し、一ノ蔵農社を立ち上げて環境保全米の栽培も積極的に行っています。
その環境保全米を全量使用、60%精米の麹で造った「あま酒」は、素朴でホッと和むような懐かしい味わい。
パッケージのまま冷凍庫へ入れておくと、甘酒シャーベットの出来上がり。シャリシャリとした食感と程よい甘さで真夏におすすめです。
八海醸造「八海山 麹だけでつくったあまさけ」
清酒「八海山」は、日本酒に馴染みのない方でも一度は聞いたことのある銘柄ではないでしょうか。そんな八海山の蔵があるのは新潟県魚沼市。高品質のまま高い供給量をキープして価格を抑える企業方針のおかげで、手に入れやすい価格で美味しく、生活に寄り添う酒として全国に認知されています。
そして日本酒だけでなく、焼酎、ビール、そしてあま酒などの商品展開。発酵食文化を伝える店舗「千年こうじや」の運営をするなど多角的なアプローチをしています。
「千年こうじや」というだけあって、麹の美味しさを十分に味わえるのが「八海山 麹だけでつくったあまさけ」。濃厚な風味とコクを味わえます。
ぶんご銘醸「麹天然仕込 酒蔵のあまざけ」
1910年に大分県佐伯市で創業した「ぶんご銘醸」。2005年に佐伯市、五町、三村が合併し九州で最も広い市町村になりました。佐伯市は大分県の南部に位置し、自然豊か。焼酎のイメージが強い大分県ですが、もともとは清酒造りが盛んでした。
ぶんご銘醸も清酒作りが主でしたが、焼酎ブームが到来してからは主力商品が焼酎に。現在は甘酒も加わり、習慣化してもらうことを目指しているといいます。
「麹天然仕込 酒蔵のあまざけ」は米粒感が残り、食感が良いもの。甘さは控えめで柑橘のような爽やかもあり、麹甘酒初心者にも受け入れ易いでしょう。
三崎屋醸造 「あまざけ」
新潟の栃尾地域に蔵を構える三崎屋醸造。地形を活かした棚田では上質なお米が育ち、そのお米で麹を造り、1950年創業から醸造業を営んできました。
地域に根ざし、住む人々に想いを馳せて様々な発酵食品を造る三崎屋醸造が造る甘酒は、そんな地域の人から「会合でお酒の代わりに飲めるノンアルコールを作って欲しい」という要望で出来上がりました。
1961年に発売された米麹の「あま酒」は、なんと新潟県で初なのです。新潟県産のお米で丁寧に麹を造っており、しっかりと麹の甘みを感じれます。
後味はさらりとしていて、冷やしても温めてもスッキリと飲めるでしょう。
篠崎「国菊 あまざけ」
福岡の老舗蔵・篠崎。豊穣な筑紫平野、滔々と流れる筑後川と自然に恵まれた朝倉市に蔵を構えています。江戸後期より地酒を造っていましたが、現在は焼酎、梅酒、リキュールとバラエティに富んでいます。
「麹文化を大事にしたい」という考えのもと麹を使った商品開発に力を注ぎ、甘酒もそのひとつ。「国菊あまざけ」は大ヒットとなり、2008年度モンドセレクションダイエット食品&健康食品部門で金賞受賞しています。
かなり甘めの仕上がりで見た目通り粒々感が口に残ります。芳醇でふくよかではありますが、米麹独特の風味は少ないため、さらりと飲めるでしょう。
仙醸「黒松仙醸 無添加あまざけ」
長野県伊那市に蔵を構える仙醸は、1866年に太松酒造店として創業して以来、仙丈ケ岳にちなんで現在の株式会社仙醸へと名前を変えながら、地元に愛される地酒を造っています。
蔵のある上伊奈地方は上質な酒米が出来る場所としても有名で、南アルプスの伏流水を使用して醸された日本酒は、様々なコンクールで受賞しており、そんな実力蔵が造る甘酒も安心して飲める美味しさです。
「黒松仙醸 無添加あまざけ」は、主に伊奈地方のコシヒカリ、またはあきたこまちを70%精米、麹100%で仕込まれました。とろみのある口当たりで粒感もあり、程よい甘さ。綺麗な酸も感じられ、上質な甘酒です。
森永製菓「甘酒」
森永といえば何を思い浮かべますか?やはり、お菓子類かもしれません。子供の頃から一度は食べたことがあるお菓子ばかりで、馴染みがあるでしょう。実はこの甘酒も1969年から発売されているロングセラーで、非常に馴染み深いもの。冬になると自動販売機に並んだ姿を見たことがあるのでは?
味も懐かしく昔ながらで、屋台の甘酒といった印象。若干、酒粕の香りと甘さも強め。米麹と酒粕を森永製菓独自の比率でブレンドして造っています。“しょうが入り” や “冷やし甘酒” 、フリーズドライなどバリエーションが豊富。
マルコメ「プラス糀 米糀からつくった糀甘酒」
くりくり坊主のマルコメ君がキャラクターの「マルコメ」。昔のお寺では修行の際、味噌作りの時に鉢で大豆を挽くことからこのキャラクターが出来上がったといいます。それくらいマルコメ君=味噌のイメージが強いのではないでしょうか。
しかし、現在は味噌だけでなく甘酒もヒット商品。味噌作りに麹は欠かせませんから、味噌屋が作る甘酒も間違いなく美味しいのです。
さらりとしていてスッキリ。クセは無く、ほんのりミルキーさも感じられます。ごく少量ではありますが塩分が含まれているため、ゴクゴクといける飲みやすさから、熱中症対策としても最適。
メロディアン「酒粕甘酒」
1958年創業のメロディアンは、ポーションタイプのコーヒーフレッシュをメインに作っている会社。喫茶店などでコーヒースプーンに乗ってくるアレです。「おいしさはしあわせ」がスローガンで、様々な商品開発をしています。
メロディアンの甘酒は手に取りやすい価格とサイズで、コンビニやスーパーなどにも置いてあり、よく見かける商品。酒粕甘酒特有のアルコールの香りは少なく、気になりません。
砂糖が添加されていますが、カロリーも100mlあたり80kclということで、栄養価を踏まえると女性でも安心なのではないでしょうか。甘みのバランスもよく飲みやすい甘酒です。
熱中症対策にもぴったり!美味しい甘酒で夏を乗り切ろう!
ご紹介してきたように、甘酒は様々な種類のものが発売されています。自分に合ったもの、好みに合うものを見つけるため、いろいろ試してみるのがオススメ!
日常的に飲めば、美容や健康に効果があるのは勿論のこと、麹本来の美味しさをきっと実感できると思いますよ。