ジン本来の風味とライムの酸味がマッチした「ジンライム」。
爽やかでキリッとした飲み口のジンをベースに、さっぱりとした風味のライムジュースをブレンドしたカクテルです。すっきりとした味わいの中にも、柑橘系のフルーティーな甘酸っぱさを感じることができます。辛口で大人向けのイメージがあるカクテルですが、お酒が好きな方にはぜひ一度試していただきたい1杯です。
今回はそんなジンライムについて、基本情報やおすすめのジン、おいしいジンライムの作り方などをご紹介します。
ジンライムの基本情報
まずは、ジンライムの味わいやアルコール度数、歴史、カクテル言葉など、ジンライムの基本情報についてご紹介します。
ジンライムとは?
ジンライムとは、その名の通り、ジンをベースに100%果汁のライムジュースを加えたシンプルなカクテルのことです。
一般的に、ジンライムで使用するライムジュースとは、100%果汁のライムジュースのことを指します。
しかし、100%果汁のライムジュースの他にも、少し甘めのライムシロップや、コーディアルライムジュースを使用することもあります。
また、オーセンティックバーでは、ライム果汁を使用することが多いです。
ご自宅でジンライムを作る場合、カットライムを添えたり、ライム果汁やシロップを使用したりすることで、ライムの風味をお好みで調節することができます。
ロックスタイルで飲むのが一般的で、ジンの風味とライムの酸味をそのまま味わうことができるのが魅力です。
時間が経つにつれてグラスの中の氷が少しずつ溶けていくので、香りや味わいの変化を楽しむことができます。
甘いカクテルが苦手な方には、特におすすめの一杯です。
ジンライムの味わい
ジンライムは、爽やかでキリッとした飲み口が特徴のジンをベースに、さっぱりとした風味のライムジュースを加えて作るため、すっきりとした味わいのカクテルに仕上がっています。
シンプルゆえに、ジン本来の風味とライムのさっぱりとした酸味を楽しむことができるカクテルです。
また、ライムジュースの代わりにライム果汁を使用することも可能。ライム果汁を使用することで、よりライム本来のさっぱりとした酸味を味わうことができます。
糖分が入っているライムシロップやコーディアルライムジュースを使用すると、少し甘みのある味わいに仕上がります。
「ジン」とは?
ジンライムのベースとなる「ジン」は、4大スピリッツの1つで、爽やかでキリッとした飲み口とジン特有の香りが魅力のお酒です。
グレーン・スピリッツと呼ばれる、大麦やライ麦、トウモロコシなどの穀類を原料とした蒸留酒に、ネズの実をはじめとした香草・薬草類を加え、再蒸留して造られます。
ジンライムのアルコール度数
ジンライムはジンをそのまま使用するので、使用するジンのアルコール度数が目安となります。一般的なジンのアルコール度数は、40度前後だといわれています。
ジンライムの場合、ライムジュースを加えることで度数は低くなりますが、基本的にはロックスタイルで飲むため、アルコール度数はかなり高いです。ライムジュースの割合にもよりますが、アルコール度数は30度以上あることが多いです。
歴史
ジンライムは、海外では「Gin and Lime」と呼ばれています。
ジンライムの発祥には諸説ありますが、1890年代、同じ材料で作られる「ギムレット」と同時にイギリスで誕生したという説があります。
イギリス軍のギムレット卿という軍医が、当時薬用酒として支給されていたジンを軍人が飲み過ぎていることを憂慮し、ジンにライムジュースを混ぜて飲むことを提案したといわれています。
一方で、実は日本発祥だったという説も。この説によると、ジンライムは、銀座のバーで素早く提供できるカクテルとして考案されたといわれています。
ジンライムはとてもシンプルなレシピなので、その発祥には様々な説があるようです。
カクテル言葉
ジンライムのカクテル言葉は「色あせぬ恋」です。
すっきりとした味わいのシンプルなカクテルですが、実はカクテル言葉はとても情熱的。意中のお相手を口説く時にも使える、ロマンチックなカクテルですね!
大物アーティストが憧れたカクテル
実はジンライムには、ある大物アーティストが憧れていたという逸話があります。
ある大物アーティストとは、「永ちゃん」の愛称で親しまれている、ロックミュージシャンの矢沢永吉さんです。
矢沢さんがデビューする前、横浜のライブハウスで演奏をした際、あるお客様から1000円のチップを頂いたときのお話です。
お金がなかった当時は、その1000円のチップがとても嬉しくて、バンドのメンバーと近くのバーに走ったそう。そこでずっと憧れていたジンライムを注文。
ジンライムのおいしさに感動した矢沢さんは、「いつか自分のお金で何杯でもこれを飲める男になろう!」と決意したのだとか。
当時のジンライムは、昔ながらのライムシロップを使ったレシピでした。
今では、ライムシロップではなく、本物のライムを使ったジンライムが「本物のジンライム」と呼ばれています。
しかし、矢沢さんにとってのジンライムは、本物のライムを使ったジンライムではなく、ライムシロップを使った昔ながらのジンライムだそうです。
なんだか素敵なお話ですよね。
ギムレットとの違い
ジンライムと同じ材料を使ったカクテルに、「ギムレット」というものがあります。
ギムレットとは、ジンライムと同様、ジンをベースにライムジュースを加えたシンプルなカクテルです。ライムジュースの量によって変わりますが、基本的にはすっきりとした爽やかな味わいです。
ジンライムとギムレットは製法が異なる
ジンライムとギムレットの違いは、その作り方にあります。
ジンライムは、グラスにそのまま材料を入れて作る「ビルド」という製法で作られるのに対し、ギムレットは「シェイク」という製法で作られます。
シェイクとは、シェイカーの中に材料と氷を入れ振ることで、材料をよく混ぜ合わせ冷やしたり、お酒に空気を含ませてアルコールのカドを取り、飲みやすくしたりする手法です。
ギムレットはシェイクして作るため、ジンとライムジュースがよく混ざり、ジンライムよりもまろやかな口当たりとなっています。また、氷が溶け出すためアルコール度数も25%前後と、少し低くなります。
シェイクすることで変化するのは、味わいだけではありません。
ジンライムは、透き通った美しい見た目をしていますが、ギムレットは、材料と空気がよく混ざることで、かわいらしい淡いライムグリーンに変化しています。
ギムレットに関しては「ギムレットってどんなお酒?基本情報からおいしい飲み方まで徹底解説 」の記事内で詳しくご紹介しています。
カクテル言葉
ギムレットのカクテル言葉は「遠い人を思う」です。
この言葉は、小説「長いお別れ(The Long Goodbye)」の中にも登場します。遠く離れた恋人、家族、友人を思いながら、切ない気持ちで飲みたいカクテルです。
ジンライムのカクテル言葉が「色あせぬ恋」と情熱的でロマンチックなのに対し、ギムレットのカクテル言葉は少し切ないのが特徴的ですね
おいしいジンライムの作り方
ここでは、おいしいジンライムの作り方についてご紹介します。
お好みの味わいによって、ジンライムのレシピは変わってきます。そこで今回は、すっきりとした爽やかな口当たりと、甘酸っぱい口当たり、2種類のレシピをご紹介します。
おいしいジンライムを作るためには、材料とグラスを同じ温度に冷やしておくことが大切です。違う温度の液体が混ざると、希釈熱という現象によって、カクテルがぬるくなってしまいます。
ぬるくなったカクテルを氷の入ったグラスに注ぐと早く氷が溶けてしまうため、カクテルが水っぽくなってしまうので注意しましょう。
また、製氷機の氷ではなく、スーパーやコンビニで売っている純氷を使用することが望ましいです。製氷機で作る氷よりも溶けにくく、ジンライムの味わいをより一層引き立ててくれます。
すっきり派のジンライム
<材料>
・ドライジン 45ml
・100%ライムジュース または ライム果汁 15ml
・カットライム または スライスライム
すっきりとした爽やかな味わいのジンライムを作りたい場合は、100%ライムジュースや絞ったライム果汁の使用がおすすめです。
使用するグラスに氷を入れ、ジンとライム果汁を注ぎ、軽く混ぜ合わせれば完成です。
お好みでカットライムやスライスライムを添えることで、ライムのさっぱりとした酸味をより一層引き立てることができます。
甘酸っぱさがちょうど良いジンライム
<材料>
・ドライジン 45ml
・ライムシロップ または コーディアルライムジュース 15ml
・カットライム または スライスライム
甘酸っぱい味わいのジンライムを作りたい場合は、ライムシロップやコーディアルライムジュースの使用がおすすめです。
作り方は先ほどのジンライムと一緒。
グラスの中に氷を入れ、ジンとライムシロップまたはコーディアルライムジュースを注ぎます。
最後に軽く混ぜ合わせ、お好みでカットライムやスライスライムを添えれば完成です。
ジンライムにおすすめのジン
ジンライムはとてもシンプルなレシピなので、使用するジンによってその味わいが大きく変化します。
ここでは、ジンライムにおすすめのジンを5つご紹介します。
ビーフィーター
ロンドンドライジンの定番「ビーフィーター」は、ジンライムにもぴったりの1本です。
癖が少なく、ライムのさっぱりとした酸味を引き立ててくれます。
カクテルベースとして定評のあるジンなので、ご自宅で手軽にカクテルを楽しみたい方におすすめです。
タンカレーNo.10
「今までにない高品質のジンを創る」をモットーに醸造された「タンカレーNo.10」は、高級な味わいと香り高さが人気のプレミアムジンです。
1830年の創業から現在に至るまで、まったく変わらない製法で作られている伝統的なジンで、レシピを知っているのは世界でたった6人しかいないといわれています。
カクテルとしてはもちろん、ロックやストレートでそのまま飲んでもおいしい逸品です。
ロンドンドライジンNo.3
「ロンドンドライジンNo.3」は、その名の通り、ロンドンドライジンの1つで、ロンドン最古のワイン商が生み出した銘品。
シャープで爽やかな口当たりが特徴で、冷凍庫でキンキンに冷やしてからいただくのがおすすめです。
ジンクス オールドトムジン
まろやかな口当たりがお好きな方には「ジンクス オールドトムジン」がおすすめです。オールドトムジンはドライジンより少し甘めなので、辛口が苦手な方でもおいしくいただけます。
クラフトジンの流行によって、人気急上昇中の1本です。可愛らしいねこの「ジンクスくん」が描かれたボトルは、見ているだけで楽しめます。
まとめ
すっきりとした爽やかな味わいが人気のジンライムは、お酒が好きな方にはぜひ一度試していただきたいカクテルです。
ライムのさっぱりとした酸味を感じつつ、ジン本来の風味を楽しむことができます。
作り方はいたってシンプルで、特別な道具は一切必要ありません。
材料も簡単に揃えられるものばかりなので、ご自宅でも手軽にお楽しみいただけます。
ジンライムのベースであるジンは、いろいろな割り材と合わせて楽しむことができるので、ご自宅用にお酒を買う方にはおすすめです。
ジンライムは、夏の暑い時期には特にぴったりのカクテルです。
ぜひ一度お試しください。