近年、話題となっている「日本ワイン」。お酒好きの方々の中でも、気になっている人が多いのではないでしょうか?
しかし、「日本ワインってどんなワイン?」「日本で作ってるワインて昔からあったのに、なんで今さら人気なの?」などなど......様々な疑問が頭に浮かびますよね!
今回は、日本ワインが一体どのようなワインなのかという基礎知識に加え、ソムリエの私がオススメする「日本ワインのおすすめランキングTop10」をご紹介していきます。
日本ワインの基礎知識
「日本ワイン」とは、国産のブドウのみを原料とし、日本国内で醸造されたワインのことをいいます。
従来は、日本ワインはもちろんのこと、輸入濃縮果汁などの輸入原料を使って国内で醸造されたワインも同じように「国産ワイン」と呼ばれていました。
しかし、それでは原料が国産なのか外国産なのかがわかりにくいという問題があったのです。
そこで、2015年に国税庁により『果実酒等の製法品質表示基準』が定められ(施行は2018年10月30日)、日本ワインと呼べる条件を満たしたワインには「日本ワイン」という表示をすることができるようになりました。
日本ワインの主な産地としては山梨県や長野県、北海道などが挙げられますが、今日では北は北海道から南は沖縄県まで、ほとんどの都道府県で生産されています。
多様な気候風土のもとで、その土地の個性を反映した、実に多様な日本ワインが生み出されているのです。
日本ワインを選ぶ際のポイント
日本ワインの選び方がわからないときは、ブドウ品種に注目して選ぶといいでしょう。
まだあまり日本ワインを飲んだことがないという方は、まずは日本ワインを代表する2大品種である「甲州」の白ワイン、「マスカット・ベーリーA」の赤ワインから試してみるのがおすすめです。
甲州のワインにはすっきりとした辛口のものが多く、マスカット・ベーリーAのワインには果実味豊かで渋みが少ないものが多く、いずれも和食全般とよく合います。
そのほかの日本ワインのブドウ品種としては、心地よい甘口の白ワインを生み出す「ナイアガラ」、多様なスタイルの白ワインを生み出す「ケルナー」、長野県塩尻市の桔梗ヶ原が産地として名高い赤ワイン用品種の「メルロー」などが有名です。
このように、ブドウ品種の特徴を把握しておくと、自分の好みやワインを飲むシチュエーションに合ったワインを選びやすくなります。
プロが選んだ!おすすめの「日本ワイン」ランキングTop10
10位 エーデルワイン ナイアガラ
エーデルワインは近年ワインの産地として活気を呈す岩手県のワイナリーです。1962年の創業当時から岩手県産のブドウにこだわり、良質なワインの数々を生み出してきました。
その中でも10位にランクインしたのが、岩手県の冷涼な気候と昼夜の寒暖差、石灰質の多い土壌に育まれたナイアガラというブドウ品種から造られた『エーデルワイン ナイアガラ』です。ナイアガラ特有の華やかな果実の香りに、爽やかで優しい甘さが特徴的。
特にワインを飲み慣れない方や、甘いお酒が好きな方におすすめです。
9位 ミュゼ・ドゥ・ヴァン 善光寺竜眼
1927年に長野県塩尻市に創業した㈱アルプスの長野県産の原料にこだわったワイン、『ミュゼ・ドゥ・ヴァン』シリーズのなかでも、個性的な魅力が光る1本がこちら。
善光寺竜眼とは、カスピ海周辺が原産、シルクロードを経て中国、日本へと渡り、長野県に根付いたと言われるブドウ品種。善光寺竜眼特有の爽やかな香りと酸味、そしてどこか日本酒のような風味も感じられ、和食の繊細な味わいをよく引き立たせてくれます。
日本酒が好きな方にもおすすめの1本です。
8位 サントリー 登美の丘ワイナリー ジャパンプレミアム マスカット・ベーリーA
8位で紹介するワインが、サントリー登美の丘ワイナリーが手掛ける『ジャパンプレミアム マスカット・ベーリーA』です。
「ジャパンプレミアム」の品種シリーズは、日本の風土で育まれたブドウ品種が持つ個性を最大限に引き出したワインのシリーズのこと。
このワインにも、赤い果実の香りやフレッシュかつフルーティーな味わいといった、マスカット・ベーリーAならではの個性がよく現れています。
マスカット・ベーリーAのワイン入門には特におすすめしたいワインです。
7位 安心院葡萄酒工房 安心院スパークリングワイン
安心院葡萄酒工房は、大分県宇佐市安心院(あじむ)町にあるワイナリーです。
そのラインナップの中でも特におすすめの1本が、こちらの『安心院スパークリングワイン』。
霧深い盆地に位置し、温度差の激しい気候で良質なブドウが育つ安心院で栽培されたシャルドネ種を100%使用し、シャンパーニュと同じ「瓶内二次発酵」という製法で造られています。
トロピカルフルーツのような華やかな香りに洗練された味わい、かすかな苦みが残る余韻。本格的な味わいで、ツウをも唸らせる辛口スパークリングワインです。
6位 シャトー酒折ワイナリー 甲州ドライ
日本ワイン初心者の方におすすめの白ワインがこちら。山梨県甲府市酒折町にあるシャトー酒折ワイナリーの『甲州ドライ』です。
2015年に開催された伊勢志摩サミットで振舞われたワインとしても知られており、柑橘系の果物や白い花を思わせる香りに、爽快でバランスの良い味わいが特徴的。
コストパフォーマンス抜群の、甲州の魅力や「甲州らしさ」が存分に味わる1本です。
刺身や寿司、天ぷら、酢の物など、素材の味を味わう料理とよく合います。
5位 丸藤葡萄酒工業 ルバイヤート甲州シュール・リー
数多くのワイナリーが集まる山梨県の甲府盆地の中でも、1890年創業という古い歴史のある丸藤葡萄酒工業。その中でも特に有名なワインが、こちらの『ルバイヤート甲州シュール・リー』です。
「シュール・リー」とはフランス語で「澱(おり)の上」を意味する言葉で、澱と一緒にワインを貯蔵する製法のこと。この製法により、旨味がたっぷり感じられる、厚みのある味わいのワインに仕上がっています。
ブドウ品種は甲州ですが、「シュール・リー」をしていない甲州のワインとは、ひと味もふた味も違った味わいです。ぜひその違いを感じてみてください。
4位 林農園 五一わいん エステートゴイチ メルロ
日本のメルローの聖地ともいえる長野県の松本盆地南端にある桔梗ヶ原にワイナリーを構えて100年以上の歴史を誇る林農園。この地でメルローの栽培を始めたパイオニアでもあり、長野県最古のメルローの古木も存在します。
そんな同社の『エステートゴイチ メルロ』は、カシスのような黒系果実とフレンチオークの樽に由来する上品で複雑な香りが調和。ふくよかな果実味とまろやかなタンニンが一体となった、コクのある濃厚な味わいの1本です。
ビーフシチューなどの肉料理とよく合います。
3位 タケダワイナリー ドメイヌ・タケダ ベリーA古木
化学肥料や除草剤を使わず、できるだけ自然の力を借りて栽培したブドウを使い、ナチュラルなワイン造りをモットーとする山形県上山市のタケダワイナリー。
その『ドメイヌ・タケダ ベリーA古木』は、日本最高齢ともいわれる樹齢70年超えのマスカット・ベーリーAの古木のブドウから造られたワインです。
凝縮した果実感にのびやかな酸が調和。渋みは穏やかながら、どこまでも奥行きを持ち合わせた本格的かつ深みのある味わいで、日本ワインの可能性をたっぷりと感じさせてくれる1本です。
2位 余市ケルナー辛口 グラン・ポレール
ドイツ原産の白ワイン用ブドウ品種、ケルナーから造られたおすすめの1本がこちら。サッポロビールの『グラン・ポレール』シリーズの『余市ケルナー辛口』です。
ドイツに似た気候風土で、ドイツ系のブドウ品種の産地として注目を集める北海道の余市で栽培されたブドウを使い、青りんごのようなフルーティーな香りが非常に香り高く、豊かな果実味と爽やかな酸味のバランスがよい味わいに仕上がっています。
鮭や蟹、いくら、ホタテといった、北海道の海の幸と共に味わいたいワインです。
1位 シャトー・ルミエール ルミエールスパークリング 甲州
「良いワインは良いブドウから」をモットーに、明治18年から続くシャトー・ルミエール。同社の『ルミエールスパークリング 甲州』は、シャンパーニュと同じ「瓶内二次発酵」という製法で造られている本格的なスパークリングワインです。
ブドウはワイナリーのある山梨県笛吹市一宮町の南野呂地区の甲州を使用。
きめ細やかで繊細な泡立ちに、甲州特有の柑橘系の爽やかな香りに、程よい酸味の感じられる気品高い味わいが特徴です。
さまざまな料理と相性が良く、手土産や贈り物などにもピッタリの1本と言えるでしょう。
日本にはまだまだ素晴らしいワインがたくさん!
「ワインといえばフランス」という考えは過去のものになり、いまや世界各地でワインが造られるようになりました。
日本も例外ではありません。その土地の気候風土などの個性を反映した素晴らしいワインが、ここで紹介したワインのほかにも数多く生み出されています。
紀元前の時代からワイン造りがおこなわれていたようなヨーロッパ諸国とは違い、日本はワイン造りの新興国ではありますが、日本人のワイン造りに対する努力と熱意が功を奏し、ここ数十年で日本ワインは世界でも評価されるほどのレベルに達しました。
また、世界中でブームになっている和食と相性が良いという点でも、日本ワインは注目を集めています。
今後もますますの躍進が期待できる日本ワイン。ワイン好き日本人としては、その動向から目が離せません。