キンキンの日本酒で乾杯!この言葉を聞いただけで、何となく気分が良くなりますが、実は日本酒を冷やすだけではなく、近年、「日本酒をロックで飲む」が流行っているんです。
まだまだ、残暑が厳しいこれからの季節。氷を入れるだけで格段においしく飲める“日本酒ロックの世界”を紹介していきましょう。
日本酒ロックは邪道なのか
日本酒をロックで、というとなんとなく邪道に感じる方もいらっしゃるかもしれません。
確かに、醸造酒ですのでロックで飲むという印象が薄く、ふざけた飲み方のように感じてしまう人がいるのも、不思議ではありません。
しかし、日本酒をロックで飲むというのは、昔から親しまれていた飲み方なのです。
日本史の授業に登場する「日本書紀」にも「氷室の氷、熱き月に当たりて、水酒に浸して用ふ」、現代語訳すると「氷室に埋めていた氷を、夏に都へ運び出し、酒に入れて使っていた」と記されています。
こんなにも歴史のある飲み方ですから、“邪道”ではなく“粋”な飲み方であると言えるのではないでしょうか。
さらに日本酒ロックは案外理にかなった飲み方であり、様々なメリットが期待できるのです。
日本酒ロックをおすすめする理由
昔から親しまれている日本酒ロックは、おいしいだけでなく様々なメリットがあります。
ここでは代表的なものをいくつかご紹介していきます。
●アルコール度数が適度に下がる
日本酒は、アルコール度数が15度以上のものが少なくはなく、数ある醸造酒の中では強めのお酒です。日
本酒にこりを入れると、当然ながら氷は溶け始めます。
すると、水割りのような状態になり、アルコール度数が適度に下がるためグッと飲みやすくなるのです。
また、それでは味わいが薄まってしまう、と思われるでしょうが、ちゃんとロックに適した日本酒を選べばよりまろやかな飲み口と香りになり、美味しく感じるという、一石二鳥な飲み方となるのです。
●温度が下がるので飲み心地が良い
ロックの醍醐味というのは、やはりスッキリと冷えた酒が飲める、という部分です。それであれば、最初から日本酒を冷やしておけば良い、という発想になりますが時間が足りない時もあります。
さらに、どんなに冷やしておいても一升瓶をテーブルに出しておけば、知らぬうちに日本酒自体の音頭は上がっていくわけですから、どうしても最終的にはぬるいだけの、イマイチな日本酒となってしまいます。
日本酒に氷を入れると、平均で2、3度は下がると言われており、ややぬるめの冷やであっても、スッキリとした飲み口で楽しむことができるのです。
さらに、面白いのが飲みきることをしなければ、二度美味しいというところ。
飲み始めは、冷えているため切れ味抜群といった感じですが、ゆっくりと飲んでいけば温度は戻っていきます。
さらに、氷も多少は溶けているので、アルコール度数が下がりまろやかさが増します。
結果的に、同じ日本酒であっても、グラスのなかで二通りの楽しみ方ができるわけです。
●酢を使った料理との相性が凄く良くなる!
ロックで仕上げた日本酒ですが、単体ではなく、やはり料理と合わせて楽しみたくなるものです。
そこで、おすすめなのが、お酢を使用した料理です。
しめさばなどはもちろんですが、鯵の南蛮漬けであったり、タコとわかめの酢のもの、甘酢を使用した中華、余った刺身を使用したヌタなど、暑さを吹き飛ばしてくれそうな、酸っぱさを感じさせる料理と合わせてみてください。
和風ピクルスであったり、バルサミコ酢をかけた豚しゃぶなど、ちょっぴり洋風のテイストが入ったおつまみもおすすめ。
日本酒をロックで飲むからこその、料理とのマリアージュを楽しんでみてください。
日本酒ロックを楽しむのに欠かせないポイント
日本酒ロックですが、ちょっとしたことにこだわるだけで、よりおいしく楽しむことができるようになります。
ワンランク上の日本酒ロックを造るために、お酒好きならぜひこだわってほしい2つのポイントをご紹介します!
●氷にこだわる
1つ目のポイントは“氷へのこだわり”です。
氷は解けて日本酒と混ざるわけですから、日本酒の風味を損ねたいものを使いたいところ。
そこで1番のおすすめは市販のロック用氷です。
そこまで手間をかけられないという方はぜひミネラルウォーターで氷を作ってみてください。
また、氷の大きさも気を付けたいポイント。
小さすぎると溶けるスピードが早く、日本酒がすぐに薄まってしまう可能性や、日本酒ロックの醍醐味の1つである味わいの変化を感じにくくなってしまいます。
大きめの氷を使用し、ゆっくりと溶かしながら楽しんでみていただきたいです。
●酒器にこだわる
ワンランク上の日本酒ロックを楽しむには、“酒器にこだわる”ことも大切なポイントです。
例えば、香りを楽しみつつ味わいの変かも感じたいときには、背が低く飲み口の広い酒器を選んでみる。
ゴクゴクと爽快に味わいたいときには背の高いグラスに氷をたっぷり入れてみる。
日本酒はもともと酒器の種類が豊富なので、自分の目的に合わせて酒器を選ぶことも重要なポイントになってきます。
他にも洋風な料理の時には酒器も洋風に、和風な料理の時には酒器も和風に、と料理のテイストに合わせて酒器を変えて目で楽しんでみてもいいかもしれません。
日本酒ロックには原酒がおすすめ!
日本酒ロックはどうしても時間がたつと氷が解けて味が薄くなります。
それが日本酒ロックの味わいの変化になり、おいしさの特徴でもあるのですが、もともとスッキリした日本酒をロックにしてしまうと味が薄くなりすぎてしまう可能性もあります。
そこでおすすめしたい日本酒が「原酒」と呼ばれるタイプのものです。
通常の日本酒は出来上がった酒に水を加え、アルコール度数や味わいを調整します。
しかし原酒は水は一切加えす、出来上がった酒をそのまま瓶詰めしているので、アルコール度数が高く、コクのある味わいが特徴になります。
この原酒を日本酒ロックにすることで、アルコール度数も下がるだけでなく、すっきりとしていながらまろみのある味わいを楽しむことができるのです。
また、「にごり酒」と呼ばれているタイプの日本酒もおすすめ。
開封したばかりのにごり酒は、微炭酸でシュワシュワとした発泡感を楽しむことができます。
このにごり酒に氷を入れることで、発泡感と氷がうまくマッチし、より強い爽快感を味わうことができるのです。
にごり酒特有のドロッとした感じも少なくなり、飲みやすさもアップしますよ。
ロック専用日本酒も販売されている
近年、日本酒ロックという飲み方が定着してきたこともあり、ロック専用の日本酒も販売されています。
最後に日本酒ロック初心者でもチャレンジしやすい、ロック専用の日本酒をご紹介します!
●ロック酒の上善如水 純米
日本酒の有名銘柄「上善如水シリーズ」から出ている「ロック酒の上善如水」。
フルーツのような酸味がきいていて、すっきりと味わうことができます。
「FOODEX 美食女子グランプリ 2018」ではドリンク部門でグランプリ受賞していて、女性からも人気の商品です。
●ガリガリ氷原酒
お客様の声から生まれたという「リガリ氷原酒」。
氷を入れても物足りなさを感じないよう、濃醇なあじわいに仕上げたんだとか。
ロックはもちろん、氷とソーダを入れて炭酸割りにしてもおいしくいただけます。
●夏のお酒 ひや
夏季限定の本醸造酒「夏のお酒 ひや」。
もともとアルコール度数17%と高めに設定されていて、オンザロックで美味しく飲めるよう、計算されて造られています。
爽やかな味わいは魚介系のおつまみと相性抜群なんだそう。
日本酒は自由に楽しむこと!
日本酒をロックだなんて…と、思われていた方もいると思いますが、先入観無しで、さまざまな飲み方に挑戦することをおすすめします。
いろいろと挑戦し、新しい日本酒の魅力を発見することも、大切な飲み方ではないでしょうか。
今まで日本酒ロックを知らなかったという方も、まだ試したことがないという方もこの機会にぜひチャレンジしてみてくださいね!