果実酒づくりには欠かせないホワイトリカー。
実は、果実酒をつくる際には注意しないと法律違反になる可能性があるんです。
そこで、今回はホワイトリカーの基礎知識から、ホワイトリカーを使った梅酒・果実酒のつくり方まで、詳しくご紹介します。
ホワイトリカーは甲類焼酎?
結論から言うと、ホワイトリカーは焼酎の1種です。
アルコール度数は35度のものが多く流通しています。連続式蒸留機を使い、不純物を取り除くことによってピュアで癖のないお酒が出来上がります。
焼酎には「甲類焼酎」と「乙類焼酎」、その2つをブレンドした「混和焼酎」が存在します。ホワイトリカーを知る前に、まずはこれらの種類について学んでおきましょう。
詳しく知りたい方は「焼酎「甲類」と「乙類」の違いは?味や製法・飲み方の違いを徹底解説 」でご紹介していますので、読んでみてくださいね。
甲類焼酎とは
甲類焼酎とは、連続式蒸留機を使ってつくられるピュアな焼酎です。アルコール度数は36度未満と定められています。
癖が少ないため、酎ハイなどに使われることが多いですが、すっきりと飲めるロックなどで飲む方もいます。
また、居酒屋のボトルキーブなどに使われるには一般的に25度ほどの甲類焼酎が多いです。韓国焼酎の「JINRO」などが有名ですね。
「変幻自在のカクテルベース!?韓国焼酎「JINRO」の美味しい飲み方教えます!」で詳しくご紹介しています。
乙類焼酎とは
乙類焼酎とは、単式蒸留器を使ってつくられる焼酎のことです。1度しか蒸留を行わないため、素材そのものの味が感じられるのが特徴。さらに、添加物を使わずに定められた原料を使うと「本格焼酎」と言われる焼酎になります。
甲類焼酎と比べて個性がそれぞれ存在し、「プレミアム焼酎」などの高価な本格焼酎も存在します。
プレミアム焼酎に関しては、「入手困難なプレミア芋焼酎「魔王」人気の理由と味わいの秘密を徹底解説」 で詳しくご紹介しています。
ホワイトリカーは甲類焼酎のひとつ
連続式蒸留機でつくられるホワイトリカーは、甲類焼酎に分類されます。
甲類焼酎のアルコール度数限界の35度と、ギリギリのアルコール度数が多いのは、果実酒にした時に度数が高い方が果実のエキス分浸出に有利なためです。
また、飲食店などの場合はコストパフォーマンスが良いのも理由として挙げられます。
ホワイトリカーを使った果実酒づくりで気をつけたい3つの条件
ホワイトリカーを使って果実酒をつくる場合に、必ず守って欲しいことがあります。それは「酒税法」です。
「お酒をつくる際には税金を払ってくださいね」といった内容なのですが、様々な規定で資格を持たない方がお酒をつくることは禁止されています。
果実酒はお酒をつくったことに分類されるので、基本的には酒税法に抵触します。
ですが、いくつかのルールを守れば例外が認められるので、そのルールに則ってつくれば大丈夫。
しっかり把握して、美味しい果実酒づくりにチャレンジしてみましょう。
1.アルコール度数は20%以上の物を使う
果実酒に使うベースのお酒は、アルコール度数20%以上で、酒税課税済みの物を使いましょう。(酒税課税済みに関しては、普通に購入した時に酒税が上乗せされているのでそこまで機にする必要はありません)
果実酒用のホワイトリカーはこの条件を満たしているので問題ありませんが、ワインや日本酒などの低アルコールのものを使って漬け込むと違法です。
どうしてもワインを使いたい方は、漬け込むことはできませんが「自宅で簡単!サングリアの作り方と4つの楽しみ方アレンジまで徹底解説」 で裏技を紹介していますのでぜひ読んでみてください。
2.必ず記載されている果実以外のものを使う
酒税法では、果実酒をつくる時に使ってはいけないものが記載されています。
1.米、麦、あわ、とうもろこし、こうりゃん、きび、ひえ若しくはでんぷん又はこれらのこうじ
2.ぶどう(やまぶどうを含みます。)
3.アミノ酸若しくはその塩類、ビタミン類、核酸分解物若しくはその塩類、有機酸若しくはその塩類、無機塩類、色素、香料又は酒類のかす
ざっくりいってしまえば、他のお酒の原料になるものは基本的に禁止です。
3.他のお酒を混ぜない
意外と盲点ですが、使うお酒は1種類までです。
ワインやみりんなどのアルコール度数が20%以下のお酒はもちろん、他のお酒も混ぜるのは禁止とされています。
基本的にはホワイトリカーのみを使うようにしましょう。
番外編.販売しない
これは当たり前のことですが、自身で作った果実酒を販売するのはNG。
個人、または家族で飲む分であれば問題ありませんが、不特定多数の人に販売したり、振る舞ったりすることも禁止されています。
家族以外への人へのおすそ分けについて
おすそ分けについては、定義が曖昧なので明確な基準はありません。
「おすそ分けは大丈夫!」というネットの情報は多数出てくるかもしれませんが、明確に酒税法に記載されたわけではありません。
法律に則るのであれば、おすそ分けはやらないことをおすすめします。
梅酒の基本的なつくり方とレシピ
先ほど紹介した注意点をふまえて、美味しい果実酒をつくってみましょう!
まずは基本のレシピを紹介しますが、漬け込む材料によって期間やアルコールのトゲが丸くなるまでは時間差や好みの差があります。
基本がしっかりできるようになったら、好みの味を探してみてくださいね。
梅酒の基本的なつくり方
材料
・ガラス製の保存容器:ホワイトリカーの量の2倍の液体が入る容器を用意しましょう(この場合は4L)
・35%のホワイトリカー:1800ml
・青ウメ:1000~1200g
・氷砂糖:400~600g
手順
1.保存容器は煮沸消毒しておきます
2.青ウメを水洗いしてよく拭いた後、爪楊枝などでへたを取り除きます。
→この時に青ウメを傷つけてしまうと、濁りの原因になってしまうので注意しましょう。
3.乾いた保存容器に青ウメと氷砂糖を1/3ずつ交互に入れた後にホワイトリカーを注ぎます。
4.冷暗所に保存して、およそ3ヶ月ほどで完成です。
ちょうど良い好みの味になったら、青ウメは取り除いてしまいましょう。その後、保存していくにつれてアルコールのトゲはだんだん落ち着いてきます。
お好みでキッチンペーパーなどで漉すと、さらに綺麗な液体になりますよ。
色々な果実酒をつくってみよう
青ウメで造る梅酒意外にも、様々な果実酒がつくれます。以下では、比較的手に入りやすい果実で造る果実酒のおすすめの材料をご紹介します。
基本的には、4Lの容器でつくる計算で材料を記載していますが、少ない容器の場合はそれに応じて各材料の量を調節してくださいね。(保存容器は煮沸消毒してよく乾かしたものを使います)
使うホワイトリカーのアルコール度数は35%です。
レモン酒
材料
・レモン:10~12個(約1000g)
・氷砂糖:200g
・ホワイトリカー:1800ml
手順
1.レモンを剥いて輪切りにします。
→この時、お好みに合わせて皮を入れるときはしっかりと洗ってください。また、皮を漬け込みすぎると苦くなるので、1週間ほどで取り出してください。
2.基本通りに漬け込んで、1~2ヶ月冷暗所で保存すれば完成です。
オレンジ酒
材料
・オレンジ:1000g
・氷砂糖:200g
・ホワイトリカー:1800ml
手順
1.ぬるま湯などで洗ってワックスを落としたオレンジを剥いて輪切りにします。
2.基本通りに漬け込んで、3ヶ月冷暗所で保存すれば完成です。
ローリエ酒
材料
・ローリエの葉:10枚ほど
・氷砂糖:100g
・ホワイトリカー:1000ml
手順
1.材料を基本通りに漬け込んで、3ヶ月冷暗所で保存すれば完成です。
ハーブ好きな方にオススメのローリエ酒。
独特な風味があるため、少なめの材料で試してから、本格的な量で造ることをオススメします。
さくらんぼ酒
材料
・さくらんぼ:約1000g
・氷砂糖:200g
・ホワイトリカー:1800ml
手順
1.さくらんぼを水で軽く洗い、茎をとってから水気を拭き取ります。
2.基本通りに漬け込んで、2ヶ月冷暗所で保存すれば完成です。
ブルーベリー酒
材料
・ブルーベリー:600~800g
・氷砂糖:200g
・ホワイトリカー:1800ml
手順
1.ブルーベリーを水で軽く洗い、水気を優しく拭き取ります。
→潰れた身は、漬ける前に取り除きましょう。
2.基本通りに漬け込んで、4ヶ月冷暗所で保存すれば完成です。
金柑酒
材料
・金柑:1000g
・氷砂糖:200g
・ホワイトリカー:1800ml
手順
1.金柑を水でよく洗いへたを取り除いて、水気をしっかり拭き取ります。
2.基本通りに漬け込んで、6ヶ月冷暗所で保存すれば完成です。
桃酒
材料
・桃:1000g
・氷砂糖:200g
・ホワイトリカー:1800ml
手順
1.桃を10秒ほど茹で、すぐに冷水に入れます。
2.皮が剥きやすくなるので、皮を剥いてから4等分に分けてタネを取ります。
3.タネも含めて漬け込んで、3ヶ月冷暗所で保存すれば完成です。
リンゴ酒
材料
・リンゴ:1000g
・氷砂糖:200g
・ホワイトリカー:1800ml
手順
1.リンゴを水で洗い、水気をしっかり拭き取り、4等分に切ります。
→この際、芯は取り除きます。
2.基本通りに漬け込んで、6ヶ月冷暗所で保存すれば完成です。
イチゴ酒
材料
・イチゴ:1000g
・氷砂糖:200g
・ホワイトリカー:1800ml
手順
1.イチゴを水で洗い、へたをとって水気を拭き取ります。
2.基本通りに漬け込んで、1ヶ月冷暗所で保存すれば完成です。
まとめ
しっかりと法律を守れば、安全に美味しい果実酒を作ることができます。
梅酒を筆頭に、酸味が強い果実でも漬け込むことで氷砂糖の甘みがホワイトリカーにしっかりとしみ込むので、とっても美味しいですよ!逆に、甘い果実の場合は、氷砂糖の量を半分ほどにして調整してみましょう。
甘すぎたり、濃い場合でも、炭酸水やロックで味わえるのがホワイトリカーを使った自家製果実酒の醍醐味です。
自宅でお酒を飲む機会が多いこのご時世ですので、ぜひ自家製の果実酒を造って楽しんでみてくださいね!