東京に隣接する埼玉県。日本酒のイメージがあまりない県ではあるかもしれませんが、実は数多くの銘酒が生まれている生産地でもあるんです。
ここでは、筆者がおすすめの埼玉県の日本酒をランキング形式で10本ご紹介。さらに、埼玉県の日本酒の特徴や酒米、有名な酒蔵にいたるまで詳しく解説していきます。
埼玉県の日本酒の特徴
埼玉県の日本酒は、口当たりの良い、まろやかな味わいが特徴だと言われています。
この特徴の要因と考えられるのは埼玉県の"水"です。埼玉県には、荒川と利根川という二つの大河が流れています。
利根川水系に比べて、荒川水系の方がやや水の硬度が高いようですが、全体的に埼玉県の水は軟水です。埼玉県の酒蔵は、これらの水系の伏流水を用いて日本酒を仕込んでいるため、前述したような柔らかな酒質になると考えられています。
埼玉県の酒米
埼玉県の酒米としては、平成十六年(2004年)に開発された"さけ武蔵"が親しまれています。この酒米は、若水(わかみず)が父、改良八反流(かいりょうはったんながれ)が母の大粒品種です。
より埼玉県ならではの日本酒を楽しみたい方は、これらの水・米を使用した銘柄を味わうのが良いでしょう。
埼玉県で生まれた酵母・技術
最後に、埼玉県の技についてですが、まず注目したいのは埼玉県の技が開発した酵母です。
この酵母は、埼玉県産業技術総合センター北部研究所が開発したもので、吟醸酒造りに適しているのが特徴。全国新酒鑑評会にて、埼玉県の高い入賞率を誇る要因の一つと考えられています。
また、埼玉県の醸造の技を向上させるべく、平成十七年(2005年)に開校した「彩の国酒造り学校」も面白い取り組みです。
同校は、埼玉県内の若手の酒造技術者を集め、実地研修や室内研修などの数多くのプログラムを行っているのが特徴。県内酒蔵の醸造技術向上に貢献しています。今現在の埼玉県の日本酒はもちろん。杜氏の伝統的な技、そして若い技術者の豊かな感性が融合した、これからの"埼玉県の技"が造る日本酒にも期待していきましょう。
埼玉県の日本酒ランキングtop10
埼玉県日本酒ランキング10位:帝松 本醸造原酒 「原酒」
出典:松岡醸造 帝松 本醸造原酒 原酒徳利 720ml [ 日本酒 埼玉県 ]
帝松 本醸造原酒 「原酒」は、まろやかな口当たり、しっかりとした旨味が特徴。アルコール度数19度に仕上げられた、ストロングなタイプの辛口日本酒です。
バランスが良いので、飲み方は冷やでも燗でもOK!料理や季節によって、温度を変えて味わってみるのはいかがでしょうか?
埼玉県日本酒ランキング9位:月のむさし野
出典:東亜酒造 月のむさし野 パック [ 日本酒 埼玉県 2000ml ]
「月のむさし野」は、淡麗でやや辛口の、スッキリとした味わいが特徴。手頃な価格で飲み飽きしない仕上がりのため、毎日でも楽しめるような日本酒です。
主張が強すぎないため、料理の邪魔をすることはありません。まずは気軽に楽しんでみることをオススメします!
埼玉県日本酒ランキング8位:藍の郷 純米酒
出典:日本酒 藍の郷 あいのさと 純米酒 720ml 【南陽醸造】
「藍の郷 純米酒」は、フルーティな香り、ほど良い旨み、フレッシュな酸味が特徴。モダンな味わいの純米酒です。
精米歩合は60%の、使用した酒造好適米"五百万石"の良さが活きた一本。安定した酒質で、食中酒として利用するのに最適です。
埼玉県日本酒ランキング7位:神亀 純米活性にごり酒
「神亀 純米活性にごり酒」は、力強い味わいと炭酸の爽快感が特徴。生きた醪を"あらごし"して瓶詰めした日本酒です。
燗にするのはバランスが崩れてしまうのでオススメしません。冷やでも良いですが、冷酒で楽しむと、にごり酒ならではの味わいが抜群に活きてきて飲みやすいです。
埼玉県日本酒ランキング6位:亀甲花菱 純米生原酒 無濾過中取り
出典:日本酒 亀甲花菱 純米生原酒 無濾過中取り 1800ml【清水酒造】
「亀甲花菱 純米生原酒 無濾過中取り」は、フルーティな香り、米の旨味、しっかりとした酸味が特徴。清水酒造の看板商品としての存在感がある日本酒です。
コク深い仕上がりで飲み飽きしない、長く楽しめるタイプの一本。ワイングラスに注ぎ、料理と一緒にゆっくりと堪能するのがオススメです。
埼玉県日本酒ランキング5位:天狗のとぶろく
出典:小山本家酒造 天狗のとぶろく [ 日本酒 埼玉県 720ml ]
「天狗のとぶろく」は、なめらかでコクのある甘さと、スッキリとした後味が特徴。日本酒本来の素朴な味わいを楽しめる、昔ながらの甘口にごり酒です。
そのまま飲んでも美味しいですが、濃厚な飲み応えなのでオン・ザ・ロックもオススメ。また、サイダー割りなど、日本酒らしからぬ飲み方でも美味しいですよ!
埼玉県日本酒ランキング4位:力士 金撰本醸造
出典:力士 金撰 本醸造 [ 日本酒 埼玉県 720ml ]
「力士 金撰本醸造」は、芳醇な香りと心地良いキレが特徴。米の旨味が活きながらも、軽快な喉越しを楽しめる日本酒です。
本醸造酒でありながら、醸造アルコールの添加量は吟醸酒と同程度。添加することで引き出された香味は、冷や~ぬる燗の温度帯で楽しむのが特にオススメです。
埼玉県日本酒ランキング3位:帝松 吟醸 社長の酒
出典:松岡醸造 帝松 吟醸 社長の酒 720ml [ 日本酒 埼玉県 ]
「帝松 吟醸 社長の酒」は、上品な香りと酸味、米の旨味が特徴。それぞれの良さが絶妙に調和した吟醸酒です。
見事なバランスにまとめられており、どんな料理とも好相性。そのため普段使いとして楽しみやすく、それでいて高級感のある日本酒なので、ギフトとして利用するのにも最適です。
元々鑑評会出品酒で、社長しか飲むことができなかったため、このような名前が付いた一本。今では、「帝松」定番の吟醸出世酒として多くの人に親しまれています。
埼玉県日本酒ランキング2位:神の泉 純米酒
出典:東亜酒造 神の泉 純米酒 瓶 [ 日本酒 埼玉県 1800ml ]
「神の泉 純米酒」は、米本来の深いコクと、後味柔らかい飲み口が特徴。やや淡麗な味わいで飲みやすい純米酒です。
厳選された国産米と米麹、清冽な水だけで醸された一本。自然な仕上がりは親しみやすく、価格も手頃なため、晩酌酒として非常に優秀です。
甘辛で言うと中口の仕上がりで、酒質は抜群に安定しています。冷酒や冷やで楽しむのはもちろん、温めすぎなければ香味のバランスは崩れないので、ぬる燗で味わうのもオススメです!
埼玉県日本酒ランキング1位:花陽浴 純米大吟醸 山田錦 無濾過生原酒
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画像:amazon.co.jp
「花陽浴 純米大吟醸 山田錦 無濾過生原酒」は、パイナップルのようなニュアンスがある、ジューシーで甘口な味わいが特徴。個性的なフルーティさを持つ純米吟醸酒です。
心地良い酸味があり、その酸は発酵食品と相性抜群。日本酒らしく味わうのも良いですが、グラスに注ぎワインのような感覚で楽しむのもオススメです。
埼玉の代表銘柄であるのと同時に、全国的な超人気銘柄でもある「花陽浴」。その中でも、酒米の王様"山田錦"を使用した同商品は、日本酒初心者~玄人まで、誰もが楽しめるであろう一本です!
(((埼玉県の酒蔵ランキングtop5
埼玉県酒蔵ランキング5位:神亀酒造
神亀酒造は、嘉永元年(1848年)に創業した蓮田市の酒蔵です。
昭和六二年(1987年)に、仕込む酒の全てを純米酒に転換。ランキングで紹介した「神亀」を展開している、戦後初の全量純米蔵です。
「神亀」だけでなく、三年以上の熟成を経ている「ひこ孫」も、同酒造ならではの銘柄として親しまれています。
埼玉県酒蔵ランキング4位:小山本家酒造
小山本家酒造は、文化五年(1808年)に創業した、さいたま市の酒蔵です。
「飲み飽きしないコストパフォーマンスの高い"いい酒"を提供する。」という想いのもと、「金紋世界鷹」やランキングで紹介した「天狗のとぶろく」を展開。他にも、東京の繁栄を願い大正時代に生まれた日本酒「東京盛」など、個性的な様々な銘柄を世に送り出しています。
埼玉県酒蔵ランキング3位:釜屋
釜屋は、寛延元年(1748年)に創業した加須市の酒蔵です。
特定名称酒以上を主体にした、丁寧に醸す昔ながらの酒造りが特徴。釜屋新八が、武蔵野の優秀な酒米、利根川の豊富な水に目をつけて始めた酒造り、その歴史を感じられるような日本酒を楽しめます。
代表銘柄は「力士」です。
埼玉県酒蔵ランキング2位:松岡醸造
松岡醸造は、嘉永四年(1851年)に創業した比企郡の酒蔵です。
秩父山系の、ミネラル豊富な天然水のみを仕込み水として使用。この水は、日本酒に使用されている仕込み水の中では最も硬度が高いとされており、特有のまろみと奥深さを持った、松岡醸造の酒質に大きく貢献しています。
もちろん米にもこだわっており、兵庫県産"山田錦"や埼玉県産"さけ武蔵"など、全国から厳選した酒米を、目指す酒質に合わせて使用。最低でも30%以上磨くことにより、雑味を消して米の特徴を引き出しています。
これらのこだわりを持って日本酒「帝松」を製造。毎年、高いクオリティーで世に送り出される日本酒は、全国新酒鑑評会八年連続金賞受賞という記録からも、名酒であることが窺い知れます。
埼玉県酒蔵ランキング1位:東亜酒造
東亜酒造は、寛永二年(1625年)に創業した羽生市の酒蔵です。
醸す日本酒は、芳醇な香りと口当たりが爽やかなのが特徴。淡麗でやや甘口に仕上がっており、冷やで飲み飽きず、燗なら長く続く旨さを楽しめます。
この酒質を実現しているのは、蔵が培ってきた伝統技術と近代的な醸造技術です。かつて越後杜氏によって守られてきた酒質。現在はその技術を、理論的な裏付けと共に、社員杜氏が受け継ぎ酒造りをしているのです。
代表銘柄は「晴菊」。ランキングで紹介した「神の泉」も東亜酒造が醸しています。
向上し続ける技術に感服!埼玉県の日本酒を楽しんで!
ワイングラスで楽しむのがおすすめの1本など、新しいスタイルの日本酒も造られている埼玉県。歴史と共に、新しい技術を取り入れているその姿勢が数多くの銘酒を生み出している秘密なのかもしれませんね。
今回のランキングを参考に、ぜひともご自身のお好みの1本をみつけてみてください。