この記事では、ウイスキーの種類「シングルモルト」と「ブレンデッド」の違いをご紹介します。本題に入る前に、ウイスキーの原料による種別をカンタンにご説明しますね。大きく分けて二つあります。
1つはモルトウイスキー。発芽させた大麦を主原料としたもののことで、ウイスキーの核ともいえる存在です。
もう1つはグレーンウイスキー。大麦以外の穀物、例えば小麦やトウモロコシなどから作られたウイスキーです。たまに発芽させないままの大麦で作ったものもあります。
この2つをどのように扱うかで、シングルモルトとブレンデッドに違いが出てきます。まずは、ウイスキー造りに欠かせない「モルト」「グレーン」について説明していきます。
モルトとグレーン
モルトとは
モルトは、文字通り「大麦麦芽」のことを指す言葉です。ウイスキーの主原料としても知られていますよね。
モルトのみを使い、ライ麦やトウモロコシといったその他の原料を使わずに単式蒸留器で蒸留されてできたウイスキーが「モルトウイスキー」です。
グレーンとは
グレーンとは、小麦やライ麦、トウモロコシといった穀物のことを指します。大麦麦芽以外にも、これら穀物(グレーン)を用いて発酵させて蒸留したものが「グレーンウイスキー」なのです。
シングルモルトとは?
略して「モルト」とも呼ばれますね。バーの紹介で「シングルモルトの取り揃えが~」というように書かれていることもありますし、どこかで見たことのある単語ではないでしょうか。
お酒としてはどのようなものかといいますと、”一ヶ所の蒸留所で作ったモルトウイスキーだけを混ぜたウイスキー”です。最初からお店で売っているあの味になるわけではなく、特定の蒸留所で作られた複数のモルトウイスキーを混ぜて各銘柄の味になるんですね。
そのため各蒸留所ごとの個性が強いものが多く、同じ銘柄でも熱烈な愛好家もいれば全く受け付けられない人もいます。スコッチは特に顕著で、アイラ系などはまさにその典型例です。ちょっと語弊があるかもしれませんが、「通好み」というとわかりやすいでしょうか。
シングルモルトのオススメ
グレンフィディック12年
世界で初めて、シングルモルトウイスキーとして売り出された商品。フレッシュな洋梨のようなフルーティーな香り、最低12年寝かせた同商品の樽香が複雑に絡み合い、上品な味わいをより一層引き立てます。元祖シングルモルトとして、まだ飲んだことがない方には是非、最初に楽しんで欲しい一本です。
ザ マッカラン 12年
シングルモルトといえばこれ「ザ・マッカラン 12年」。スタンダードなザ・マッカランであると同時に、シングルモルトの最高峰に数えられる、完成された逸品です。
シングルモルトのロールスロイスと讃えられるほどで、そのザ・マッカランらしいドライフルーツのような甘みとスパイス、重厚で華やかな香りは至福のひと時を演出してくれるでしょう。
山崎
最後は言わずと知れた、世界を魅了するジャパニーズウイスキー「山崎」をご紹介。別の樽で寝かされた複数の原酒を組み合わせ、それぞれの個性が調和した逸品です。
柔らかく、優しく広がる華やかな香り、なめらかに広がる甘みが特徴のシングルモルトウイスキー。ギフトでも鉄板の商品ですね。
ピュアモルトとは?
「ピュアモルト」とは、違うシングルモルトをブレンドして造られたウイスキーのことを指します。ピュアモルトの他に「ブレンデッドモルト」とも言われることがあります。(ピュアモルトを用いるのは、主に日本で海外ではブレンデッドモルトが主流です)
ブレンドされてはいるものの、使用しているのはすべてモルトウイスキー。モルトウイスキー同士をブレンドして、より飲みやすいアレンジにしてるウイスキーでもありますので、初心者にも手に出しやすいのではないでしょうか。
特に、日本のピュアモルトは非常に評価が高いことからも、日本のブレンド技術の高さが伺えますよね。
ピュアモルトのおすすめウイスキー
竹鶴ピュアモルト
ニッカウヰスキーの創業者である竹鶴政孝さんの名前を付けたブランドである「竹鶴」のピュアモルト。
厳選したモルトを用いた、贅沢な味わいのピュアモルト(ブレンデッドモルト)です。キーモルトは、シェリー樽熟成の余市モルトと宮城峡モルト、
リメード樽熟成の宮城峡モルト。
りんごや杏のようなフレッシュな果実の香りと、バニラを感じさせるふくよかな樽香。味わいは、オレンジのニュアンスを感じさせながらモルトやピートもしっかりと感じられるコクと、心地よい余韻を感じさせる優雅な仕上がりになっています。
ブレンデッド
より正確に言うならブレンデッド・ウイスキーですが、くどいので省略しますね。こちらは複数のシングルモルトにグレーンウイスキーを加え、より味の調和を図ったものです。かといって没個性というわけではありません。合わせるシングルモルトの銘柄やそれぞれの割合によって、全く違うものができます。
全くウイスキーを飲んだことがないという方は、こちらから入ってみるととっつきやすいでしょうかね。バーでも単純に「ウイスキーでハイボールを」と言った場合はメジャーなブレンデッドで作ることが多いようです。
また、少数派ではありますが「ヴァッテッド」というタイプもあります。法律が変わってしまって、現在はこの表記をすることはできなくなっているのですが、これは”複数の”蒸留所で作ったモルトウイスキーを混ぜたものです。
シングルモルトの変り種、あるいはグレーンウイスキーを入れないブレンデッドと見ることもできます。味としても両者の中間的な立ち位置です。あまり銘柄数が多くないので、飲める機会はなかなかないかもしれません。以前はとある超メジャーな会社が定番商品として出していたんですが、最近廃盤になってしまいました。私も愛飲していたのでとても残念です……。
ブレンデッドのオススメ
ブラックニッカ クリア
圧倒的な地名度を誇る、ブレンデッドウイスキーが「ブラックニッカ クリア」。ウイスキーといえばこれ、という印象の方も多いのではないでしょうか。
クセのないスッキリとした味わいは、飲みやすく飽きがこない。様々なカクテルにも使い安い、定番のブレンデッドウイスキーです。
ジョニーウォーカー ブラックラベル 12年
12年以上熟成された、様々な原酒をブレンドすることにより、ジョニーウォーカーらしい複層的な味わいに仕上がっています。
豊かな香りとコクが特徴ですが、様々な味覚的要素が詰まった一本なので、飲む度に新しい一面が発見できるような、奥深いブレンデッドウイスキーと言えるでしょう。
シーバスリーガル ミズナラ12年
シーバスリーガルのマスターブレンダー"コリン・スコット"が、日本のウイスキーファンのためにブレンドした至極の一本。日本原産の希少なミズナラ樽を使用しています。
幾重にも重なる良質なフレーバー、繊細な甘み、なめらかな舌触りが心地よく、トータルでバランスの取れた、日本人好みの逸品と呼べるのではないでしょうか。
まとめ
いずれもキーワードとなるのは”味のバランス”。
視覚的なイメージで言えば、絵の具を混ぜて微妙な色合いを生み出すのに似ているかもしれません。元の色(モルトウイスキー)を殺してしまうのではなく、それぞれを調和させるのはなかなか大変で、”ブレンダー”という専門職の方がいるくらいです。
もし「ウイスキーって味も度数もキツすぎて苦手」という場合は、シングルモルトしか飲んでいないなんてことがあるかもしれません。その場合はブレンデッドの有名な銘柄を飲んでみると、違う発見があると思いますのでぜひ試してみてください。