全国屈指の日本酒の名産地として知られる福井県。日本酒ファンでなくとも、聞いたことがある銘柄が多数生まれる場所です。
今回は、そんな福井県で造られる日本酒のおすすめ商品をランキング形式で10本ご紹介。さらに、福井県の日本酒の特徴や人気の酒蔵なども合わせて解説していきたいと思います。
福井県の日本酒の特徴
もちろん、蔵による違いはありますが、福井県の日本酒の特徴として語られることが多いのが「淡麗辛口」という点。
この特徴を表すことで大切なのが、米と水です。
福井県の日本酒の味わいを支える「米」について
酒米として最も有名なのが「山田錦」ですが、それと同じくらいポピュラーなのが「五百万石」。全国各地で栽培されている酒米ではありますが、福井県は生産量が新潟県についで2位を誇ります。
「五百万石」を使用した日本酒の味わいとしてあげられるのが淡麗。この酒米をメインに使用することで、福井県はすっきりとした淡麗辛口の味わいになることが多いとされているのです。
福井県の日本酒に使われる「水」について
福井県の日本酒に使用されている水も、味わいに大きな影響を与えます。
「名水があるところに、名酒が生まれる」と日本酒好きの間では言われますが、福井県の水は、「白山」系が源流の水。この水には、酵母を活性化させるミネラル成分を多く含むことで知られています。そのため、日本酒造りには最適。
米と水。これら自然の恵みが豊富なことからも、福井県は日本酒の名醸造地として名を馳せているのです。
エリアごとの特徴
福井県は4つのエリアに大別できるので、エリアごとの日本酒の特徴を紹介します。
奥越地区
奥越地区は、福井県の北東部の大野盆地と周辺の山地のエリア。九頭竜湖をはじめとする、豊かな水源に恵まれた地域であり、それを活かした酒造りが特徴です。
有名な酒蔵は高級酒専門蔵である真名鶴酒造や、"香味のきれいさ、真骨頂の後キレ"をテーマにしている一本義久保本店。どちらも米はもちろん、このエリアならではの水を活かした酒造りをしています。
嶺北地区
嶺北地区は、日本海に面した木ノ芽峠以北のエリア。越前地方と呼ばれる地域がこのエリアなので、"越前の地酒"を楽しみたいなら是非チェックしてみてください。
有名な酒蔵は黒龍酒造。自然と人との調和を目指している酒蔵なので、「黒龍」や「九頭竜」からは、この地域ならではの自然の恵みを感じられること間違いなしです。
丹南地区
丹南地区は、福井県の中央あたりのエリア。物作りが盛んな地域であり、伝統的な技術が受け継がれていることが特徴です。
有名な酒蔵は加藤吉平商店。日野川の伏流水を使用した、伝統的な手造りの酒造りにより送り出されている日本酒からは、同エリアらしい伝統の技を活かした味わいを楽しめるでしょう。
嶺南地区
嶺南地区は、リアス式海岸でも知られる福井県の一番南側に位置するエリア。若狭町の三方五湖や瓜割の滝など、豊かな自然と水に恵まれていることが特徴です。
有名な酒蔵は敦賀酒造。寛永19年(1642年)創業の老舗が造る、県内産100%の酒米を使用した銘柄からは、この地域とともに根付いた古き良き日本酒の姿を見ることができます。
酒米
福井県の日本酒の特徴には、「おくほまれ」「越の雫」「神力」といった、"福井県ならではの酒米が使用された銘柄がある"ということも挙げられるでしょう。
近年だと、平成二十二年(2010年)から福井県で開発がスタートした、県オリジナル酒米品種「さかほまれ」の清酒が県内17酒蔵から発売となり盛り上がりました。より福井県ならではの日本酒を楽しみたいのであれば、これらの酒米に注目して選んでみるのがオススメです!
福井県の日本酒ランキングtop10
福井県日本酒ランキング10位:梵・ゴールド
加藤吉平商店「梵・ゴールド」は、その名前の通り黄金色のお酒の色が特徴的な純米大吟醸酒。ふわりと優しく透き通るような香り、水のように滑らかな口当たり、爽やかでありながら旨味や酸味、苦味といった存在感をしっかりと感じられる味わいが特徴。芳醇旨口タイプの日本酒です。
この、うっとりとするような美しい「黄金色」は、マイナス10℃で氷温熟成されたお酒をブレンドした無ろ過の生酒が造り出す旨味を閉じ込めた色です。兵庫県特A地区で契約栽培された酒米「山田錦」を50%まで精米し、その個性を最大限活かしています。日本はもちろん、アメリカやイギリスでも受賞歴のあるこのお酒は、まさしく世界的スタンダードな一本と言えます。
「梵・ゴールド」は、冷酒や冷やで飲むのがオススメ。また、ぬる燗にして豊かな旨味をより引き出すのも良いでしょう。バランスのいい味わいは、和洋食ともにさっぱり系の料理の良さを引き立てます。
福井県日本酒ランキング9位:九頭龍 大吟醸
出典:★・【日本酒】九頭龍(くずりゅう) 大吟醸 720ml
ランキング9位は、今や福井の酒を語る上で外すことのできない黒龍酒造の「九頭龍 大吟醸」です。サラリとした酒質の中にある、洗練された深いコクや酸のあるやや辛口の味わいが特徴。控えめな果実香と、どこか懐かしいような甘やかな香りもなんとも魅惑的です。
このお酒は“燗用の大吟醸”として2004年に生まれたというユニークなお酒。こだわり抜いた酒造りが醸し出している、素晴らしい熟成や落ち着いた雰囲気を思う存分に楽しめる日本酒です。
そんな「九頭龍 大吟醸」を飲む際は是非とおもぬる燗や上燗で!さっぱりとした刺し身や酢の物から、贅沢にお肉を楽しめるすき焼きなど、幅広い料理に合わせやすい一本です。
福井県日本酒ランキング8位:鳳凰源平 純米大吟醸
出典:玲瓏源平 大吟醸 [ 日本酒 福井県 1800ml ]
源平酒造の「鳳凰源平 純米大吟醸」は、山田錦を48%まで精米して造られる贅沢な純米大吟醸酒。華やかでフルーティーな香り、キレが良くしっかりとしたお米の旨味も感じられる味わいが特徴の、とてもバランスの良いお酒です。
350年という長い歴史を持つ源平酒造で、この「鳳凰源平」シリーズは2021年に登場。かつて殿様の御用水にも使われたという名水百選「御清水(おしょうず)」を仕込み水に用いるこのお酒は、美麗な鳳凰をあしらったラベルも印象的です。普段遣いだけでなく、ちょっとしたプレゼントにも喜ばれます。
オススメの飲み方は、キリッと冷やした冷酒で。ゆっくりと楽しみながら、温度による味わいの変化を感じ取ってください。
福井県日本酒ランキング7位:伝心 [雪]
出典:【日本酒】伝心(でんしん) 雪 純米吟醸 1800ml
「伝心 [雪]」は、麹米に山田錦、掛米に五百万石を使用。精米歩合は55%の純米吟醸酒です。穏やかな香りで滑らかな口当たりで、ややフルーティーな透明感のある清々しい味わいが特徴。とても飲みやすく、正しく「雪」のような綺麗な酒質の、やや辛口の日本酒です。
雪深い盆地に蔵を構える一本義久保本店の想いが、まさに"伝心"するこだわりの一本。ピュアな仕込み水のような印象が特長的なこの酒には、伝心ブランドの中でも「雪」の名前が付けられています。飲みやすさだけでなく、白と銀で構成された瓶のデザインも印象的です。
この綺麗なお酒「伝心 [雪]」は、キリッと冷やした冷酒やでのめばスッキリと、ぬる燗にすると穏やかで柔らかにふくらむ旨味も楽しめます。
福井県日本酒ランキング6位:奏雨-sow-
出典:真名鶴酒造 純米大吟醸 奏雨 “sow” 1800ml
ランキング5位の「奏雨-sow-」は、五百万石を使用した純米大吟醸酒で、日本酒度-18という甘口のお酒です。主張しすぎないスッキリとした上品な甘さと、柑橘類を思わせるジューシーで爽やかな酸味が絶妙なバランス。どこか清涼感を強く感じる、"雨が奏でる音色"のような爽快な日本酒です。
越前大野の銘水を仕込に用いる真名鶴酒造は、全製品吟醸規格の“高級酒専門”にこだわる蔵元。「奏雨-sow-」は2010年に白麹仕込のクエン酸高生成純米吟醸酒として誕生し、国内外から高い評価を受けています。
その清涼感を活かすためには冷酒で。炭酸割りでもバランスそ崩さず美味しいという、ニュータイプな一品です。白身魚メインの料理やサラダなど、淡白な味付けと好相性です。
福井県日本酒ランキング5位:花垣 純米吟醸
ランキング5位の「花垣 純米吟醸」は、選び抜いた酒造好適米を50%まで精米し、低温長期発酵でじっくりと醸したお酒。穏やかながら華やかに香る吟醸香とお米の旨味と酸味、やや苦味を感じる心地良い味わい、スッキリとまとまった後口の良さが特徴的です。
“手造りに徹して目の届く量を丁寧に醸し、より高品位の酒を世に送り出す”を理念にした南部酒造場。水や米はもちろん、卓越した技術が集結したこの純米吟醸は、蔵の実力を感じ取れる、毎日の晩酌にも楽しみたくなるような素晴らしい一本です。
十分冷やして飲めばスッキリとした華やかさと後口、ややぬるめの燗で飲むとお米の良さをたっぷり楽しめるこのお酒。天ぷらなどの和食はもちろん、ソテーなどの洋の味わいにも合わせられます。
福井県日本酒ランキング4位:花垣 純米 にごり
同じく南部酒造場の「花垣 純米 にごり」は、"旨味を存分に楽しんでもらうため純米で仕上げた"という、こだわりの日本酒です。お米の旨味をたっぷりと含んだ米の旨味とじんわりと優しい甘み、全体を引き締める柔らかな酸味が特徴。とろりと舌を包み込むような、にごり酒らしいまろやかさがたまりません!
日本酒の“コクやうまみ”といった魅力を伝えることを目指す蔵元が、そのお米の実力を最大限に引き出すために造りあげたこのこだわりのにごり酒。「ワイングラスでおいしい日本酒アワード」「全国燗酒コンテスト」での受賞歴もあるなど、多くのコンテストでその実力を認められています。
「花垣 純米 にごり」は、オン・ザ・ロックや冷酒、お燗まで幅広い飲み方で美味しく楽しめます。季節を問わず楽しめる味わいなので、旬の料理に合わせる飲み方をお試しください。
福井県日本酒ランキング3位:華燭 本醸造
豊(ゆたか)酒造の「華燭 本醸造」は、福井県産五百万石を65%まで精米して造られる一本。ややアルコールを感じる穏やかな香りと、本醸造らしさを感じるコクのある甘味と旨味が特徴。酸味や苦味も感じられる、日本酒ならではの良さを楽しめる王道タイプの一品です。
豊酒造は、杜氏を雇わず蔵元が自ら酒造りを行っています。現在の佐々木克宗氏は、能登・新潟・丹波という3つの杜氏のもとで修行し、さまざまな技術を習得したという実力派の“酒造り人”。豊かな自然に育まれた材料と培われた技術が醸す日本酒は「食に寄り添う地酒」として地元の人々に愛されているのです。
やや甘口の仕上がりは、冷やしても温めても良さを発揮します!一年中楽しめるような安定した美味しさの日本酒なので、気取らない普段遣いの料理と合わせて日々の晩酌のお供に最適です。
福井県日本酒ランキング2位:黒龍 大吟醸
黒龍酒造の「黒龍 大吟醸」は、⼭⽥錦を50%まで精米して造られます。穏やかな吟醸香とふくよかさを持つ香りで、滑らかな口当たりが印象的。口の中では旨味や酸、渋みがゆっくりとほぐれるように舌を刺激していきます。喉越しはクリアで爽やかな飲み心地でやや余韻が残ります。しなやかできめ細やかな酒質の気品のある日本酒です。
日本酒の歴史の中で、全国に先駆けて“吟醸酒”を販売したと言われる黒龍酒造。屋号をそのまま使用した魂のお酒「黒龍」ブランドの中で、この大吟醸は比較的入手しやすいのも嬉しいところです。
「黒龍 大吟醸」は、冷酒で飲むのが特にオススメです。やや淡麗のバランスの良い味わいを素直に楽しめます。刺身やカルパッチョ、塩でいただく天ぷらなど、素材を存分に生かした料理と相性抜群です!
福井県日本酒ランキング1位:梵・特撰純米大吟醸
「梵・特撰純米大吟醸」は、兵庫県特A地区産契約栽培"山田錦"を38%まで精米した原料米を使用した贅沢な造りの日本酒。グレープフルーツや青リンゴなどを思わせるスッキリとした吟醸香、なめらかな口当たり、しなやかにどこまでも伸びていく深い味わいが特徴。「梵」の純米大吟醸酒の定番の一本です。
氷温熟成したお酒をブレンドして造りあげられる「梵」は、最適な温度や飲み頃を追求して管理されています。飲みやすさとしっかりした味わいを両立させた万能の日本酒として、大切な方へのプレゼントにもオススメしたいお酒です!
飲み方としては、冷酒からややぬるめの燗酒まで幅広く楽しめます。刺身や寿司、天ぷらといった定番料理から、ローストポークなど肉料理にも合わせられます。福井県の郷土料理「にしん寿司」と一緒に楽しめば、最高の福井県らしさを楽しめてしまうかも?
福井県の酒蔵ランキングtop7
福井県酒蔵ランキング7位:一本義久保本店
「一本義久保本店」は、明治三十五年(1902年)に創業した勝山市の酒蔵です。
奥越前地酒として「一本義」、限定流通酒として「伝心」を製造。"香味のきれいさ、真骨頂の後キレ"をテーマに両ブランドを仕上げています。
福井県酒蔵ランキング6位:真名鶴酒造
「真名鶴酒造」は、宝歴年間(江戸時代中期)より続く大野市の酒蔵です。
機械に頼らず全量手造りで、ランキングでも紹介した「奏雨-sow-」を始めとする日本酒を製造。 伝統的な手法を守りつつも新しい味わいの酒造りを目指している、全製品吟醸規格の高級酒専門蔵です。
福井県酒蔵ランキング5位:源平酒造
「源平酒造」は、延宝元年(1673年)に創業した大野市の酒蔵です。
料理の味わいが引立つ日本酒として「源平」を製造。市内のあちこちから名水が湧き出る"越前大野"の自然を活かし、飲み飽きしない酒造りを行っています。
福井県酒蔵ランキング4位:南部酒造場
「南部酒造場」は、享保十八年(1733年)に創業した大野市の酒蔵です。
"手造りに徹して目の届く量を丁寧に醸し、より高品位の酒を世に送り出す"を理念に「花垣」を製造。純米酒に並々ならぬこだわりを持っており、平成九年(1997年)に全量特定名称酒を達成すると、現在はその半分を純米酒が占めています。
福井県酒蔵ランキング3位:豊酒造
「豊酒造」は、宝暦三年(1753年)に創業した鯖江市の酒蔵です。
"越前の水はいい。水がいいから米がいい。米がいいから酒がうまい。"を座右の銘として酒造りを実施。能登、新潟、丹波の三流派の杜氏のもとで修業し、数々の技法を習得した現蔵元のもと、"食に寄り添う地酒"として「華燭」を世に送り出しています。
福井県酒蔵ランキング2位:黒龍酒造
「黒龍酒造」は、文化元年(1804年)に創業した吉田郡の酒蔵です。
"自然と人との調和を目指し、豊かな生活文化を創造する。"という理念のもと、「無二」「黒龍」「九頭龍」を製造し販売。
特に"かたくななまでにこだわり続ける。"という想いのもと送り出されている「黒龍」と、"ずっとそばにいる。かけがえのない日々の。"という想いのもと送り出されている「九頭竜」は日本酒ファンに人気です。
福井県酒蔵ランキング1位:加藤吉平商店
「加藤吉平商店」は、万延元年(1860年)に日本酒製造を始めた鯖江市の酒蔵です。
完全無添加の純米酒のみにこだわっているのが特徴。また、国内トップクラスに米を磨いたり、氷温熟成で仕上げたりすることで、透き通った味わいでありながら、芳醇な香りとなめらかな口当たりの「梵」を造り上げています。
まとめ
黒龍や梵など、錚々たる有名銘柄が並んだ福井県の日本酒ランキング。
気になった銘柄は見つかりましたか?今回ご紹介した日本酒以外にも、様々な美味しい日本酒が福井県では造られています。
記事を参考に、ご自身のお気にいりの1本を見つけてみてくださいね!