ワイン好きの人の中でもファンの多い「ピノ・ノワール」を使ったワイン。高級ワインとして有名な”あの銘柄”もピノ・ノワールを使った1本なんです。
今回は、ピノ・ノワールの味の特徴や原産国ごとの傾向を徹底解説!さらに、筆者がおすすめする人気のピノ・ノワールのワインをランキング形式で10本ご紹介します。
ピノ・ノワールのワインを選ぶ際には、ぜひ参考にしてみてください。
「ピノ・ノワール」ってどんなブドウ?
ピノ・ノワールはフランスのブルゴーニュ地方が原産の赤ワイン用のブドウ品種です。
冷涼で乾燥した気候と水はけのいい石灰質土壌を好み、これらの条件が揃う土地で栽培されると最上のワインを生み出す可能性を秘めています。例えば、超高級ワインとして有名な『ロマネ・コンティ』も、実はピノ・ノワールから造られているワインなのです。
ですが、ピノ・ノワールの栽培は一筋縄ではいきません。病気に弱く、暑いエリアでは繊細で華やかな香味を失いやすいなど、栽培がとても難しい品種でもあるのです。
ピノ・ノワールのワインの特徴は
ピノ・ノワールのワインは、基本的に淡く明るい色調と、チェリーやイチゴなどの赤い果実やバラのような香り、渋みが少なく酸味がやや強めの繊細で上品な味わいが特徴です。また、熟成させることによって、紅茶やキノコ、なめし皮のような複雑な香りが現れます。
とはいえ、同じピノ・ノワールのワインであっても、産地が変わると特徴も少しずつ変わってきます。以下、代表的な産地ごとに、その特徴を見ていきましょう。
ピノ・ノワールの産地と特徴
フランス・ブルゴーニュ地方
ブルゴーニュ地方はフランスの東部に南北300㎞にわたって広がるワインの生産地で、世界を代表するピノ・ノワールの産地でもあります。
そのなかでも特に有名なピノ・ノワールのワインの産地は「コート・ド・ニュイ地区」。この地区で生産されるワインのほとんどがピノ・ノワールのワインで、かのロマネ・コンティもこの地区で造られています。
同じ地区でも、村や畑の区画ごとに微小に気候が異なるため、ワインの性質は少しずつ異なりますが、赤い果実やバラ、トリュフなどの魅惑的な香りに、気品と優雅さを兼ね備えた味わいが特徴です。
また、ブルゴーニュ地方では「コート・ド・ボーヌ地区」でも、高品質なピノ・ノワールの赤ワインが生産されています。
この「コート・ド・ニュイ地区」と「コート・ド・ボーヌ地区」を合わせて「コート・ドール(黄金の丘)」と呼ぶのですが、まさに黄金の名にふさわしい銘醸地です。
アメリカ
アメリカはフランスに次いでピノ・ノワールの栽培面積が広い産地です。
なかでもカリフォルニア州の冷涼な地域やワシントン州、オレゴン州などでピノ・ノワールの素晴らしいワインが生み出されています。
やはり地域ごとに特徴は少しずつ異なりますが、アメリカのピノ・ノワールのワインは、おおむね繊細さは残しつつも、完熟した果実の甘さが鮮やかに現れたスタイルになります。
ドイツ
ドイツといえば白ワインのイメージが強いかもしれませんが、実は近年、ピノ・ノワールのワインの優良産地として注目を集めています。その背景にあるのは地球温暖化。
かつては寒すぎてピノ・ノワールの栽培には向かなかったのですが、温暖化の影響によって気温が上がり、良質なピノ・ノワールのワインが生み出されるようになったのです。
ドイツのピノ・ノワールのワインは、ブルゴーニュのものよりも酸味がやや強めで、渋みは少なく、より繊細な印象のワインになります。
プロが選んだ!おすすめのピノ・ノワールの赤ワイン
10位 ジェイコブス・クリーク リザーヴ ピノ・ノワール
ジェイコブス・クリークはオーストラリアで170年以上の歴史を持つワイナリー。同国内でもNo.1のシェアを誇り、世界的にも抜群の知名度を誇っています。
こちらのワインに使用されているピノ・ノワールが栽培されているのは、南オーストラリア州のアデレード・ヒルズ。繊細で複雑味のあるフレーバーをもつブドウが育つ、オーストラリア国内の最高級の冷涼産地のひとつです。
ブラックチェリーやイチゴの香りに、スパイスのニュアンス、チェリーのような果実味と酸味が調和した上品な味わいが特徴的。
ローストチキンやミートソースのパスタなどとよく合います。
9位 マクマレー セントラルコースト ピノ・ノワール
マクマレーは、かの有名なハリウッドスター、フレッド・マクマレー氏がかつて所有していた、カリフォルニアのピノ・ノワールのワイン造りの特化したワイナリーです。ベストなバランスのワインに仕上げるため、カリフォルニアの複数の地区のブドウが使用されています。
ブラックチェリーやラズベリーの香りに、スパイスのニュアンス、なめらかな舌触り、豊かな果実味とソフトなタンニンがもたらす上品な味わいが特徴的。
鶏肉のトマト煮込みやローストポークなどの料理とよく合います。もちろん、ハリウッド映画鑑賞のお供にも!
8位 エルヴェ・ケルラン ピノ・ノワール
エルヴェ・ケルランは「手ごろな高級品」を造ることをコンセプトに掲げるフランスのブルゴーニュ地方のワイナリーです。そのコンセプト通り、コストパフォーマンスが高いワインを生み出しています。
ブルゴーニュ地方のピノ・ノワールを使用したこちらのワインは、赤い果実や花などの心地よい香りに、程よく複雑味を持った味わいが特徴的。リーズナブルな価格で本場の味わいが楽しめる1本です。
焼き鳥や鶏の照り焼き、グリルチキンなど、鶏肉を使ったカジュアルな料理とよく合います。
7位 ロバート・ヴァイル・ジュニア シュペートブルグンダー
ロバート・ヴァイルはドイツのラインガウに1868年に創業した、かつてはドイツ皇帝も愛したという名門ワイナリーです。
こちらの「ロバート・ヴァイル・ジュニア」は、2020年に発売されたばかりの食事によく合う辛口ワインのシリーズ。「シュペートブルグンダー」とはドイツにおけるピノ・ノワールの呼び名。
ラズベリーやチェリー、アセロラ、バラなどの香りに、軽やかな酸味と程よいタンニンが特徴の、チャーミングな印象の1本です。冷涼な気候のドイツならではの個性があり、ドイツのピノ・ノワール入門にもおすすめの1本と言えるでしょう。
生ハムやソーセージ、パテ・ド・カンパーニュなどのシャルキュトリーと抜群の相性です。
6位 プロフェッツ・ロック ロッキー・ポイント ピノ・ノワール
プロフェッツ・ロックは1999年創業の、ニュージーランド南島のセントラル・オタゴに拠を置くワイナリーです。セントラル・オタゴは南緯45度に位置する、世界最南端のワイン産地のひとつで、大陸性気候のため昼夜の寒暖差が大きく、ブドウは適度に酸を保持しながら成熟します。
こちらのワインはセントラル・オタゴならではの個性が際立っており、熟したベリーの香りやスムースな舌触り、果実の凝縮感と上品なハーブやスパイスの風味が特徴的。
ラム肉やジビエ、サーモンを使用したお料理と相性抜群です。
5位 ミッシェル・トリノ コレクション ピノ・ノワール
ミッシェル・トリノはアルゼンチン北部、カファジャテを代表するワイナリーのひとつです。カファジャテは1年のうち340日以上が晴天で一日の寒暖差は最大25℃、空気も乾燥しており、『高品質なワイン「しか」造れない』とも言われています。
また、湿度が低いためブドウが病気にかかりにくく、「アルゼンサート」という有機認証機関認定の有機ブドウを使用してワイン造りをおこなっているのも特徴です。
スミレや赤い果実を思わせる鮮やかな香りに、シナモンやナツメグのニュアンス、フレッシュで凝縮した果実味とバランスのよい爽やかな酸の調和した柔らかな飲み口が特徴的。
価格も手ごろで、オーガニックのため、お財布にも身体にも優しい1本と言えるでしょう。
ハンバーグやミートローフのほか、ピーマンの肉詰めなどとも抜群の相性です。
4位 コノスル オーガニック ピノ・ノワ-ル
コノスルは1993年に創業したチリのワインメーカーです。恵まれた気候風土と最新の醸造技術を駆使し、チリのワイン業界をリードするワイナリーのひとつとなっています。
こちらのワインは、エコサートの認定を受けた有機栽培のピノ・ノワールのみを使用して造られているオーガニックワインです。
ストロベリーやプラムなどの香りに、凝縮された果実味、きれいな酸味と柔らかなタンニンが調和した優しい味わいが特徴的。チリのワイン造りの実力を感じさせてくれる1本です。
グリルチキンや野菜のパイ、キッシュ全般などとよく合います。
3位 トロ・ボー アロース・コルトン
トロ・ボーはフランス・ブルゴーニュ地方のショレイ・レ・ボーヌに拠を置く、19世紀末からワイン造りをおこなう由緒正しいワインの造り手です。その洗練されたワインのスタイルから、ブルゴーニュワイン愛好家の間でも高い評価を得ています。
アロース・コルトンはブルゴーニュ地方のコート・ド・ボーヌ地区にあるワイン生産地区のひとつ。コルトンの丘の斜面に広がる美しいブドウ畑から、優雅と気品に満ちたすばらしいワインが生み出されています。
ブラックベリーやダークチェリーなどの濃厚な果実や赤いバラの香りに、厚みのある果実味と心地よい酸味が特徴的。繊細な味わいの中にもしっかりとした力強さが感じられ、飲み込んだ後にも果実の風味が余韻となって長く口の中に残ります。
ローストビーフや鴨のロースト、スペアリブのオーブン焼きなどと抜群の相性です。
2位 オー・ボン・クリマ ピノ・ノワール ツバキラベル サンタ・バーバラ・カウンティ
オー・ボン・クリマ(Au Bon Climat)はカリフォルニアのセントラルコーストのサンタ・バーバラ・カウンティにあるワイナリー。その頭文字をとって通称「ABC」と呼ばれています。
オーナー兼ワインメーカーであるジム・クレンデネン氏は、「ブルゴーニュの神様」と呼ばれるアンリ・ジャイエ氏に師事。以来、ブルゴーニュ・スタイルのエレガントなワイン造りに徹しています。
産地のサンタ・バーバラは冷涼な太平洋の影響を強く受け、昼夜の寒暖差が大きく、ピノ・ノワールの栽培に最適な場所として知られています。
熟したラズベリーやバラの花などの芳醇な香りに、甘酸っぱいベリーのような果実味に、柔らかなタンニンが織り成す奥深く複雑な味わいが特徴的。ワイン通も納得の1本です。
トリュフソースパスタやチキンの香草焼き、サーロインステーキなどとよく合います。
1位 ジュヴレ・シャンベルタン 2015 ブシャール・ペール・エ・フィス
堂々の1位に輝いたのが、ブルゴーニュ地方コート・ド・ニュイ地区のなかでも銘醸地として知られる、ジュヴレ・シャンベルタンのワインです。ジュヴレ・シャンベルタンのワインといえば、フランスの英雄・ナポレオンに愛されていたことで有名で、「ブルゴーニュの王」「王のワイン」などと呼ばれています。
生産者のブシャール・ペール・エ・フィスは1731年に創業した伝統ある生産者。その土地の個性(いわゆる「テロワール」)を忠実に表現したワイン造りを目指しているのだそう。
熟したチェリーやプラム、イチジクのコンポートなどを思わせる香りに、厚みのある果実味、上品な酸味とタンニンが調和。優雅さと力強さを兼ね備えた、まさに「王」と呼ぶのにふさわしい堂々たる味わいです。
ローストビーフやビーフシチュー、牛肉の赤ワイン煮込みとよく合います。
余談ですが、インスタでハッシュタグ「BOUCHARDPEREETFILS」をつけて公開すると、生産者の公式アカウントから直々にリアクションとコメントを頂けました。インスタをされている方はぜひ試してみてください。
さまざまな産地や生産者のピノ・ノワールのワインを楽しもう
渋みがそれほど強くなく、上品な味わいのワインを生み出すピノ・ノワール。多くのワイン愛好家を魅了し、渋い赤ワインが苦手な方にも比較的飲みやすい品種であると言えるでしょう。
ぜひこの記事を参考に、さまざまな産地や生産者のピノ・ノワールのワインを開拓してみてください。そうすれば、文字だけでは伝えることのできないピノ・ノワールの魅力の奥深さを実感できることでしょう。