お酒を飲んでいるとふと疑問に思うことの1つがスピリッツとリキュールの違いですよね。
なんとなく似ていますが実際は全然違います。
スピリッツとリキュールの違いを知ることで好きなお酒の特徴を整理することができるので、飲みに行く人の好みのお酒を勧めることもできます。
それぞれの種類の代表的な銘柄も紹介するので、気になるお酒も見つかること間違いなしです。
スピリッツとは
そもそもお酒は醸造酒と蒸留酒、混成酒の3種類に分けられ、そのうちの蒸留酒全般をスピリッツと定義しています。
そのうち、穀物や果物などをアルコール発酵させた醸造酒を蒸留器で加熱し、水よりも沸点の低い気化アルコールを集めて冷却させたものがスピリッツです。
その特徴は、日本酒やワインなどの醸造酒よりもアルコール度数が一番高いことです。発酵だけだと一般的にアルコール度数は10~20度しかなりませんが、蒸留することでアルコールを40度以上に上げることができます。
蒸留のさせ方、回数によっては90度前後までアルコール度数を高めることができ、高温で熱してるくることや体が燃えるようなアルコール度数から「火の酒」と称されます。
スピリッツができるまで
スピリッツの製造工程は紹介の通り醸造酒が造られて、それを蒸留することによってできます。
蒸留とは複数の成分が混ざった液体に熱を加え、沸点の違いを利用して特定の成分だけを分離させることです。
水の沸点約100℃とアルコールの沸点が約78℃なので沸点の差を利用し、蒸留をすることでアルコール度数を高めることができます。
また何度も連続して蒸留することでさらにアルコール度数が高く不純物の少ない蒸留酒ができます。
4大スピリッツとは
スピリッツは、それぞれの地域で手に入る原料を使うことから様々な香味を楽しめることが特徴ですが、中でも4大スピリッツと呼ばれる蒸留酒が有名です。
聞き馴染みの深いお酒だと思いますがそれぞれ紹介していきます。
ジン
様々な原材料で造られるスピリッツで蒸留法もあまりウォッカと変わりませんが、必ずジュニパーベリーを使用するのが特徴です。
ジントニックやジンバックなど飲みやすいカクテルも多いので飲んだことがある人も多いのではないでしょうか?
イギリスやオランダ、ドイツなどで主に製造されていますが近年では日本でも作られており、毎年様々な銘柄がリリースされています。
ジンについては「ジンの魅力を再発見!意外な起源やおすすめの飲み方もご紹介」で詳しく解説しています。
ウォッカ
ウォッカは大麦やライ麦、じゃがいも、とうもろこしなど多様な原材料で作られる蒸留酒。ロシアやポーランド、北欧で製造が盛んで無色透明で無臭の強いお酒です。
ウォッカの本場ロシアでは体を温めるためにストレートで飲む習慣もあります。
こちらもソルティードッグやスクリュードライバーなど飲みやすく見た目も華やかなカクテルが多いので気になったら飲んでみてください。
ウォッカについては「世界4大スピリッツ「ウォッカ」の美味しい飲み方&オススメ銘柄を紹介!」で詳しく解説しています。
ラム(ラム酒)
ラム酒は、サトウキビを原料として作られる蒸留酒。砂糖を製造した後のサトウキビの残材を原料とするのが主流で、絞り汁からつくるラムは少数です。
ラム酒の発祥については諸説ありますが、17世紀のカリブ海の島が原産とされています。木樽で熟成させるため色がつきますが、活性炭で濾過した透明のものがカクテルベースとして人気があります。
ラム酒については「初心者におすすめ!人気のラム酒20選~タイプ別で徹底解説~」で詳しく解説しています。
テキーラ
テキーラはアガベという植物を主原料にした蒸留酒です。テキーラを名乗るためにはメキシコ産アガベを使用し、テキーラ村周辺で製造されていることなど厳格な規定があります。
甘い風味を楽しむことができるのが特徴で、カクテルはもちろんライムや塩とショットで楽しまれています。
テキーラについては「これを飲めばハマる!初心者にオススメの飲みやすいテキーラをご紹介」で詳しく解説しています。
その他のスピリッツ
焼酎も蒸留酒なのにスピリッツではないのかな?と思った方もいるのではないでしょうか?日本では酒税法に基づいてウイスキーとブランデー、焼酎を除いたエキスが2%未満の蒸留酒をスピリッツと定義づけていますが、実はスピリッツは4大スピリッツ以外にもあります。
具体的には4大スピリッツ以外は
・焼酎
・泡盛
・ウイスキー
・ブランデー
などが有名です。
リキュールとは
リキュールとは混成酒の1つで蒸留酒をベースに香草や果実などの副材料で風味を移し、さらに甘味や着色料などを添加したお酒です。カクテルだけでなく、お菓子作りの香り付にも使用されます。
リキュールは蒸留酒と副原料のエキスを足したものとされています。例外はありますが、スピリッツと比較してアルコール度数が低いことも特徴の1つです。
リキュールの歴史
リキュールの発祥
古代アテネ時代にワインに薬草を溶かし込んだ薬酒を作ったことが、リキュールの起源だと言われています。
それをヒントに11世紀から13世紀頃に蒸留酒をベースにより薬草を溶け込ませ、そこに蜂蜜やシロップを使ったものが誕生します。
そして大航海時代に香辛料やフルーツが世界中から持ち込まれることにより、副原料にフルーツを使ったものが誕生し、様々な国で楽しまれました。
その後一気に副原料の幅は多様化し、今のような香りや味、色を重視したリキュールに進化しました。
日本での歴史
日本でのリキュールの歴史は諸説あり、定かではありません。
例えば平安時代に中国から伝わった屠蘇(とそ)が起源という説や豊臣秀吉の時代に宣教師が「利休酒」という酒を持ち込んだ説、江戸時代にオランダやイギリスから将軍への献上品として持ち込まれた、黒船来航時に持ち込まれたなどがあります。
リキュールができるまで
紹介の通り、リキュールは蒸留酒に果物やハーブなどの副原料を入れて味や香りを移し、そこに砂糖やシロップなどを加えてつくります。
製法としては具体的に
・浸漬蒸留法
・浸漬法
・果汁法
・エッセンス法
があります。
リキュールの種類
主にリキュールはフルーツ系、薬草系、ナッツ系、その他の4種類に分類されます。
フルーツ系
フルーツ系はフルーツの果肉、果皮、果汁を主な原料とし、種類・生産量共にほかの系統の中で最も多いリキュールです。フルーツの甘酸っぱい風味が特徴的で薬酒よりも嗜好品として愛される
例えば女性に人気のカシスやオレンジに使われるクレームドカシスやオレンジキュラソーも人気です。
薬草・香草系
薬草・香草系は薬酒として発展してきたリキュールの原点と言える系統で、主な原料はハーブやスパイスなどのほか、紅茶や緑茶があります。
薬酒らしい独特の苦味や風味が特徴的で、ほかの系統のリキュールにも隠し味として配合されることもあります。
カンパリやシャルトリューズなどの銘柄は、様々なカクテルの材料として使用されています。
ナッツ系
ナッツ系はアーモンドやクルミのほか、コーヒーやカカオを使ったリキュールもこちらの系統で、濃厚でコクのある甘みが特徴で食後酒やお菓子の風味付として親しまれています。
カルーアコーヒーリキュールやアマレットなど、甘いリキュールが多いのも特徴です。
その他~多種多様なリキュール
上記のカテゴリーの他、卵やヨーグルトを使用したリキュールもあります。
リキュールも毎年様々な種類がリリースされているため、その分原材料も多種多様になっています。
カクテルの定義
カクテルとは、一般的には数種類の酒や果汁をシロップや果汁を混ぜ合わせた飲料と言われています。また、作ってから飲み干すまでの時間などのカテゴリーでショートドリンクとロングドリンクの2種類に分類されます。
ミックスジュースもカクテル?
ミックスジュースも紹介したカクテルの定義によれば、ノンアルコールカクテルと分類できるでしょう。
近年ではノンアルコールカクテルも大変人気になっているので、バーでも「お酒じゃないなぁ。」と気にすることなく頼んでみてください!
まとめ
スピリッツとリキュールの違いをまとめると、スピリッツは醸造酒を蒸留器で加熱し純度とアルコール度数を高めたもので、リキュールはスピリッツ(蒸留酒)に副材料や甘味・着色料を添加したお酒です。
紹介の通りスピリッツとリキュールはそれぞれ様々な種類があるので気になるものがあれば、居酒屋やバーでぜひ試してみてください!