「スプリングバンク」はウイスキーの都として有名なキャンベルタウンで作られているウイスキー。「モルトの香水」とまで言われているほど、香り高いウイスキーとして名が知られています。
今回は、ウイスキーファンからも高い評価を得ている1本、スプリングバンクの秘密や魅力を徹底解説していきます。
スプリングバンク蒸留所とは
スプリングバンク蒸留所の歴史
スプリングバンクが造られているスプリングバンク蒸留所は、スコットランドの南西にあるキャンベルタウンにあります。
キャンベルタウンは400年以上もの蒸留文化が生き続けている町。
昔は30以上の蒸留所があり、「ウイスキーの都」とまで言われていましたが、現在では3つにまで衰退してしまいました。
その3つの蒸留所のうちの一つであるスプリングバンク蒸留所は、レイド家が1828年に創設してからまもなくして財政難に陥り、現在のオーナーであるミッチェル家に買収されました。
その後、蒸留所の閉鎖と再開を繰り返し、2018年時点でのアルコール生産能力は75リットル。
世界的にみて蒸留所自体の規模はそこまで大きくありませんが、キャンベルタウンの中では伝統的な蒸留所です。
スプリングバンク蒸留所の気候・風土
蒸留所があるキャンベルタウンはスコットランドのキンタイア半島の先端にありますが、イギリスの領土に近い場所にあります。
先端部分に位置しているせいか、海岸線が入り組んでいて霧がよく発生します。
この霧に塩気が混ざることで、熟成している「スプリングバンク」にも塩辛さがプラスされているようです。
自社でボトリングを行うスプリングバンク蒸留所の特徴
スプリングバンクは蒸留所では生麦からボトリングまで蒸留所内で管理していて、全ての麦芽をフロアモルティングで賄っている貴重な蒸留所。
スプリングバンク蒸留所では3種類のシングルモルトを製造していて、ピートを軽めに焚き、2回半蒸留させた「スプリングバンク」、ビートだけで麦芽を感想させ、2回蒸留させた力強い「ロングロウ」、ノンピートで3回蒸留させたライトな「ヘーゼルバーン」があり、それぞれ仕上がりが異なります。
スプリングバンク蒸留所は街の後ろの丘にあるクロスヒル湖と敷地内の井戸水を使っています。
ちなみにクロスヒル湖は、19世紀にアーガイル公キャンベルがウイスキー蒸留のために作った人口の貯水池なんだそう。
スプリングバンクについて
モルトの香水と呼ばれるスプリングバンクの味と香りは?
ウイスキー愛好家の中で「スプリングバンク」は「モルトの香水」と呼ばれているほど、香り高く芳醇。
上述したように、港町に建設されたスプリングバンク蒸留所は独特の熟成環境で製造され、塩辛い味わいを帯びるなどユーモアに溢れた香味のシングルモルトとして知られています。
塩辛さの他にも、爽やかな柑橘系のフルーティさとシロップのような甘い香りも同時に味わうことができます。
塩辛さが特徴のスプリングバンクのおすすめの飲み方
香りが豊かで複雑な味がするスプリングバンクの良さを100%堪能したいのであれば、ストレートかロックがおすすめ。
同じ蒸留所で作られている「ヘーゼルバーン」や「ロングロウ」と飲み比べてみると、特徴の違いが分かって面白いかもしれません。
スプリングバンクの主な種類
スプリングバンクは700mlの10年もので5,000円台後半から購入できます。15年ものになると最低10,000円以上。12年カスクストレングスは安いところだと7,000円ぐらいから購入できますが、相場は1万5,000~2万円程度です。
スプリングバンク 10年
最もスタンダードな銘柄で、多くの人に飲まれているスプリングバンク。冷却濾過をせずに瓶詰めを行なっているなど、独自の方法で造られているウイスキーです。
「モルトの香水」と呼ばれるにふさわしい、華やかでドライな味わいが魅力です。
スプリングバンク 12年 カスクストレングス
カスクトストレングス(木の樽で熟成させたウイスキー)で造られているため、シェリー樽の芳醇な香りと濃厚な味わいを楽しめます。
シェリー樽70%、バーボン樽30%を使用していて加水せずにボトリングしているため、スプリングバンク本来の味わいを100%堪能できます。
スプリングバンク 15年
シェリー樽で熟成された原酒を使用した、贅沢なスプリングバンク。
ダークチョコレートの芳醇な香りと凝縮されたフルーツの甘さと塩味が絶妙で、長い味わいの余韻を楽しめます。
まとめ
スプリングバンクは「モルトの香水」と言われるほど、香り高く複雑な味わいが楽しめます。
蒸留所の環境による塩辛い味わいが特徴で、香り高い香りが魅力。
まずはスプリングバンク10年ものをストレートで楽しんでみて、豊かな香りと複雑な味わいを感じてみてください。