シャブリワインは、日本でもずいぶん昔から「辛口白ワインの代名詞」として愛されてきました。ミネラル豊富な味わいが、シーフードにぴったりだと言われています。
「シャブリ」と一口に言っても、さまざまな生産者が造っているためその味わいはさまざまです。そこで今回の記事では、比較的手頃な価格で飲めるおいしいシャブリワインを10本ご紹介します。冒頭ではシャブリワインに関する基礎知識も解説しますので、ワインを選ぶ際にぜひ役立ててくださいね。
シャブリワインの基礎知識
シャブリワインとは? その特徴と味わい
「シャブリ(Chablis)」とは、フランス・ブルゴーニュ地方の最も北にある地域の名前です。スラン川の両岸にぶどう畑が広がっており、冷涼な気候のもとでシャルドネが育てられています。
シャブリ最大の特徴は、「キンメリジャン」という特殊な土壌。この土壌は、ジュラ紀後期のキンメリッジ期(約1億5570万年~1億5080万年前)にできた石灰岩と泥灰岩で、小さな牡蠣の化石を含んでいます。1938年には「キンメリジャン土壌から生まれた白ワインのみをシャブリとする」という原産地呼称のルールが定められました。
この特殊な土壌で生まれるシャブリワインには、塩味のような独特のミネラル感やヨード香を感じるものが多く見られます。美しい酸味を伴う爽やかな味わいは、牡蠣などのシーフードと合わせるのが定番です。
シャブリワインの分類
シャブリワインは、「プティ・シャブリ」「シャブリ」「シャブリ・プルミエ・クリュ」「シャブリ・グラン・クリュ」の4つに分類されています。
プティ・シャブリは、土壌の面でほかのシャブリと異なります。プティ・シャブリの畑は、通常のシャブリと同じキンメリッジ期よりも新しい、チトヌス期の土壌なのです。ほかのシャブリよりも、フルーティーなワインが多く見られます。
また、範囲の拡大に伴って、もともとはキンメリジャン土壌でなければ名乗れなかったシャブリにも、現在ではチトヌス期の土壌が含まれるようになりました。
いっぽうプルミエ・クリュやグラン・クリュは、通常のシャブリの中でも厳選された、完全にキンメリジャン土壌の区画で造られるワインです。プルミエ・クリュはさらに40の区画に、最もランクの高いグラン・クリュはさらに7つの区画に細かく分けられています。
グラン・クリュの中でも最大の面積を持つ「レ・クロ」は、長期熟成にも耐えるワインを生むことで有名です。
専門家が選ぶおすすめのシャブリワインランキングTOP10
今回は、6000円台までで手に入る、比較的入手しやすくておいしいシャブリをセレクトしてみました。ぜひいろいろなシャブリワインを試して、造り手や区画による違いを楽しんでください。
第10位: シャブリ/ドメーヌ・ドルーアン・ヴォードン
便利なスクリューキャップの本格的なシャブリ。造り手は、シャブリにおいて大手メゾンとして初めて有機栽培を実現したドルーアンです。
柑橘類やフレッシュハーブのいきいきとしたアロマ。品のあるクリーンな酸とミネラルがバランスよく感じられ、アフターまで伸びてゆきます。
第9位: シャブリ・セリエ・ド・ラ・サブリエール/ルイ・ジャド
ブルゴーニュ有数の大手ドメーヌとして、高品質なワインを提供し続けているルイ・ジャドの「シャブリ・セリエ・ド・ラ・サブリエール」。自社が所有するサブリエール醸造所の名前を冠するキュヴェです。
柑橘類の果実味を中心とする繊細な香りと、心地よいミネラルを伴うすっきりとした味わいが魅力。
ピュアで飲みやすいシャブリをお探しの方におすすめです。
第8位: シャブリ/ジャン・クロード・コルトー
比較的新しいドメーヌであるジャン・クロード・コルトーは、コストパフォーマンスに優れたワインの生産者として日本でも注目を集めています。
こちらのシャブリは、しっかりとしたミネラル感とはつらつとした酸が魅力のシャープなワイン。
余韻に香るベルガモットも爽やかで、暑い日に冷やして飲みたくなる味わいです。
第7位: シャブリ・プルミエ・クリュ・ヴァイヨン/ウィリアム・フェーヴル
シャブリ最大のグラン・クリュ所有者として知られ、「この世で最も純粋な辛口白」を生み出すと評価されるウィリアム・フェーブルのシャブリ・プルミエ・クリュです。
このワインは、ANAのファーストクラスでも採用された実績もある実力派。日当たりに恵まれた畑で育ったぶどうからは、熟した果実味と美しい酸味が生まれます。
控えめな樽香も心地よく、バランスのよいシャブリをお探しの方におすすめです。
第6位: シャブリ・プルミエ・クリュ・モンテ・ド・トネール/ドメーヌ・ジャン・コレ
きめ細やかなワイン造りで、高品質なシャブリを生み出しているジャン・コレのプルミエ・クリュ。こちらのワインには、グラン・クリュの「ブランショ」に隣接する区画のぶどうが使用されています。
柑橘類や洋梨を思わせる濃密な果実味の中に、シャブリらしいミネラルを感じる1本。
グラン・クリュと同じ方法で樽熟成されたことによる厚みも魅力です。長期熟成させると更に複雑な味わいになってゆくでしょう。
第5位: シャブリ/ドメーヌ・フィリップ・シャルロパン・パリゾー
こちらは、「ブルゴーニュの神様」と呼ばれるアンリ・ジャイエの愛弟子のひとりで、ブルゴーニュのスター生産者であるフィリップ・シャルロパンが手掛けるシャブリです。
伸びやかな酸とミネラルの中に、甘いスパイスやアプリコットを感じさせるゴージャスなワイン。
コクのある白ワインがお好きな方におすすめのシャブリです。
第4位: シャブリ・プルミエ・クリュ・ヴァイヨン/ダニエル・ダンプ
ダニエル・ダンプは、シャブリらしいピュアな味わいが楽しめるワインを生み出す造り手です。みずみずしい酸味を持つ高品質なシャブリをリリースする生産者として、一流レストランやワイン評論家から高評価を得ています。
こちらのプルミエ・クリュでは、密度の高い粘土質の土壌から生まれる力強いミネラル感が楽しめる1本。フレッシュな果実味と美しい酸を感じられる、上品で優美なワインです。
第3位: シャブリ・レ・ドゥー・リヴ/オリヴィエ・ルフレーヴ
ブルゴーニュ地方で、ヴィンテージに左右されない安定したクオリティのワインを幅広くリリースしているオリヴィエ・ルフレーヴ。シャブリワインにおいても、やはり素晴らしいバランスの良さを見せています。
こちらのワインでは、スラン川の両岸でキンメリッジとチトヌスそれぞれの土壌で造られたぶどうをブレンド。
硬質なミネラルと豊かな果実味が見事に溶け合って生まれる、絶妙なバランスが魅力です。
第2位: シャブリ・プルミエ・クリュ・フルショーム/ラ・シャブリジェンヌ
ラ・シャブリジェンヌは、シャブリ全体の1/4の生産量を誇る生産者協同組合で、フランスのワイン誌で「すべてのアイテムが品質と価格のバランスに優れる」と評される実力派の造り手です。
今回ご紹介するのは、そのラ・シャブリジェンヌが造るトップキュヴェ。上品な果実味と美しい酸に心地よい樽のニュアンスが加わる、エレガントかつふくよかなシャブリです。
第1位: シャブリ/ヴァンサン・ドーヴィサ
伝統的な樽醸造を守り続ける、シャブリを代表する造り手ヴァンサン・ドーヴィサによる1本を第1位としてご紹介!この造り手のシャブリは驚くほどの長命さを持っており、フランスのあらゆるワイン評価誌でトップの評価を得ています。
広域シャブリですが、プルミエ・クリュのラ・フォレに隣接する区画のぶどうを使用。鋭く力強いミネラルがしっかりと感じられます。
豊かな果実味に心地よいスパイスが効いた、伝統的な味わいのシャブリです。
シャブリワインのミネラリーなおいしさを楽しもう
「シャブリワイン」の中にも、造り手によってさまざまなスタイルがあります。同じ生産者のワインを区画違いで飲み比べて、香りや味わいの違いを楽しむのもおすすめです。
牡蠣などのシーフードといっしょに、ミネラル豊かなシャブリの魅力を楽しんでみてくださいね!