ニュージーランドといえば羊やキウィフルーツ、豊かな大自然…と様々なイメージがあるかと思いますが、実はワインの生産国として世界からの評価が年々上がってきているワインラバーにとっては外せない国なのです。
また、エレガントなスタイルの造り手が多いので、日本食との相性が良く、日本国内での人気も高まってきています。
今回はそんなニュージーランドのワインを、ソムリエの私がランキング形式で10本ご紹介します。
ニュージーランドワインならではの歴史や特徴などにも触れていきますので、是非この機会にニュージーランドの魅力を知っていただきたいと思います。
ニュージーランドのワインの歴史
ニュージーランドのワインが世界的に知られるようになったのは1980年代のこと。それまではミュラートゥルガウというぶどう品種の生産が主体でした。そしてそのほとんどはオーストラリアにバルクで供給していました。
1960年代後半から近代的なワイン醸造が進み、1975年にニュージーランドワイン協会が設立されているので、他のワイン大国に比べるとまだまだ歴史は浅いと言えるでしょう。
ニュージーランドワインにとっての転機は、1980年代に行われたワインコンペティション。マールボロ地区で造られたソーヴィニヨンブランが最優秀賞を受賞したことで、世界で注目されるきっかけとなりました。
これを皮切りに、ニュージーランドワインは独自の醸造技術を取り入れて、上質なワイン造りを現在まで続けています。現在でも生産量の約7割は海外に輸出していて、世界各国に幅広く流通しています。
ニュージーランドワインの味わい・特徴
ニュージーランドは南北に長い島国なので、生産地は北部から南部まで幅広く点在しています。その多くは、島国特有の海に囲まれた海洋性気候。季節による温度差は少ないですが、昼夜の気温差が大きいため、「1日の中に四季がある」と言われています。
ニュージーランドの主な生産地は北島に3つ、南島に3つありますので、それぞれご紹介していきます。
ギズボーン
日付変更線に近接した場所にあり、世界最東端のワイン産地として知られている「ギズボーン」。シャルドネを中心に、ゲヴェルツトラミネールやヴィオニエ、ピノグリなどの白ぶどう品種を多く生産しています。
ホークスベイ
ホークスベイは、ニュージーランド国内で南島のマールボロに続く第2のワイン生産地。凝縮感のある、高品質のシャルドネが代表品種となっています。
暑く乾燥した北西風と降雨量の少なさから、ボルドーブレンドの赤ワインの生産も行われています。
ワイララパ
首都ウェリントンの北東部にある、小さな生産地「ワイララパ」。ワイララパにあるサブリージョンのマーティンボロは、良質のピノ・ノワールが造られていることで有名です。
その他、ニュージーランドの象徴的品種でもあるソーヴィニヨンブランも多く栽培されています。
マールボロ
国内最大の栽培面積と生産量を誇り、ソーヴィニヨンブランの聖地でもある「マールボロ」。ハーブや草原のようなアロマが香る、良質のソーヴィニヨンブランを栽培しています。
ネルソン
「ネルソン」は砂利室と粘土質が混ざった土壌が、一番の特徴となる銘醸地。リースリングやピノグリ、ゲヴェルツトラミネールなど、幅広い品種を生産しています。
セントラルオタゴ
南緯45度に位置する「セントラルオタゴ」は、世界最南端のワイン産地として有名な場所。ニュージーランドで唯一の大陸性気候ということでも知られています。湖と渓谷の山岳地帯で、暑い夏であっても夜の気温がグッと下がる、ぶどうの生育にとって素晴らしい環境です。
ここで栽培されるぶどうの8割はピノ・ノワールで、非常にクオリティの高いワインが生産されています。
ワインの新しい常識!?99%以上のワインがスクリューキャップ!
ニュージーランドのワインは、99%以上がスクリューキャップ栓を使っています。「スクリューキャップのワインは安物だ!」と考える人もいるかもしれませんが、実はスクリューキャップを使うメリットは多々あり、ニュージーランドをはじめオーストラリアでもリーズナブルなワインから高級ラインのワインまでスクリューキャップが採用されているのです。
スクリューキャップのメリット
スクリューキャップを使うメリットとしては、コルクと違いブショネ(コルク内のカビが化学反応して起こる現象)の発生を高確率で防ぐことができる点が挙げられます。また、天然のコルクは乾燥を防ぐためにボトル自体を寝かせて保管しなかればなりませんが、スクリューキャップは乾燥しないため、ボトルを立てて保管することが可能です。
このように品質を保つためのリスクの他にもコスト面を考えても、スクリューキャップのメリットは多くあります。なので「ニュージーランドのワインはコルク栓じゃないから」といって毛嫌いしないでくださいね!
ニュージーランドワインの象徴的ぶどう品種は2つ!
オーストラリアワインの代表格として挙げられるぶどう品種は、白のソーヴィニヨンブラン、赤のピノ・ノワールの2つです。
ニュージーランドの代表格!白ワイン ソーヴィニヨン・ブラン
最も有名なソーヴィニヨンブランは、全体の生産量の約6割。原産地はフランスのロワールと言われていますが、ソーヴィニヨンブランといえばニュージーランド!と思い浮かべる人も多いくらい認知度は高まってきています。
ハーブや青草のような爽やかなアロマと、グレープフルーツのような生き生きとしたキリッとした酸味が特徴で、魚介料理に合わせるのにぴったりです。また、上品な飲み口は和食との相性も素晴らしく、二ュージーランドのソーヴィニヨンブランを扱っている日本の和食屋さんも多いんですよ!
フランスに負けない高品質!赤ワイン ピノ・ノワール
赤ワイン全体の生産比率は少なく、圧倒的に白ワインが多いのがニュージーランドですが、赤ワインを作る黒ぶどうの栽培面積はピノ・ノワールが最大です。
降水量が少なく、乾燥した気候で水はけの良い土壌が形成されている南島の南東部にあるマーティンボロや、国内唯一の大陸性気候のセントラルオタゴで造られているピノ・ノワールが有名です。
エレガントなミディアムボディでアロマやアタックも柔らかく、フランスのブルゴーニュのような気品さを持ち合わせています。
ソムリエが厳選!ニュージーランドのおすすめワインランキングTop10
10位 シレーニ セラー・セレクション・スパークリング・ソーヴィニヨン・ブラン
まずご紹介するのは、シレーニが造るスパークリングワイン。シレーニは、今日本で一番売れているニュージーランドワインです。また、日本のみならず、世界中のコンペティションでも高い評価を受けています。
レモン、グレープフルーツといった柑橘系のアロマがはっきりと出ていて、ソーヴィニヨンブランらしいハーブや青草のニュアンスも感じられます。前菜の盛り合わせ、グリーンサラダ、ピンチョスやチーズなど、幅広い食事と相性が良いです。
また、ニュージーランドらしく、スパークリングワインでも開けやすい、スクリューキャップ栓を使用していることにも注目。
9位 シレーニ セラー・セレクション・ソーヴィニヨン・ブラン
お次も、日本で一番売れているニュージーランドワインブランド、シレーニのソーヴィニョンブランです。アイコンワインとなっているソーヴィニヨン・ブランは、生産量NO1のマールボロ地区で栽培されています。
フレッシュで引き締まった酸と、爽やかな青草のアロマ。ドライな飲み口で魚介料理との相性は抜群です。
8位 ラブブロック オレンジ ソーヴィニヨンブラン
続いてご紹介するのは、ソーヴィニヨンブランで造られたオレンジワインです。
アプリコットやグレープフルーツなどの爽やかな香り、そして味わいはマイルドなタンニンがしっかりと感じられ、豊富なミネラル感と溌剌とした酸味が特徴となっています。
天気の良い晴れた昼下がりに、キリッと冷やしてベランダで飲みたい…そんな1本です!
7位 サイフリード オールド コーチ ロード ゲヴェルツトラミネール
ニュージーランドのネルソン地区で造られるゲヴェルツトラミネールは、ライチやアプリコットのような甘い香りが特徴的。
さらに胡椒を思わせるスパイシーさと凝縮感ある果実味もあって、少々苦味を少し感じますが、飲み心地は爽やか。そのためワインが苦手という方でも親しみやすい仕上がりになっています。
意外にも、焼き餃子や麻婆茄子などのジューシーなアジア料理との相性が良いのでお試しあれ!!
6位 クラウディー・ベイ シャルドネ
ニュージーランドワインのパイオニア的存在「クラウディーベイ」。クラウディー ベイは、マールボロ地区にあり、ソーヴィニヨンブランが非常に質が高く世界的に知られていますが、こちらで造られるシャルドネも至高。
ライムやオレンジの皮のような柑橘系のアロマと、ほのかにナッツやバターといった芳醇な香り。
ミネラル感も豊富に感じられるので、魚介を使ったパスタやパエリアなどと合わせたい1本です。
5位 ワイルドアース ピノ・ノワール
世界最南端のワイン産地「セントラル・オタゴ」でのびのびと育ったピノ・ノワールは、ワイルドアースを代表する象徴的なワインです。全て手摘みで丁寧に造られたブティックワイナリーならではのこだわりを感じます。
風味豊かな赤いベリーのアロマと、しなやかなタンニン。鴨のロティやフォアグラのソテーと合わせると最高です。
4位 オイスターベイ マールボロ ソーヴィニヨン・ブラン
ソーヴィニヨンブランの聖地、マールボロ地区の冷涼な気候の中で栽培されたソーヴィニヨン・ブラン。こちらは生牡蠣や焼いたホタテ等、貝類と合わせていただくと、最高のマリアージュに!!
キリッとした酸味とみずみずしいアロマで飲み口は軽め。
日本への輸出もありますが、オーストラリアとイギリスで一番売れているニュージーランドワインです。
3位 キムラセラーズ マールボロ ピノ ノワール
日本人醸造家がマールボロで手がける極上のピノ・ノワールをご紹介!
ラズベリーやイチゴのようなチャーミングな香りが特徴で、ブルゴーニュ系の味わいに似ているので、購入してから5年ほど寝かせて飲むのがおすすめ。
アタックはミディアムボディで、ジビエ料理と相性抜群です。
2位 クラウディー・ベイ ピノ・ノワール
ニュージーランドワインのパイオニア的存在のクラウディーベイ。ソーヴィニヨンブランはもちろんのこと、こちらで造られるピノ・ノワールも素晴らしいです。
ベリー系の果実味と野性味溢れるスパイシーなアロマが感じられ、しなやかなタンニンと深みある味わいが特徴的。
鴨のローストやローストビーフと合わせたい1本です。
1位 クラウディー ベイ ソーヴィニヨン ブラン
第1位に選出したのは「世界が白に目覚めた1本」と言われるソーヴィニヨンブランで高い認知度を持つクラウディー ベイ!
ハーブや青草、青リンゴを思わせる爽快なアロマが特徴で、綺麗な酸とのバランスがとても良いです。
魚介類を使った料理や、チーズや生ハムの盛り合わせ、スパニッシュオムレツなど幅広い料理と合わせることができます。
ニュージーランドワインは、この1本を飲まないことには語れません!
まとめ
いかがでしたか?やはりニュージーランドは「ソーヴィニヨンブラン」と「ピノ・ノワール」の2強はしっかり押さえておきたいところですが、その他シャルドネやゲヴェルツトラミネールも高品質なワインを造っています。
また、日本食との相性も良いので、ご自宅で作る料理とも合わせやすいはず。
ぜひ皆さんもこの機会にニュージーランド ワインを楽しんでください。まずは「ソーヴィニヨンブラン」と「ピノ・ノワール」の2つを堪能してみることをおすすめします!