近年、濃厚な赤ワインの人気がますます高まっています。一般向け試飲会などのイベントで「濃旨ワイン」の特集コーナーが設けられることも少なくありません。
凝縮感ある赤ワインを生み出す品種はいくつかありますが、その中から今回はジンファンデル(プリミティーヴォ)を取り上げて、その魅力を探ります。品種に関する基礎知識を解説したあと、おすすめのジンファンデルワインを10本ご紹介しますので、「濃旨ワイン」がお好きな方はぜひ参考になさってください。
ジンファンデルってどんなぶどう?
ジンファンデルの特徴・主な産地
ジンファンデルは、アメリカ合衆国のカリフォルニア州を代表する赤ワイン用ぶどう品種のひとつ。カリフォルニアにおいて、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロに次いで第3位の栽培面積を誇ります。
19世紀前半にアメリカに持ち込まれて以来、長年にわたって愛されている品種であるにも関わらず、実はジンファンデルの起源はつい最近まで謎のままでした。
ジンファンデルとプリミティーヴォ、ツールイェナック・カステランスキーは同じぶどう?
しかし近年、ジンファンデルは、イタリアのプーリア州で盛んに栽培されているプリミティーヴォ、そしてクロアチアの古代品種であるツールイェナック・カステランスキーと同じDNAを持つことがわかりました。
クロアチアで栽培されていたツールイェナック・カステランスキーが、イタリアとアメリカにそれぞれ別のルートで持ち込まれ、別の名前を持つようになったと考えられています。
この品種は、アメリカ・イタリア・クロアチア以外に、南アフリカやオーストラリアでも栽培されています。
ジンファンデルの味わい・特徴
ジンファンデルは色の濃い果皮を持っているため、できあがるワインも色の濃いものが多くなります。アルコール度数が高めの、どっしりしたワインになる品種です。ジャムやドライフルーツのような凝縮した果実味がとても豊かで、苦味はそれほど多くありません。
同じDNAを持っているとは言え、産地によってテロワールや栽培・醸造方法などが異なるため、ジンファンデルとプリミティーヴォは違った味わいを持っています。
ボディがしっかりしていて果実味が強いことは両者に共通していますが、プリミティーヴォのほうが口当たりが柔らかく、酸味が強くなる傾向にあります。
専門家が選ぶ!おすすめジンファンデルワイン10選
ジンファンデルやプリミティーヴォを使ったおすすめワインを10本ご紹介します。価格・生産量ともに、日本で手に入りやすいものを選びましたので、ぜひお試しください。
第10位 カーニヴォ・ジンファンデル/カーニヴォ・ワインズ
最初にご紹介するのは、「肉専用黒ワイン」というユニークなキャッチフレーズを持つこちらの1本。その言葉通り、非常に色濃く、深い色調のワインです。
ブラックチェリーのジャムにチョコレートやバニラが加わった、濃厚なアロマが楽しめます。
凝縮感のある果実味とほどよい渋みを伴う豊かなボディは、しっかりした味付けの肉料理と相性抜群。ブラックペッパーのヒントも良いアクセントとなって、いつもの料理に深みを与えてくれるでしょう。
第9位 ルカーレ・プリミティーヴォ・プーリア・アパッシメント/マッセリア・ボルゴ・デイ・トゥルッリ
続いては、イタリアのプーリア州で造られたワイン「ルカーレ・プリミティーヴォ・プーリア・アパッシメント」。マッセリア・ボルゴ・デイ・トゥルッリは、プーリアに自社畑を所有し、パワフルでエレガント、そしてコストパフォーマンスの高いワインを提供しているワイナリーです。
こちらのワインでは、遅摘みのぶどうを陰干ししてから使用することで、凝縮感を高めています。
煮詰めたチェリーやラズベリーのような濃厚な果実味に、樽熟成によるロースト香とスパイシーなニュアンスが加わります。洗練されたタンニンも魅力的。
フルーティーで飲み応えあるワインですので、濃厚なワインが好きな方はきっと気に入るはず!
第8位 ヴィントナーズ・リザーヴ・ジンファンデル/ケンダル・ジャクソン
こちらのワインは、オバマ元大統領もお気に入りとして挙げるカリフォルニアのワイナリー「ケンダルジャクソン」によるジンファンデルです。
ラズベリーやプラムのジャムを思わせる甘やかな香り。そして、しっかりとした凝縮感がありながらも、口当たりは上品です。フルボディのワインですが、味わいのバランスが良いため、決して重すぎることはありません。
ブラックペッパーやナツメグのようなニュアンスがあるので、甘めのソースをかけたステーキなどと合わせても美味しく味わえます。
第7位 ディレクターズ・カット・ジンファンデル/フランシス・フォード・コッポラ・ワイナリー
こちらのワインは、映画監督のフランシス・コッポラが運営するワイナリーの手によるものです。著名人が所有するワイナリーとしてではなく、今では純粋なワイン生産者として高い評価を得ている造り手です。
今回ご紹介するのは、通常のラインナップよりもひとつ格上のリザーヴ級シリーズのジンファンデル。カリフォルニア・ソノマのテロワールをしっかりと表現しています。
豊かな果実味はもちろん、その奥にある複雑さも楽しめます。甘味・酸味・苦味のバランスがよく、幅広いお料理と合わせやすいのも魅力の1つです。
映画の起源として知られる「ゾーエトロープ」をモチーフとしたラベルがおしゃれ。普段ワインをあまり飲まないような方へのプレゼントにもおすすめです!
第6位 プリミティーヴォ・ディ・マンドゥーリア/ポッジョ・レ・ヴォルピ
ポッジョ・レ・ヴォルピは、名醸造家のリッカルド・コッタレラ氏のアドバイスを得ながら、最新のテクノロジーを取り入れコストパフォーマンスの高いワインを生み出しているイタリアのワイナリーです。
こちらのプリミティーヴォも、お手頃価格にもかかわらず果実感たっぷりの美味しいワイン。
ワイン評価誌『リアルワインガイド』にて2008年に「旨安大賞」を受賞し、2018年には「ヴィンテージが変わっても旨安大賞に値するワイン」として「永遠の旨安大賞」の称号を獲得しました。
凝縮感のあるアロマといきいきとしたフルーツの旨み、華やかな味わい、そしてこの価格。リピートしたくなること間違いなしの1本です。
第5位 プリミティーヴォ・デル・サレント・ドーディチ・エ・メッツォ/ヴァルヴァリオーネ
続いては、イタリア・マンドゥリア地方で3世代続く家族経営のワイナリーによる1本「プリミティーヴォ・デル・サレント・ドーディチ・エ・メッツォ」をご紹介。農学博士でエノロゴのオーナー、コジモ氏は、伝統を重んじながらも現代的な技術を取り入れて、テロワールを表現したワインを造っています。
こちらのワインは、シルキーなタンニンといきいきとした酸のバランスが絶妙です。ミネラルの心地よい旨みも魅力的。『ワイン王国』で「4つ星特選ベストバイワイン」に選ばれた経験もある実力派のプリミティーヴォです。
果実味とタンニンが豊かなので、ベリーソースを使った赤身の肉料理に合わせてみるのがおすすめ。
第4位 OGV オールドヴァイン・ジンファンデル/オーク・リッジ・ワイナリー
続いては、旨みのあるワインを生み出す土地、ローダイで造られるジンファンデル。樹齢50~100年の古木のみを使用。禁酒法前から残るぶどうも用いた、プレミアムな1本です。
グラスに注いだ瞬間広がるのは、いちじくやいちごのコンポートを思わせる甘美な果実味。口に含むと、まろやかなテクスチュアの中で、ブラックベリーやコーヒーの深い味わい、ミネラルの旨み、ミルクのような温かみが混ざり合います。
赤身肉のステーキや、果実味のある中濃ソースを使ったお料理と相性抜群です。
第3位 コレッツィオーネ・チンクアンタ +3/サン・マルツァーノ
こちらのワインは、プーリアを代表する生産者の1人、サン・マルツァーノのプリミティーヴォです。
「コレッツィオーネ・チンクアンタ」は、ワイナリー創立50周年を記念して誕生したワイン。プリミティーヴォにネグロアマーロをブレンドしています。
濃い色調、凝縮された果実感、パワフルでしっかりしたボディ。それでいてタンニンは優しく、全体の雰囲気は柔らかくまとまっています。熟成も可能ですが、今飲んでも美味しいワインです。
第2位 ジラード・オールドヴァイン・ジンファンデル・ナパ・ヴァレー/ジラード・ワイナリー
続いては、アメリカ、カリフォルニアのナパ・ヴァレーで、ジラードが造るジンファンデルをご紹介。
ナパ・ヴァレー北部の古木から採れるぶどうと、南東部のやや樹齢の若いぶどうから造られている1本。
フレンチオークとアメリカンオーク、ハンガリアンオークを使用することで、エレガントさとしっかりした骨格、スモーキーさとスパイシーさを併せ持った味わいに仕上げています。
完熟したラズベリーやチェリーの芳醇な果実味、ビビッドな酸味、樽から来るバニラやスパイスなどが織りなす、複雑で重層的な味わいをお楽しみください。
第1位 パパーレ・プリミティーヴォ・ディ・マンドゥーリア・リネア・オーロ/ヴァルヴァリオーネ
今回のおすすめランキングで第1位に選出したのは、第5位と同じくヴァルヴァリオーネのプリミティーヴォです。樹齢50年以上のぶどうだけを用いた最上級の1本です。
濃密な果実味とスパイスが混ざり合って生まれる、芳醇なアロマ。しっかりとしたアルコール感と豊かなタンニンが複雑な味わいを支える、飲みごたえたっぷりの1本。
2017年のサクラワインアワードで「ダブルゴールド」を受賞しており、その美味しさはお墨付きです。
赤身のお肉と相性が良いのはもちろん、ジビエや熟成チーズとの相性もばっちり。複雑で重厚な味わいを、じっくりと楽しみましょう。
ジンファンデルの濃厚な果実感を楽しもう
今回の記事では、ジンファンデル(プリミティーヴォ)を使ったおすすめワインを10本ご紹介しました。手に入りやすいものをセレクトしましたので、気になる銘柄があれば、ぜひ試してください。
また、アメリカのジンファンデルとイタリアのプリミティーヴォを比較してみるのもおすすめです。さまざまな産地・造り手のワインを味わって、自分好みの1本を見つけましょう。