爽やかな飲み口から、秋~冬だけではなく夏でも飲みたくなる白ワイン。適温に冷やした白ワインって、本当に美味しいですよね。
白ワインの中でも、「シャルドネ」は定番とも言える人気のぶどう品種。この言葉、きっと1度は目にしたことがあるのではないでしょうか?
今回は、「シャルドネ」が「どんなぶどう品種なのか?」「味わいの特徴は?」といった疑問にお答えしながら、ワインエキスパートの筆者が選ぶ人気のおすすめシャルドネワインを、ランキング形式で10本ご紹介します。
「シャルドネ」ってどんなブドウ?
シャルドネは「白ブドウの女王」とも称される、フランスのブルゴーニュ地方が原産の白ワイン用のブドウ品種です。
環境への適応性が高いため、ブルゴーニュをはじめ南北アメリカやオーストラリアなど、冷涼な地域から温暖な地域まで、世界各地で栽培されています。
品種固有の特徴が少ない分、シャルドネは栽培された土地の気候や醸造方法を反映しやすい品種です。そのため、同じシャルドネのワインであっても、育った環境や製法によって味わいはがらりと変化します。
つまり、シャルドネとは、実に多彩なワインを生み出すことができる変幻自在な品種なのです。
シャルドネのワインの特徴は
一般的に冷涼な地域で栽培されたシャルドネのワインは、レモンやライム、グレープフルーツといった柑橘類の香りと、すっきりした酸味が感じられるシャープな味わいが特徴です。
一方、温暖な地域で栽培されたシャルドネからは、黄桃やマンゴー、パイナップルのようなトロピカルフルーツの香りと、まろやかな味わいのワインが生まれます。
また、シャルドネのワインは樽で熟成されることもあり、樽熟成された場合にはアーモンドやバニラなどの香りが現れます。
シャルドネの主な産地と特徴
フランス・ブルゴーニュ地方
ブルゴーニュ地方はフランスの東部に南北300㎞にわたって広がるワインの生産地で、世界を代表するシャルドネの産地でもあります。
そのなかでも特に有名なシャルドネのワインの産地は「シャブリ地区」。ブルゴーニュ地方最北部に位置し、冷涼な気候と「キンメリジャン」と呼ばれる石灰質の土壌が特徴の地区で、この地区のシャルドネからは、火打石のような香りと、果実味とミネラル分に富んだワインが生まれます。
また、ブルゴーニュ地方のコート・ドール(黄金の丘)の南部に位置するコート・ド・ボーヌ地区も、世界に知られた偉大なシャルドネのワインの産地です。
特にこの地区の南部はシャルドネの栽培に適した砂礫質の痩せた土壌で、力強さと優雅さを兼ね備えたワインが生み出されています。
アメリカ・カリフォルニア州
アメリカの西海岸にあるカリフォルニア州は、フランスに次いでシャルドネの栽培面積が広い一大産地です。おおむね温暖で日照に恵まれている内陸部では、トロピカルフルーツのような香りやまろやかな味わいのシャルドネのワインが生まれます。
一方、海に近い冷涼な地域で育まれたシャルドネのワインは、柑橘類の香りを感じるすっきりとした味わいになります。
また、カリフォルニアでは新樽を使ってワインを熟成させることが多く、ナッツやバニラ、バターなど、樽に由来する香りが感じられるものが多いのも特徴です。
プロが選んだ!おすすめのシャルドネの白ワイン
10位 シレーニ セラー・セレクション・シャルドネ
シレーニはニュージーランド北島のホークス・ベイに本拠を構える、日本でも抜群の知名度と人気を誇るワイナリーです。
同社のシャルドネが栽培されているのは、ホークス・ベイのなかでも内陸部の標高100mほどの高原地帯。海からの影響を受けた冷涼な気候で、昼夜の寒暖差も大きいため、ブドウはキレのある酸を保持しながら成熟していきます。
グレープフルーツなどのフレッシュな柑橘系果実の香りに、ほのかなアーモンドのニュアンス。爽やかな果実味とシャープな酸、ミネラルのバランスのよい味わいが特徴です。
白身魚のソテーのほか、白身魚のお刺身やグリルなどともよく合います。
9位 プンクトゥン ロベティア シャルドネ
蝶々のラベルがおしゃれで目を引くこちらのワインは、スペインの完全有機栽培のワイナリー、ドミニオ・プンクトゥンが手掛けるシャルドネのワインです。
ドミニオ・プンクトゥンはスペインのマドリッドの南に位置するラ・マンチャ地方のワイナリーで、非常に乾燥した気候だからこそ可能な農薬を使わない自然な方法でワイン造りをおこない、リーズナブルな価格で提供しています。
グレープフルーツや青リンゴのような爽やかな香りと、フレッシュで軽快な味わいながら、しっかりとしたコクも感じられる、非常にコストパフォーマンスに優れる1本です。
タコのガリシア風やエビのアヒージョ、パエリアなど、スペインの魚介料理と合わせたいですね。
8位 モンテス アルファ・シャルドネ
モンテスは1988年にチリに設立されたワイナリーで、「世界最高峰のチリワインを造る」という信念のもとワイン造りをおこなっています。こちらのワインのシャルドネが栽培されているのは、チリの首都・サンデアゴの北部に位置するアコンカグア・ヴァレー。穏やかな地中海性気候で、日照量が十分にあり、昼夜の寒暖差が大きく、ブドウの成熟にはもってこいの条件が揃っています。
マンゴーや黄桃などの香りに、樽熟成に由来するバターのニュアンス、まろやかな果実味が特徴的なリッチでクリーミーな味わいです。
ローストチキンやクリームシチュー、クリームソースのパスタなどとよく合います。
7位 オーシエール シャルドネ
7位にランクインしたのが、南フランスのラングドック地方のワイナリー、ドメーヌ・ド・オーシエールが手掛けるシャルドネのワインです。
このドメーヌ・ド・オーシエールを経営するのは、フランスのボルドーの「五大シャトー」のひとつであるシャトー・ラフィット・ロートシルトを所有するバロン・ド・ロートシルト。ワイン造りの名門によって大規模な改革がおこなわれ、そのワインの質は格段に向上したのでした。
リンゴや洋梨を思わせる香りに、アカシアなどの黄色い花の香り、柔らかな果実味とエレガントな味わいが特徴的。
ラタトゥイユやローストポーク、豚すね肉の煮込みなどと抜群の相性です。
6位 アンゴーヴ オーガニック シャルドネ
アンゴーヴは1886年にオーストラリアの南オーストラリア州に設立されたワイナリーです。創業当時は医薬用にワインを造っていましたが、現在は世界30カ国に輸出するワイナリーに成長しました。
こちらの『オーガニック シャルドネ』は、オーストラリア政府規定のオーガニック基準を満たす有機農法で栽培されたシャルドネを100%使用しています。
柑橘類や白桃、メロンのような香りに、豊かな果実味と心地よい酸味のバランスがよいフレッシュかつフルーティな味わい。
サーモンのグリルのほか、寿司や天ぷらなどの和食とも相性抜群です。
5位 ボデガス・エスメラルダ ティリア・シャルドネ
5位にランクインしたのはアルゼンチンのシャルドネのワイン!生産者はアルゼンチン有数のワイナリー、ボデガス・エスメラルダ。その大人気ワインシリーズが、『ティリア』シリーズです。
こちらの『ティリア・シャルドネ』にはアルゼンチン最大のワイン生産地、メンドーサ州で収穫したシャルドネを使用し、フレンチオーク樽とアメリカンオーク樽で6ヶ月熟成させています。
トロピカルフルーツやマンダリンオレンジを思わせる香りに、ほのかなバニラのニュアンス、豊かな果実味といきいきとした酸の感じられるまろやかな味わいが特徴的。リーズナブルな価格でデイリーワインにもピッタリです。
エビフライや豚しゃぶサラダ、塩味の焼き鳥などとよく合います。
4位 ベリンジャー カリフォルニア・シャルドネ
こちらのワインを手掛けるベリンジャー・ヴィンヤーズは、1876年にカリフォルニアのナパ・ヴァレーで創業した、プレミアムワインを生産するアメリカ屈指のワイナリーです。
同社のラインナップの中でも親しみやすい価格でデイリーワインにもぴったりなのが、こちらの『カリフォルニア・シャルドネ』。
洋梨や桃のような香りと爽快な口当り、豊かな果実味と爽やかな酸味が特徴で、比較的飲みやすい味わいのため、シャルドネ入門にもおすすめです。
白身魚のカルパッチョやモッツァレラチーズを使ったカプレーゼ、冷製パスタなどとよく合います。
3位 パンゴリン シャルドネ
『パンゴリン』は南アフリカの有名ワイナリー「ニール・エリス」のホセ・コンデ氏が、同じく南アフリカの新進気鋭のワイナリー「ジュステンバーグ」と共に造る新ブランドです。低価格ながらもハイレベルなワインとして注目を集めています。
こちらの『パンゴリン シャルドネ』は、南アフリカワインの一大産地として知られる西ケープ州パール地区で手摘みで丁寧に収穫されたシャルドネを100%使用。醸造工程ではシュール・リー製法を採用し、コクのある奥深い味わいに仕上げています。
トロピカルフルーツやメロンの香りに、たっぷりとした果実味とまろやかでリッチな味わいが特徴的。とても1,000円台とは思えない仕上がりで、その類まれなるコストパフォーマンスの高さから3位にランクインしました。
グラタンやドリアのほか、白身魚のバター焼きなどと抜群の相性です。
2位 アンリ・ド・ブルソー シャブリ
第2位はフランスのブルゴーニュ地方のなかでもシャルドネワインの産地として名高いシャブリ地区のワイン、『シャブリ』です。特に年配の方々に知名度が高いため、ワイン好きな親御さんや上司への贈り物にしても喜ばれるでしょう。
生産者はアンリ・ド・ブルソー。ブルゴーニュ地方のさまざまな地区や村でワインを手掛け、リーズナブルな価格で取り揃えています。リンゴや洋梨のようなフレッシュな香りと、豊かな果実味に張りのある酸、ミネラル感あふれる味わいが特徴的。シャブリ地区のワインのなかでは比較的リーズナブルな価格ながら、しっかりとシャブリらしい魅力が現れています。
「シャブリには牡蠣を合わせる」というセオリーの通り、牡蠣にもよく合いますが、甲殻類やスモークサーモンなどとも相性抜群です。
1位 ルイ・ジャド ムルソー
堂々の1位に輝いたのが、「フランス3大白ワイン」のひとつに数えられている『ムルソー』です。ムルソーとはフランスのブルゴーニュ地方コート・ド・ボーヌ地区にある産地の名前であると同時に、その地で造られたワインの名前でもあります。ムルソーの土壌は、白色泥灰土を含んだ石灰岩層。シャルドネの栽培に理想的な土壌と言われています。
生産者はルイ・ジャド。1859年創業の、ブルゴーニュ地方の指折りのワインメーカーです。同社の『ムルソー』は、レモンやグレープフルーツなどの柑橘類やヘーゼルナッツ、蜂蜜を思わせる芳香と、なめらかな口当たり、ふくよかで厚みのある果実味、フレッシュな酸が見事に調和。リッチで上品な味わいで、飲み込んだ後も優雅な余韻が続きます。
ムルソーらしい魅力がたっぷり詰まっており、特別な日を彩るのにピッタリの1本と言えるでしょう。
バターやクリームを使った料理のほか、白トリュフやフォアグラ、白カビチーズなどとも抜群の相性です。
さまざまな国や地域のシャルドネの白ワインを楽しもう
今回ご紹介したように、シャルドネのワインは世界のさまざまな国や地域で造られています。特にシャルドネの場合、生産地の気候風土や製法を反映しやすい品種です。そのため、飲み比べることによってその違いをハッキリと感じることができるでしょう。
また、シャルドネのワインは価格帯も幅広いので、例えばリーズナブルな価格のものはデイリーワインに、高価なハイクラスのものは特別な日に、といった具合で、さまざまな用途で楽しむことができます。
ぜひこの記事を参考にしていただきながら、白ブドウの女王・シャルドネのワインを楽しんでくださいね。