日本酒について思い浮かべてみると、全体的に甘口より辛口の銘柄のほうが多いという印象を受けるかもしれません。
甘口の日本酒をもっと飲んでみたいという方や、もっと甘い日本酒が飲みたいという方は貴醸酒(きじょうしゅ)に手を伸ばしてみるのはいかがでしょうか?
そこで今回は、甘口日本酒の頂点、貴醸酒の魅力についてご紹介します!
貴醸酒ってどんな日本酒なの?
◼︎貴醸酒とは?
先ず第一に貴醸酒とは、普段私たちが飲んでいる日本酒と何が違うのでしょうか。
当然ながら、貴醸酒は日本酒の一種なのですが、その最大の特徴は仕込み水の全部、または一部に日本酒が使われていることなのです!
つまり日本酒で日本酒を仕込んでいるということになりますね。
そのため、私たちが普段飲んでいる日本酒よりも原価が高くなるので、少し高級な贅沢な日本酒になります。
貴醸酒は基本的に琥珀色がかかった色味をしています。
味わいの特徴は濃厚で甘く、少しとろみがあることです。こうした味わいのため、主に食後酒として親しまれています。
◼︎貴醸酒はいつ生まれたの?
貴醸酒が生まれたのは1973年。意外と歴史の浅いお酒です。
当時の日本は、国賓の晩餐会で海外のお客様をおもてなしする際にはフランス産のシャンパンやワインを出していました。
日本で開かれている晩餐会なのに、『日本のものではなく海外のお酒で海外のお客様をおもてなしする』という矛盾を疑問に思い立ち上がったのが国税庁醸造試験所(現・酒類総合研究所)です。
このような経緯からお客様をおもてなしするための“高級な日本酒”として誕生したのが「貴醸酒」です。
貴醸酒は、先ほども説明した通り、日本酒で日本酒を仕込んでいます。
実はこの製法、平安時代の法令集である「延喜式」の中の「しおり」という古代酒の醸造方法を参考に生まれたのだそう。
歴史が浅い貴醸酒ですが、平安時代と通じている、と考えると実はとても歴史のあるお酒ですね。
そして現在でも貴醸酒はこの製法で造られています。
◼︎貴醸酒が甘くなるのはどうして?
通常、日本酒を作る工程は「三段仕込み」と呼ばれています。
三段仕込みとは日本酒を醸す「初添」・「仲添」・「留添」の3ステップのことです。
(3回の仕込みが基本ですが、もっと回数を多くして四段仕込みや十段仕込み…なんてものもあります)
三段仕込みの場合、通常の日本酒は“水→水→水”と仕込みますが、貴醸酒は“水→水→酒”と仕込みます。
お酒が甘くなるのは、最後に酒を加えることで、糖分を分解しアルコールを生み出す清酒酵母が弱り、糖分が分解されずそのまま酒中に残るからです。
アルコールを生み出す酵母がアルコールによって弱ってしまうなんて驚きですね…!!
オススメの貴醸酒をご紹介!
貴醸酒に詳しくなったところで、ここからはオススメの品々を紹介していきます。
華鳩 貴醸酒 8年
貴醸酒といえば華鳩!!と言われているほど有名なメーカーです。
1974年には貴醸酒の醸造を始めていて、「貴醸酒の先駆者」的な存在。
蔵元で8年以上熟成しされた、日本酒度-44という超甘口の貴醸酒が「華鳩(はなはと) 貴醸酒 8年」です。
インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)という世界的な大会の「SAKE部門 古酒の部」匂いて6度も金賞を受賞しています。
海外のファンも多く、世界的な評価も高い貴醸酒なんです。
八年という長期熟成によって生み出されるシェリー酒や紹興酒にも似た蠱惑的な味わいが何よりの魅力です。
とろりとした濃厚な味わいは、バニラアイスにかけても楽しめるそうですよ。
商品名 | 華鳩 貴醸酒 8年 亀甲瓶 |
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蔵元 | 榎酒造株式会社 |
製造県 | 広島県 |
度数 | 16.5度 |
HP | http://hanahato.ocnk.net/ |
八海山 貴醸酒
八海酒造は1922年に創業した新潟県の蔵元です。
新潟の代表的な「八海山」という地酒を醸造していることでも有名です。
そんな八海山の貴醸酒は、甘口のワインを濃縮したような濃い甘さがありますが、甘すぎず意外とすっきりと飲むことができます。
トロッとした甘い飲み口は、日本酒が苦手な女性も楽しめそうです。
そのまま飲むことはもちろん、オンザロックにしたり、炭酸で割ってみたり、アイスにかけてみたり…と様々なアレンジをして味わうこともできますよ。
小瓶サイズで少しだけ飲みたいときに買えるというのもうれしいところです。
商品名 | 八海山 貴醸酒 |
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蔵元 | 八海山酒造 |
製造県 | 新潟県 |
度数 | 17.5% |
HP | http://www.hakkaisan.co.jp/ |
満寿泉 貴醸酒
1905年創業の枡田酒造は、富山県のほぼ中央、富山市北部の東岩瀬町に蔵があります。
多少雪は降りますが、1年を通して穏やかな気候の土地です。
枡田酒造が醸す「満寿泉」は原料としての酒米の97%に古代米を使用しているのが特徴です。
甘味ととろみがありながらも後味のしっかりとしたキレがよさは、まるで上等な貴腐ワインを彷彿とさせる味わいです。
おつまみにはブルーチーズなど、少しクセのあるものにも負けない強い風味があります。
また、このスタイリッシュなガラス瓶はイタリア直輸入なんだそう。
見た目でも楽しむことができる貴醸酒です。
おしゃれな見た目や不思議な味わいの満寿泉で、日本酒のイメージが一変するかもしれませんね。
商品名 | 満寿泉(ますいずみ) |
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蔵元 | 株式会社桝田酒造店 |
製造県 | 富山県 |
度数 | 15度~16度 |
HP | http://www.masuizumi.co.jp/ |
まとめ
このように貴醸酒はお米に含まれる自然の甘味を堪能できるもので、色の濃さも様々です。仕込み水としてお酒を使うわりにはリーズナブルなものがあります。
数量限定販売のお酒が多いので、販売時期には見逃さず購入したいですね。
皆さんも、ぜひ一度貴醸酒をお試し下さい。きっとはまること間違いなしです!